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時間と場所

いつもありがとうございます。

 その昔。

 古い推理小説を読んだときのこと。

 詳細はネタバレになるので書きませんが、『わかった! 新幹線で行けばすぐじゃん』

 と思ったのに、ぜんぜん新幹線という移動手段が出ずに、話が進み終わってしまった……。

 あとで、よくよく読んだら、『新幹線』開業前! の鉄道推理物だったのです(大マヌケなオチ)


 いや、まあ、最近は何かと便利になり、特に電話はどこにいてもほぼ通じるので、昔ながらのアリバイトリックは壊滅状態。時刻表を必死でめくらなくても、ググッちゃえば、検索のどこかでひっかかるかもしれないアリバイトリック(苦笑)かつてのトレインアリバイミステリーは、もはや古典でしかないのかなと思ったりもしますが、今回のテーマは『時間と場所』です。

 

 ファンタジーの作品によっては、空を飛ぶこともできるし、空間転移なんかをしちゃう話もあり、しかも電波や電話もなくても、テレパシーで会話しちゃったりすることができる話もあって、そうなってしまうと、主人公はどこにいても、何をしていても、事件が起こればかけつけることができてしまいます。サン○ーバードや戦隊ヒーローと違い、『移動』のための『時間ロス』すらなかったりして、どれだけ便利なんじゃ、と叫びたくなって、さすがに呆れた作品もあったなあと遠い目。


 リアルな世界では、便利だと都合が良いわけですが、便利すぎる魔法のある作品は、あえて狙っているわけじゃない限り、確実に話に面白みがなくなります。


 現代でも時間は巻き戻らないし、場所は、何らかの手段で移動しないといけません。

 つまり、ここを現代より便利にするということはある意味で『人類の夢』であります。

 これを追求しながらお話を作るなら、ファンタジーよりは、SFの分野かもしれません。


 さて。中世ヨーロッパの最速移動手段は、やはり『馬』。

 でも、騎士様ならともかく、馬というのは庶民には高嶺の花。これは、日本でも同じです。

 いわゆる普通のファンタジーの住人達は、基本『徒歩』。

 携帯電話どころか、固定電話もないのが当たり前。当然、ラジオもテレビもありませんから、情報の伝わり方が現代人の感覚的には、とても遅いし、手に入りにくいです。

 しかも。本もそこそこ貴重品でありますから、わからないことがあったからウイキで調べたなんてお手軽に謎は解けません。

 それこそ、『知っている人』にわざわざ会いに行ったりするために時間を費やす必要が出てきます。


 専制君主がまず情報伝達網や物流を重要視するのは、政治的にも軍事的にも当たり前といえます。

 離れた場所の人間が、情報を共有するのは、難しいことなのです。

 現在は、あまりにも情報が簡単に共有出来すぎて、マヒしがちですけどね。


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