表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鳥居の上

作者: 173

 ――今年も此の季節がやつて来た。



 此の神社は、地元では少しばかり有名な桜の名所だ。

 鮮やかに咲き誇る桜並木を見に、多くの人間が訪れる。


 僕は毎年、此処から其の顔ぶれを眺めてゐる。


 皆、笑顔ばかりだ。

 綺麗な桜に、あの家族も、あの男女も、あの老夫婦も。

 皆が笑顔を浮かべてゐる。


 ――けれど。

 僕は胸中で呟く。


 今、手を繋がうとした彼は隣に居る人が昨年と違ふ。

 今、腕に抱き付いた彼女は隣に居る人が昨年と違ふ。


 毎年の事だつた。


 仕方の無い事なんだ。

 さう思わんとしても、肺を掴まれたやうな想ひは霧散しなかつた。

 此れも又、毎年の事だ。


 ――祈らう。

 結局いつも、同じ答へに辿り着く。


 昨年も一昨年も、同じ願ひを祈つてゐた。

 翌年も翌々年も、同じ願ひを祈るだらう。



 ――翌年も、彼等の居場所が変わりませんやうに――


挿絵(By みてみん)


―了―

 御笑覧、有難う御座いました。

 いとま潰しの御手伝いになりましたら本稿も私も幸せです。


 本稿は季節外れの超短編です。

 旧かな遣いのアイディアは友人に頂きました。此の場を借りて、改めて御礼を。


 どうぞ今後とも宜しく御願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ