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病気

いつもありがとうございます。

 今回は『病気』です。


 ファンタジーの世界でも、病気が蔓延したりすることがあります。

『転生』した主人公だけが薬の作り方を知っているというものもありますし、『現代公衆衛生学』の基礎知識を用いて、疫病の防止を促すということも可能でしょう。

 『転生/転移』ではない場合、『どこそこの誰かに助けてもらう』とか『どこそこの誰かなら薬が作れる』ということで、冒険が始まるというのも、よくある黄金パターンではないかと思います。


 ところで。この『病気』というのは、ファンタジー的に、どう解釈するかという立ち位置によって、随分違ってくるものであります。

 薬学というのは毒学にも通じますし、外科医療の発展は、戦争や拷問などから大きく発展しております。いずれにしろ、医学というのは『発見』もさることながら『知識と経験』の積み重ねの学問であります。

『癒し魔法』というものが存在しないのであれば、モデルとしたい時代に合わせて、医療レベルを整えればよいわけであります。転生主人公が、現代知識で解決するならば、この設定がベストと思われます。

  転生でもファンタジーでもありませんが、石川英輔先生の『大江戸神仙伝』では、主人公速水洋介は、江戸時代にタイムスリップして、脚気の特効薬を依頼されておりました。


  さて。病気というものは、昔からその原因を解明しようと努力されているものではありますが、過去において、あさっての方角に解明の努力が行われていたものも数多くあります。

  『南総里見八犬伝』では、破傷風を発病した信乃の治療のために、男女の血が大量に必要などというオソロシイ展開がございます。現代人から見れば、血をぶっかけたところで破傷風が治るわけもなく、抗生物質が必要なことは自明の理。馬琴先生は江戸時代の方なので、読者は『嘘だ』といいながらも、『その時代のリアル』と思って読むわけなのでございますが、これを現代人であるところの私が書いたら、非難ごうごうでございましょう。

  ちなみに間違った呪い系治療をしても『治癒』しなければ、非難はこないと思われますが、そんなところでリアルな描写をしたところで、物語にとって『得』かどうかは別問題かなと感じます。

 現代知識を使って病気を治すというのは、作者側にある程度は医療知識が必要です。


 ただ、ファンタジー作品であれば、病気のメカニズムが必ずしも現代医学に準ずる必要もないのではないか、とも思うわけであります。

 体内を構成するエレメントバランスが崩れるとか、それこそ怨霊にとりつかれているかとかでも、全然構わない訳です。

 もっともらしい理屈と、病状を創作し、実在しない薬草を特効薬にするというのは『医学』を知らないからの『逃げ』ではないし、その作品がファンタジーである理由になると思います。

 肝心なのは、その病気が物語にもたらすもの、です。主人公の『冒険』が始まるのか、それとも『親しい人との別離』なのか。誰が病気になるのか、命にどのくらいの危険があるのかなど、物語のキーポイントになる題材なのであります。

 恋愛イベントの「おかゆができたわよ」「あーん」的な軽い扱いでも、ストーリーにおいて人間関係変化を生みますからね。


 ちなみに。個人的には『魔法』による癒しというものを『病気』にまでは拡大しない方が良いかなあと思っています。

 『病気』にまで拡大してしまうと、下手をすると現代より『死亡率』が低い世界になってしまうからです。

 それはそれで、ユートピアでいいじゃん、という考え方もあるかもしれませんが、優しい絵本の世界ならともかく、少なくともヒロイックファンタジーでは、ユートピアじゃ、全然冒険にならないと思うからです。


寒いです。みなさん。風邪には気をつけて、お身体ご自愛ください。

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