我ら現世を楽しむ妖怪なり!
海外では、吸血鬼やガーゴイル、サタンやベルゼブブといった有名どころから、人に取り憑き『悪魔祓い』に祓われる悪霊のようなものなどが幅広く活躍している。
一方、日本で活躍する悪魔は限られている。彼らは非常に刹那主義的だ。彼らのモットーは【今が楽しければそれでいい】。
そんな彼等を日本人は【妖怪】と呼んだ。
・
「えー悪魔連盟から日本国内の悪魔……要は我々の事だよ妖怪諸君、聞いているかい?」
妖怪達は山の中で仲間を集めて月一の集会を開いている。
悪魔には管轄があり、それらを取り仕切るトップが悪魔連盟だ。
妖怪代表には小豆洗いが選ばれた。
理由はじゃんけんに負けたから。
妖怪総出で行った超大規模じゃんけん大会にて負け続けた超絶不運な男・小豆洗いである。
「どーっせいつもの通達だろォ? 聞き飽きたっつーの」
「かれこれ三万回は聞いてるもんね」
「そこまでではなかろう」
「どーでもいー」
「それより何宴席の場で水差してんのさ、小豆洗いの分際で」
「月に一度の愉しみを奪うんじゃないわよ」
小豆洗いは叫んだ。
「宴会じゃなあい! 月に一度の集会の日を、勝手に宴会にするなあ!!」
酒瓶が飛んで来る。ガンッと小豆洗いの頭に直撃する。
しかし、バタン、と倒れる小豆洗いを気にする妖怪はいなかった。
「ううっ、どうして僕ばかり……」
リーダーなんてやりたくない。でもなったからにはちゃんとやりたい。
しかし、ここにいる妖怪どもは自分より若いのも含めて皆目先のことしか考えていない。
「また小豆洗い、負けたの? よっわ」
そう言って声をかけるのはろくろ首だ。
「うるさい……今傷心中だから傷つけないで……」
「リーダーなんてなりたくなかったんでしょ? じゃあ真面目にやる必要ないわよ。やるだけ無駄無駄。皆真面目にやる気ないもの。あんたがリーダーになって三百年ぐらい? よくやるわねーホント。いい加減諦めたら?」
あー酒がなくなる、と言ってろくろ首は立ち上がった。当然妖怪の一人だ。
彼女の言った通りだ。しかし唯一の良心たる小豆洗いがいなくなると、この集会の場すら設けられない。
楽しむ場所がなくなるなんて、悲しいじゃないか。
小豆洗いはヤケになって酒瓶を手に取り、一気飲みした。
「おおっいいぞ、リーダー!」
「小豆洗いやったれ!」
「見直したぞー!」
ヤジが飛ぶ。フラフラと立ち上がった小豆洗いは妖怪のリーダーらしく、皆に命ずる。
「宴だああーーー!!!」
「「「「うおおおぉおおおお」」」」
小豆洗いもまた、妖怪の一人であった。
・
「……って事なんだけど、どう思う?」
小豆洗いは習慣になりつつある『人間の少女』へ、妖怪の相談を持ちかけた。
この少女は他と比べてもとびきり幼く見える。
生えたての筍の方が大きいぐらいだ。
「……同じ穴のムジナ?」
「うぐっ」
小豆洗いにも自覚はあった。
所詮自分は妖怪で、どこまで真面目ぶっても【今が楽しければそれでいい】精神を排除するのは難しい。
人間が三大欲求を克服するのと同じぐらい難しい。
「でもさ、悪魔連盟から通達が来てるんだよ。『人間をビビらせろ』って」
「やれば?」
「やってるよ! でも全然人間は妖怪の存在を信じないじゃないか」
ブワッと泣き出した小豆洗いを、哀れみの目で見つめる幼女。
「私は信じてるよ」
「でも君、妖怪を怖がらないじゃないか」
「貴方のどこを怖がればいいの?」
「その質問は辛い!!」
幼女の純粋な疑問に、小豆洗いのHPはぐんぐん減った。
「そもそも、どうして人間は、いや、日本人は妖怪を怖がらないの。おかしくない? 異形な奴とかいるのに。傘に目があって勝手に動くとかホラーじゃん!」
からかさ小僧、通称傘おばけだ。
「でも、あんな傘誰も使おうと思わないから近寄らない」
「そうすると見向きもされないって事でしょ知ってる」
からかさ小僧の傘は、時代にマッチしなかった!
「うーん、座敷わらしとか良い妖怪として有名よね」
「フン、あいつは妖怪の面汚しだ」
「でも唯一貴方に優しくしてくれる妖怪」
「ほんとすき。面汚しとか言ってごめん。座敷わらしは神様だ」
「妖怪だけどね」
彼等は廃れた山奥の神社で会話をしている。
そこは妖怪の溜まり場だった。
日中妖怪達は寝ているので、現在小豆洗いと幼女の二人きりだ。
「そもそも、妖怪が日本人を好き過ぎるのが問題じゃない?」
そう、時代の変化と共に移りゆく景色と風景を、刹那主義の妖怪達は大層喜んだ。
「スマホやべえ」
「コンビニ神」
「電気パない」
「カラオケ最高」
これが妖怪達の人間に対する評価だった。
「そりゃ人間を好きになっちゃうよ。こんなに素晴らしい文化を分け与えてくれてるんだから」
「分け与えたんじゃない、勝手に使われてる」
「一緒じゃん」
妖怪にとっては「使わせてくれてる」も「勝手に使う」も同じことだ。些事である。
「よぉし、どうにかして、今度こそ人間をビビらせるぞ! 君、協力してくれ」
「私も人間なんだけど」
「君は妖怪の姿が見えるから協力者だ」
「そんなんでいいんだ」
かくして幼女と妖怪は協力関係を結ぶことになった。
・
夜になった。
「と、いうわけで今ここに集まってる妖怪どもよ」
小豆洗いは尊大に踏ん反り返って、偉そうに話し始めた。
「テメェ何様のつもりだ」
「ごめんなさい」
提灯小僧(提灯を持った少年の姿の妖怪。人に危害は加えない)に凄まれて速攻やめる。
「今日作戦会議だから」と突然連れてこられた幼女は小豆洗いを冷たい目で見る。
「人間をビビらそう」
「勝手にやってなさい」
そう言って帰ろうとするのはろくろ首だ。
彼女は極度の面倒くさがりである。
「待ってねえ待って、妖怪の責務なんだけど。悪魔連盟から催促来てるって言ってるよね!?」
「無視しとけば」
「悪魔連盟から除名されたら、酒の供給なくなるんだってば」
「ハァ~ったくめんどくさい」
ちなみにここにいるのは三人と一人だ。
気の弱いリーダー小豆洗い。
乱暴で粗野だが人を傷つけない提灯小僧。
頑張ることが嫌いな快楽主義者ろくろ首。
そして、幼女。この四人しかいない。
「集まって」と言ってこれだけの人数しか集められなかった、小豆洗いの人望のなさが伺える。
「ターゲットはこの子の両親。怪我はさせないように、だけど絶対怯える感じで作戦立ててよ」
小豆洗いが言うと、提灯小僧の額に青筋が入る。
「テメェが作戦立てろや」
「ええ~僕? 長生きしてる割に知恵とか無いからなあ」
ろくろ首はガアァ、と汚くげっぷをした後、小豆洗いを非難する。
「恥ずかしげもなく言わないでよ。アタシ、つっ立ってるだけで酒もらえるって言うから参加したのに」
「酒くさっ。この子に悪影響だからやめて。げっぷ禁止」
「ゲェップ」
「禁止!!」
「ふふっ」
幼女は、その様子を見て非常に楽しそうに笑った。
幼女の笑顔を見た提灯小僧とろくろ首が顔を緩める。
「何笑ってんだよガキ」
ワシワシと幼女のボサボサの髪を撫でる。
「まあ、人の子って笑うと可愛いのねぇ! ボロボロで痩せっぽっちだったから、こっそり妖怪かとも思ってたんだけど」
ろくろ首は頬に手を当て、デレデレとしている
しかし小豆洗いだけは眉をひそめた。
「えっ何この扱いの差。僕もヒョロくてちっさいんだけど、なんで人の子には甘くて妖怪には厳しいの。もっと同族同士仲間意識を持って助け合おうよ!」
「ウルセェ黙ってろババア」
「老婆を可愛いとは思えないわ」
「小豆投げるぞコラ」
小豆洗いは老婆の姿だった。
ちなみに小豆洗いは「老婆の方が小豆洗いっぽいから」という理由で常に老婆の姿をとっている。
本人曰く「本来の姿は今の日本のイケメン男子」らしい。
真贋定かじゃないが、妖怪的には姿形が変わろうと大した事じゃないので、さして問題にはならない。
幼女はおずおずと手を挙げて発言した。
「ところで私、夜だから家に帰らなきゃいけないんだけど」
「ええ~もう帰っちゃうのお?」
ろくろ首は名残惜しそうだ。
「じゃあ俺が送ってやるよ」
提灯小僧は提灯片手に提案した。
「作戦会議がまだじゃないか! ……いや、もういっそこのままこの子の家に着いて行こう。そしたらきっとご両親も驚くさ」
小豆洗いは考えることを放棄した。
作戦名「突撃」。又の名を「行き当たりばったり」。
・
「ヨウ! どこをほっつき歩いてたの、こんな時間まで」
提灯小僧を先頭に暗い夜道を歩いていると、一人の女性が駆け寄ってきた。
普通に生活していれば妖怪の姿は見えない。
だから女性は、提灯小僧もろくろ首も小豆洗いも無視して、幼女の手を引っ張った。
だって大人に妖怪は見えないから。
「アンタがいなくなったら、こっちが迷惑なのよ! これで警察沙汰になったらどうしてくれるの」
「……ごめんなさい、おかあさん」
幼女はしおらしくなって謝ってる。
妖怪達は「娘を心配して怒ってるんだなあ、いい親だ!」と感激していた。
「勝手なことするんじゃないわよ、まったく」
「アンタはただでさえ出来損ないなんだから、少しは言うこと聞きなさい」
感激していた妖怪達は首をかしげる。
なんか雲行きがあやしいぞ。
「はい、ごめんなさい」
「分かったならいいわ。早く帰るわよ」
母親は少女の手を取って歩き出す。
少女もそれに従い歩き出す。
妖怪達は置いていかれる。
小豆洗いはハッとして叫ぶ。
「って、ダメじゃん! ほら提灯小僧、姿を見せて案内!」
「わーってるよ指図すんなババア」
「小豆洗い!!!」
妖怪達は意識すると人間にも姿が見えるようになる。しかし、疲れるからやらない者が大半だ。
提灯小僧は提灯片手に母親を追い越して、少し前で止まる。
母親は訝しみつつも提灯小僧の横を通り過ぎる。
提灯小僧はまた母親の少し前まで走って止まる。
「……ねえ、ボク。早くお家帰りなさい?」
母親は提灯小僧に向かってそう言った。
提灯小僧は振り返り、少し母親を見つめた。
母親はたじろぐ。
提灯小僧はまた少し走って振り返った。
「早く帰りなよ」
今度は提灯小僧がそう言った。
母親は仕方がないので、幼女の手を引いて歩き始める。
提灯小僧のいる方向に家があるのだから、進まないわけにはいかない。
母親に追い越された提灯小僧は、また小走りで母親の少し前まで行き、止まる。振り返る。
母親は気味が悪くなって、幼女の手を強く引いて、早足で歩いた。
母親と幼女は家に着く。
結局、家まで提灯小僧が付いてきた事を気味悪がりながら、素早く家に入り、鍵を締める。
母親は正体不明の気味の悪い少年から逃げるのに必死だったので、周りが見えていなかった。
だから、幼女が提灯小僧に手を振ったのも、見えてなかった。
「なんだったの、あの子は……」
「送ってくれたんだよ。夜道は暗くて危ないから」
幼女が母親に教える。
正体を知ってる幼女にとって、提灯小僧は怖がる対象ではない。
「まさか、あんたがけしかけたの? そんなに私の事が嫌いなの、私が慌ててるのを見てそんなにたのしいの?」
「そういうわけじゃ、」
「うるさい!」
バシン、と幼女は叩かれる。いつものことだけど、痛い。
その瞬間、バシバシバシ、と何かが窓に当たった音がした。
何か小さい、豆のような音だった。
母親は不審に思い、叩くのをやめて、カーテンを開ける。
「ひいいぃぃ!!」
そこにはろくろ首の姿があった。
ろくろ首は窓をすり抜け、家に侵入する。
小豆洗いは追従しようとしたら、窓にぶつかった。
マヌケである。
「いだっ。しまった、すり抜け術使わなきゃ」
怖がって物を投げる母親と完全スルーでそこにつっ立ってるだけのろくろ首。
すり抜け術を使って室内に侵入した小豆洗いは、母親に対抗して小豆を投げた。
「くらえ、積年の恨み!」
小豆:攻撃力は低いが、片付けが大変。家主に恨まれること必須。
「ふははは、見たか! これぞ人間を怯えさせる最高の作戦だ!」
作戦名、行き当たりばったり。
「今まで幾度となく人間達に敗北を喫してきたが、今! 我々は恐怖の対象として復活するのだ! ああああ!?」
小豆洗いは蹴飛ばされた。
「ウルセェ」
いつの間にか入ってきていた提灯小僧だった。
母親は混乱の極みだ。ちゃんと戸締りしたはずなのに、どうして入ってくるの!?
母親は幼女を庇うように、力強く抱きしめる。
なんだかんだで親なのだ、子供を大切に思う気持ちもある。
「おかあさん……」
幼女はびっくりして言葉が出なかった。抱きしめられたことなど、滅多になかったから。
幼女は妖怪に話しかける。
「妖怪さん、ありがとう」
「えっ」
母親は幼女の顔を見る。そして次は妖怪。
自分の娘はこんな奴らと知り合いだったのか、と驚愕する。
「人間から欲しい言葉は『ありがとう』じゃないんだけどな」
と、小豆洗いは言った。
「また暇だったら夜会いましょう」
と、ろくろ首が言った。
「夜道が怖いなら案内してやるからな」
と、提灯小僧が言った。
小豆洗いは「お母さん」と母親に声をかけた。
母親はビクッとしつつも、娘を大事に抱きしめつつ振り返る。
「怖かったですか?」
「へっ、いや、怖くなんか」
「えーっ怖くなかったんですか!? そんなバカな、じゃあ再チャレンジするしか……」
「い、いや、やっぱり怖かったわ!」
「ホントですかあ~!? いやあよかったよかった。あっ、その子、大事にしてあげてください。僕たちの協力者なので、あんまり厳しくしないでください。特に門限とか」
「は、はい」
「じゃ、また」
そう言って、妖怪達は見えなくなった。
母親は混乱状態だ。
小さい皺くちゃな、山姥のような顔をした老婆に話しかけられたかと思ったら、子供を大切に、と諭された。
妖怪達が消え去った後、母親は先ほどのは神からの天罰だったんじゃないか、と考えた。
子供を大切にしなかった自分への罰。
「ヨウ、ごめんね」
「……お母さん?」
「今まで、ひどいこと沢山して、ごめん。ダメダメな母親だけど、どうか、これからも、あなたの母親でいさせて欲しいの」
「私のお母さんは、お母さんだけだよ」
「ヨウ……っ!」
母親は娘をぎゅっと抱きしめる。
何もかもが上手くいかなくて、嫌だったのだ。
この子が生まれた直後に離婚。意固地になって親権だけは獲得したけど、止まない夜泣きにイライラした。
他の子達が「ママ」と喋り始めた、と聞いたときは、まだこの子が遅れてるだけだ、と納得することもできた。
でも、周りのママ友が全員「私の子供にママと呼ばれた」と言ってからは限界だった。
私だって呼ばれたいのに、どうして話してくれないの?
私の育て方が悪かったせい?
父親がいないから?
他の子達はもう立った、歩いたと言っているのに、私の娘は一向に立たないし歩かない。個人差があるのも分かってはいたが、私の育て方が悪かったんじゃないか、と思うともう耐えられなかった。
泣いてばかりで、食べ物をあげても、オムツを替えても、泣き止まない。
何をすればいいの? 私が悪いの?
……泣かないでよヨウ、泣いてばかりで何もできないクセに。
次第に負の感情は高まった。
歩けるようになって、喋れるようになっても、この子は他よりも劣っている。
そう思うと我慢ならなくて、つい手を上げてしまった。
最初のうちは叩いた後に、強烈な後悔がやってきた。でも、次第にその感覚も薄れ、ついに叩くことは躾だ、この子が悪いから仕方ないと思うようになった。
「ごめんね、ヨウ」
「……もう、叩かないでね。痛かったんだから」
「ごめんね、ごめんね」
「いいよ、お母さん。仲直りしよう」
この子を守ろう。
他と比べたって仕方ないじゃないか。
よそはよそ、うちはうち。
この子が無事で、健やかに暮らしていけたらそれだけでいいのだから。
・
「小豆洗い、ありがとう。これ、お礼のおまんじゅう」
「つぶあん? こしあん?」
「こしあん、かな」
「僕つぶあんの方が好きなんだけどなあ、ありがとう。貰っとくよ」
「文句言わないでよ。今度はつぶあん買ってくるから」
「あとついでに缶ビールとゲソとさきいか。肉も欲しいけど高いから我慢してあげる」
「たからないで、私はパシリじゃない。それに缶ビールは無理だから」
「ええええ~~、そんなあ」
小豆洗いをリーダーに据える日本の悪魔集団は、今日も今日とて人間と共に暮らしている。
次はあなたのすぐそばに現れるかもしれない。
【悪魔連盟】
全世界の悪魔を統括する組織。
日本の悪魔の不適合っぷりに手を焼いている。世界各地の悪魔の働きに応じて、報酬を出している。日本悪魔に酒を提供してるけど、そろそろ打ち切るべきだと上層部で密かに話題に上がっている。日本悪魔の酒とつまみの消費量がやべえ。
【妖怪】
日本の悪魔。数が多い。神は八百万で妖怪は百鬼なんてあんまりだ。妖怪も神に対抗して八百万は必要です。モットーは『今が楽しければそれでいい』。陽気でうるさい奴らばかり。人間に対して割と好意的。酒うめえ、よこせ。
・小豆洗い
妖怪のリーダー。日本悪魔代表。何かあった時全責任を取らされるのはこいつ。哀れ。全妖怪ジャンケン大会で敗北を喫し続けた。小豆を洗うのが仕事のくせに、最近は投げることの方が多い。気が弱いが真面目な性分のせいで、不憫なリーダーになっている。基本誰からも顧みられることがない。全妖怪に舐められてる。しかし、こいつも所詮妖怪、楽しいことに流されやすい。こう見えて千年生きている、妖怪の中でも長寿な方。ただし大した力はない。
・提灯小僧
口が悪い、手が早い、乱暴。見た目年齢十二、三の少年。通行人を抜かしては止まり、また抜かすという行動を繰り返すだけで人畜無害。人間に危害は加えません。提灯を持ってるので通行人を送ってあげてるようにも見える。送り狼とは仲良し。
・ろくろ首
言わずと知れた名妖怪。首を伸ばすことができる。ゲップが汚いことで有名。酒を浴びるように飲むのに泥酔しない。普通にしてたら艶かしいお姉さん。美人と思って声をかけたら酒臭いゲップで返され、撃沈した妖怪は数知れず。
・座敷わらし
良い妖怪の代表格。可愛い。ちっさい。色んなお宅にお邪魔しては無断で宿泊。ついでにつまみや酒も拝借。なのに座敷童という名前のおかげでお咎めなし。別に小豆洗いに対して特別優しい訳ではない。人との暮らしが長いから、人並みの優しさを発揮したら神と崇められた。気分がいいので放置している。所詮はこいつも妖怪。
【人間】
普通の人は妖怪を見れない。けど稚児は別。最大で十歳ぐらいまで。妖怪が姿を見せようと思えば誰にでも見れるようになる。
・幼女
名前は陽。決して幼女のヨウではない。母親から邪険に扱われていた。小豆洗いと仲良し。この一件以来、母親のことを更に好きになる。これからも妖怪に誘拐されて計画の片棒を担がされる予定。
・母親
子供が生まれてから何もかも上手くいかなくなった。今まで順風満帆だった分反動が大き過ぎて子供に当たってしまった。許されざる罪人だが幼女の情状酌量によりこれまで通りの生活が送れる。今後は、何があっても子供の一番の味方な良き母になっていく。