第一話 信長の転移
第一話と第二話は少し短めです
※タイトル修正しました
転生ではなく転移の方が正かったですね、これ・・・
燃え盛る本能寺にて、信長は最期の時を迎えていた―
「…ハゲ(光秀)にしてやられたか」
天下統一を目前にし大陸をも手中に入れようとした「魔王」の野望は、部下の光秀の裏切りによってあっけなく打ち砕かれたのだ
「ふん、床について死ぬよりは幾分派手で良いかもしれんがな」
炎が迫る中、信長はこれまでの人生を振り返っていた
かつて尾張の小大名に過ぎなかった信長が桶狭間で今川を破り、破竹の勢いで領地を拡大していったあの頃を―
「天下の統一を見ずして逝くか…」
信長は既に死を覚悟していた
腰に手をかけ刀を取ろうとするがそこには空気があるのみであった
「…刀を寝室に忘れてきたか」
どうせ最期を飾るのなら武人らしく刀で自刃したかった
刀が無いのなら残された死に方は一つしかない
「ならば、この炎に身を任せるとしよう」
信長は大きく目を見開き、最後の光景を目に焼き付けた
そして静かに目を閉じた
柱が焼け崩れて落ちる音が聞こえてくる
外では刀を交える音が聞こえてくる
そして炎が間近に迫るのを感じる―
手が、足が、背中が何かに包まれるような感覚に教われる
想像してたような熱さは感じないが、体中から汗が止まらない
これが炎に包まれる感覚なのであろうか?
―意識が薄れていのを感じる
(遂に我が人生も終わりか)
やがて身体中の感覚は無くなり、意識は完全に遥か彼方へと消えた
―――・・・
「・・・」
「ん・・・・・・ ハッ!!!???」
目を覚ましたら信長は何やら白い布団のようなものに包まれていた
木造の部屋のようで日の本とは大分異なった様式である
そしてどうやって作られているのか分からないが透明な板のようなものから光が差していることからどうやら今は日中のようだ
本能寺のあの時は確か夜だったはず
「ここは・・・ここが極楽浄土なのか?」
あり得ぬ
比叡山を焼き討ちした儂が極楽浄土になど行ける訳がない
だがどう見ても地獄には見えない
一体ここはどこなのだ?
辺りを見回してみると、儂の他にももう一人布団のようなものの中で寝ている者がいた
「こやつは一体・・・」
信長は布団のようなものから出て、寝ている者の近くまで寄った
「こやつ、髪色は赤くそれでいて堀が深い顔をしておる。紅毛人か?」
齢は恐らく25歳前後と見える。
(なかなかの男前だな)
この者も儂と同じように別世界へと飛ばされたのだろうか
そのようなことを考えてると何やら人の足音が近づいてくるのが聞こえた
(何者?)
まさかハゲの手の者ではないだろうが、信長はすぐに対処出来るよう気を引き閉めた
足音は止まり、これまた日の本とは随分異なった様式の扉が開かれた
「? おぬしは・・・」
現れたのは白い肌をした金色の髪で翡翠色の目の、見知らぬ美しい少女であった