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冒頭

いつもありがとうございます。

  物語を書くときに、何が一番難しいかって、『冒頭』ほど難しいものはないと思います。

 読者と作者の間に、何の共通認識もない状態で、ぐっと作者の世界に引き込むための最初の一文。

 これは、何度書いても、どんな作品を書いても難しいです。

 一応、このエッセイでも実は、各話ごとに、冒頭はそこそこ悩んでおります。悩んでこれかよ、と思われるかもしれませんけども、ね。


 昔、いわゆるテーマ作文を書くときのコツとして。

 例えば、『私と家族』なるテーマを出された時に、私と家族とは……と書いてはダメだというような話を聞いたことがあります。

 一度、テーマを頭に入れ、じぶんのなかでかみ砕き、それから冒頭を選び出して書かないと人を引き付けるような文にはならないということだそうで。


 まあ、それを言ったら、このエッセイ、結構『今日のお題』について、とか書いておりますけどね(ダメじゃん)


 なろうでは、知らない作家さんの新規の小説を読むとき、タイトル→あらすじ→キーワード(私はあまりキーワードを気にしませんが)とはいり、最初の一文を読むわけです。ここをしくじると、その読者様は二度と、その小説を読もうと開いてはくれないでしょう。


 読んでもらえる一文。それはもう、ひとことでいうなら『引き』です。『キャッチー』な場面です。

 正解は……あるなら、私が教えてほしいです。


 一つ言えるなら。戦闘から始まるパターンを書くときは、かなり気をつけたほうがいい、ということです。

 アクションシーンというのは、ただでさえ情報量を多く必要とします。キャラも何も知らない状態で、膨大な情報量を読者に向かって叩きつけることになります。

 漫画や映像の場合は、視覚情報がありますから、設定説明は眼から十分補充されるので、アクションシーンを何も知らない状態で楽しむことが可能ですが、小説は、実は視覚情報も、舞台設定など必要事項全部を文章から得なければいけません。ですから、できるだけ、わかりやすいようにしないと、読者側は『読ませられる』という感覚になります。

 特に、ライトノベル系読者は、キャラを設定より先に頭に入れたい傾向があります。逆に言えば、設定の説明をしなくても、キャラの魅力を引き出せば、読者はついてくるということにはなりますね。


 なろうのファンタジーは転生転移が多いため、冒頭はそれこそ『ステータスオープン』とか『交通事故』系です。

 でも、同じような冒頭でも、キャッチーな作品と、そうでない作品があります。

 もちろん、キャッチーな作品の方がいいわけですが、後さき考えずにやってしまうと、後が続きません。


 最初の一文から始まる、最初のエピソード。これは、本当に難しいです。

 とにかく、主人公が出てきて、その人物に名前をつけるまでが、苦しい。

 私は、小説の冒頭は、いつも五回くらい書き直します。一発で決まったことはあまりないです。


 そういえば、田中芳樹先生の『銀河英雄伝説』の一巻。あれは仲間内では、評判があまりよくない冒頭でした。とにかく歴史書を延々と読ませられる感覚。アレで挫折する人間もかなりいましたねえ。勿体ない。


 個人的に冒頭が秀逸だと思うのは、ディック・フランシスの『大穴』。

 いや、もう本当に、カッコイイ。のっけからグイッと引っ張られます。

 知らない方は、本屋か図書館で、チラ見推奨。やめられなくなる確率、大です。


 ところで。気が付いたら、75話ですよ!

 本当にありがとうございます。一応、100話目標にしようかなーと思っております。


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