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ナウシカともののけ

いつもありがとうございます。


今回は、宮崎監督作品についての第二弾。正直ファンタジーとは遠いかも(^^;

 今回は宮崎監督作品「風の谷のナウシカ(1984年)と「もののけ姫」(1997年)についてです。

 ※ただし、今回の『ナウシカ』は映画版です。漫画版をいれると、また違う話になります。


 この二つの作品、バブル前、バブル後という世間の『考え方』の違いが如実に表れています。

 どちらの作品も宮崎監督のずっと深いテーマであります『自然』への畏怖、愛情などが根底にある作品でありますが、とらえ方が違います。

 

 これは、バブル前のロボットアニメの代表が『機動戦士ガンダム』バブル後『エヴァンゲリオン』の違いということにも通じることではあります。


 バブル前というのは、「一生懸命やれば、誰かが見ていてくれる」「夢はいつか叶う」という、右肩上がりの希望的な未来予想がありました。

 ところが、バブル崩壊後、その価値観は日本社会からほぼ消滅した部分があります。

必死で勉強して『良い大学』に入ったところで、『フリーター』になってしまうような世の中になり、『ワーキングプア』なる現実がクローズアップされました。

 「もののけ姫」では、不条理な呪いを受けたアシタカは、必死で頑張っても『呪い』はとけません。

 ナウシカの映画版が、宗教を思わせる希望的ラストであるのに対して、もののけは、何の解決もされないラストになっており、これは、バブル崩壊後の若者に対して、宮崎監督がおくる『それでも、生きていこう』というメッセージだと思います。


 バブル関係ない話かもしれませんが、書籍も、ナウシカの時代はSF全盛期であり、もののけ姫はファンタジー時代であります。これも、宮崎監督が世間のブームをけん引している証明のようですね。


 とはいえ。ナウシカが今見ると色あせている、ということは全然ありませんけど。


 ナウシカは、テレビ放映されるたびにテロップに『○○賞受賞』だの『○○推薦』だの肩書が増えていった宮崎監督の出世作。最初から、おとながガンガン映画館に訪れた『もののけ』と違い、じわじわと『世界の宮崎駿』の階段を昇っていった作品です。(しかも正確にはジブリ作品じゃない)

 

 ちなみに、ナウシカについては、80年代に多く見られた『世紀末思想』も関係すると思われます。

 もののけも90年代で20世紀でありますが、実は、この世紀末思想というのは、世紀末が間近になった90年代は下火。人間というのは、勝手なもので、自分が生きている年代より20年くらい先に危機があるという説が好きなのであります。実際、90年代に入ったら、ノストラダムス(今の若い人は知らないかも?)の話なんて、トンと聞かなくなりました。

 地球が滅びかけてという図は、『ナウシカ』だけではなく、『北斗の拳』もそうですし。『マッドマックス』『ターミネーター』など、パッと思いつくだけでもたくさんあります。


 まあ。なんにしろ世紀末で滅びなくてよかったです(笑)


世界の終末伝説は平和の証。最近あまり聞かないのは、悲しいことなのかもしれません。

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