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決闘

ーーー俺、旅に出る!ーーー

そう言い出したのはアランだった。

「俺は、旅に出るんだ!」

「バカ言え!ここの周りの魔物はお前でも軽々倒せる。しかし西へ南へいけばお前でも手におえない魔物が何十、何百といるんだぞ!」

このようなやり取りを何回聞いただろう。確かにバロンのいうことは最もだ。ここは、北東。ここには、一番弱いであろう魔物たちばかりだ。でも、そんなことに、耳をかたむけやしない。バロンは、はぁーーとため息をついた。そして、仕方ないと呟くと。

「アラン、確かにお前の剣の腕前に武力、頭の回転の早さについてはそこら辺の若者では敵わないだろう。」

「じゃあ!」

「行っても良いだろう」

「よっしゃ~!」

「ただし... 俺に勝てたらの話だかな。」

そう言い放つと、辺りがざわざわとざわつき始めた。

「あの、マリアさん。どうしたんですか?」

と、露骨に思った質問を口に出してみた。

「... 実は、バロンは酒屋を経営するまでは、かなり名のうれた冒険家だったの。そして、剣を専門にあつかう... ね。」

「まさか、俺に勝ったらって、まさか!」

「きっと、その『まさか』ね。」


ーーー俺と、剣で勝負しろーーー


その日はそれで終わってしまった。私はマリアさんの家に泊めさせてもらった。

「マリアさん、お風呂お借りしました。... 後、ひとつ良いですか?」

ソファーの上でくつろいでいるマリアさんは、なあに?と応える。

「この勝負、アランは勝てるのでしょうか?」

「うーん... わからないけど、まぁ普通にすれば、勝てないでしょうね。」

「... そう、ですか。」

「でもね、バロンとはかれこれ長いこと付き合って来たけど、そんな、理不尽なことで、あの子の意見を踏み潰すようなことは、したことなかったわよ。きっと何かの考えがあるのよ。... でも、そうなると、出掛ける準備をしなきゃね!」

「えっ!マリアさん、行くんですか?」

「何言ってるの?行くのは、私じゃ無くて貴女よ!」

「えっ!」

驚いた。確かに、ウィンドルの森への行き道キップをてにしたのだ。ここで手放すのは惜しい。しかし。

「きっと迷惑になります。私なんかじゃ。... それに、持っていく荷物なんて何も持っていません。」

悲しげに消えゆくような声でいうと、マリアさんはドレッサーの上にあったくしで、私の髪をとき始めた。

「きれいな金髪ね。」

「... お母様から譲り受けたんです。」

「そう。そのお母様の気持ち、ここで捨てちゃダメよ。アランはきっとあなたを迷惑だなんて思っていないはずよ。... それにしても、もう遅いわ。使っていないものばかりになってしまうけど... 生活に必要なものを、用意しておくわ。だから、今日はもう寝ていなさい。」

優しく微笑みながら、おかあさんのようにいってくれたマリアさんに、ありがとうと一言言うと、布団のしかれている部屋へと向かった。


翌朝、広場で行われる、決闘をを見に向かった。マリアさんは先に行ったらしく、置き手紙が置いてあった。私がついた頃には、大分人が集まっていた。するとそこに、大きなリュックサックを背負ったアランが現れた。

「ほぅ。勝つ気満々だな。」

「おう!ぜってーバロンを倒して、俺はこの街を出るんだ!」

だから勝つ!と小生意気な威勢を張っている。

「それでは、私、マリアが審判をさしていただきます。双方、構えて... 。」

腰にあった剣を抜く。それだけでも走る緊張感。お互い強い気迫を放っており、ピリピリしている。

「それでは... 開始!」

その瞬間に聞こえるギィィイインと鳴り響く金属音。いつの合間に近づいたのかはわからなかったけれども、アランは蝶のように軽々と剣を降りながらも、強い力で相手に一撃一撃決めていく。対するバロンは、その剣をものともせず、軽々と受け止めている。それどころか、神経を尖らせて撃っているアランに、余裕の笑みをこぼしている。マリアさんのいった通りだ。普通に撃っているだけでは、体力が削られていくだけだ。アランもそれを察したらしく、うしろへ引き、また構えた。しかし、今度は自ら動こうとはしなかった。

「来ないのか?ならばこちらから行くぞ!」

向かって来るバロン。ビュン、ビュンと空気を切り裂く音がする。しかしアランは受け止めずヒラリとよけていった。しかし今度はアランの意図に気づいたらしく、切りつけるような攻撃から、突きに変えてきた。

「うわっ!」

と、驚きの声があがってしまった。

「お前の考えは、俺の体力の消耗を狙い、周りにある木か何かに剣を打ち込ませ、その隙に攻撃して勝つ算段だったのだろうが、大人をなめると痛い目に遭うぞ?」

といい、おもいっきり突きをかまされた。まぁ避けることはできるが、当たったら怪我では済まされないだろう。

「面白くなってきたじゃねえか。」

構えを直してアランはそう言った。

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