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第一章〜転生〜魔王と勇者

※こちらの小説は一人称視点で地の文章を書いていっております。

「アマオウ様、蝙蝠型ゴーレムからの映像で装甲兵長ガンダダンが勇者パーティにやられました。この玉座の間まであと数分かと」

「そうか……転生後もし会えたら、ガンダダンにはまたプリンを作ってやらんといかんの」

「決起集会兼お別れ会兼また会う日までパーティの時にバケツプリンを作ったのですから、次はポリバケツプリンにぜひ挑戦を」

「あれかぁ〜、何というかバケツまでなら大丈夫なんじゃがポリバケツになると、精神衛生上あまりよろしくない感じになるんじゃよの〜」


見た目が完全鎧にしか見えない装甲兵長ガンダダンに想いを馳せながら、魔王たる儂と側近セバスチャン(本名セバスチャンバレッジゴールドンJrなのじゃが頑なにその名は呼ばせぬ)は玉座の間で雑談に興じておる。

いつもなら城下町や各町から届く住民からの要望や嘆願書に目を通し、異世界へ渡って新しいお菓子との邂逅を果たしレシピ作りに勤しんでおるのじゃが……今日は違っておった。

勇者パーティが単身、魔王城に乗り込み儂の首級を挙げようとしておるのじゃ。

わしが魔王になる前までは魔人族と人族で全面戦争をやっておったが、儂が魔王に就任し和平条約と不可侵条約まで交わし、これでお互い平和平和ーー


「と思っておったんじゃがの〜」

「まさか勇者パーティの暴走に見せかけてアマオウ様を狙ってくるとは、人族の王はとことん愚かですね」

「ナチュラルに儂の思考を読んだのおぬし……じゃがその通りじゃ。平和になったんじゃし部屋で寝転がって大福かどら焼きでも食べればいいものを」

「そういった異世界のお菓子は人族側には無いと思いますよ」

「揚げ足を取るでない。まぁ人族の王城には〝突然罪の意識に苛まれ国民全員に自分の罪を自供したくな〜る〟という大規模魔法を掛けたからの。後はあちらで勝手にどうにかなっていくじゃろ」

「さすがアマオウ様。ご都合主義的すぎる魔法も主人公補正でチート級の楽勝具合ですね」

「お、おぬし異世界で何を学んできた?」


こやつを異世界に何度も渡らせたのは間違いじゃったか?

いやしかし優秀が服着て歩いてるようなやつじゃし、儂は間違っとらん!!

年寄りは居直っても構わんのじゃ!!


「おや、雑談している間に勇者パーティはすぐそこまで来たようですーーあぁあの扉、そういえば百獣兵長グルルンルンが酔っ払ってマーキングしたせいで、蝶番が錆びてしまっていましたね」

「あやつは前の健康診断で血液が強酸性になっとったからの〜。魔人族と魔族の混血じゃからと後回しにせず健康管理をちゃんとしてやればよかったわい」

「……あいつもアマオウ様にそう言っていただき本望でしょう。ではアマオウ様、ご武運を」

「……うむ。後のことは任せたぞセバスチャン」


セバスチャンの気配が消えた直後、ガタガタギィギィうるさかった扉がようやっと開き、魔王の因縁の相手である勇者ーー女勇者イラリアとそのパーティが視界に映り込んだ。

儂からすれば全員孫と呼べるような若者じゃ……勇者は眉根を寄せると顔を伏せ、そして顔を上げた時には、瞳に決意を宿らせておった。


「あなたの首をーー取りに来たわ。魔王ジュジュアン」

「ーーおはははははは。待ちくたびれたぞ勇者達よ」

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