第8話 ~10年前の事件 1~
《登場人物》
デリック・フォックス X市警 警部補
アラン ・・・30代、数学教師
ビル ・・・50代、弁護士
キャサリン・・・30代、デザイナー
エリカ ・・・20代、大学生
フランク ・・・40代、医者
ハリー ・・・70代、元軍人
イザベラ ・・・30代、国語教師
ジェームズ・・・30代、新聞記者
ケリー ・・・30代、女優
ジェラルド・・・60代、ホテルジャッカル支配人
ローラ ・・・60代、ホテルジャッカルシェフ
・・・・・・10年前・・・・・・
ある日の深夜、デリックは、自宅で寝ていたところ、X署からの緊急連絡で叩き起こされ、現場に直行する事になったデリックは、警察車両で現場に向かう。向かった場所は、X市の中では一番の高層ビルだった。高層ビルは約30階ぐらいのビルで、最近ではX市の綺麗な夜景を味わう事ができるとして話題になっていた高層ビルだ・・・
デリックは、あくびをしながらやれやれと深いため息をつかせながら現場に急行する。
無線から聞いた話では、高層ビルで爆破テロではないかというらしい。しかもどうやらデリックが自宅で寝ている間に爆破されてしまった上に死傷者が出てしまっている最悪の状況である。
デリックが現場に着いた時、そこには何台ものの警察車両、特殊部隊の装甲車、救急車が高層ビルの正面入り口前に停まっていた。高層ビルの25階付近では、窓ガラス、外壁が吹き飛び、内部が見えている状態だった。
デリックは、車から降りて、上司の元に向かう。上司はデリックが来たのを気づき声をかける。
「悪いな、こんな夜中に叩き起こしちまってよ・・・」
「しょうがないですね・・・こんなことが起きちまっているんだから・・・被害状況はどれぐらいに・・・」
上司は、首を横に振り、状況は最悪であることを示した。
「最悪だよ・・・爆発したフロアには、約50人はいたが爆発で40人が死亡した・・・たまたま、別のフロアにいた人達の救助はしている。まぁ、後で色々と訊かなければならんがな・・・」
「そうですか・・・」
「ちょっと・・・すいませんがいいですか?」
デリックと上司が話しているときに、特殊部隊の隊長が上司に話しかけてきた。
「ああ、何だね?」
「ビルをくまなく捜索しましたが、爆弾や不審物は見られませんでした。もう一度調べますか?」
「いや、もういいよ。 もう中に入っても大丈夫だな?」
「ええ、構いません」
「よし、分かった」
上司は、部下たちを集める。
「よし、みんな集まってくれ! これからフロアに入り、捜査を始めるぞ! 25階に乗り込むぞ! デリック・・・お前は、負傷者から事情を訊いてくれ! よし行くぞ!」
「はい!」
デリックは数名の部下を連れて、そのまま救護班のところまで行く。そこには、10人の負傷者や現場関係者がおり手当てを受けていた。そこには、パーティーに招かれていた教師夫婦、弁護士、軍人、デザイナー、新聞記者に女優、そしてビルスタッフ2人、両親とはぐれた子供がいる。軍人は、爆破で右腕を負傷したらしく手当てを受けている。奥には、爆破によって死亡した遺体の検死をしている黒人の医者がいる。
教師夫婦の夫は、泣いている妻を落ち着かせていた。弁護士は椅子に座り、腕時計で時間を気にしている。軍人は激痛をこらえながら手当てを受けている。デザイナーは眼鏡を外して塵や埃で汚れてしまっているレンズを眼鏡ふきで拭き取っている。新聞記者は、携帯電話で新聞社本社に電話して、事件の状況を報告している。女優は煙草をふかしている。ビルスタッフは、別の警官と共に事情を訊かれている。はぐれている子供はひたすらパパ、ママと叫びながら泣いている。
デリックは、この状況の中事件の真相を知るために一人ずつ質問することにした。最初は、教師夫婦の夫に訊くことにした。
デリックは、夫婦に近づき、自己紹介をする。
「どうも・・・」
夫は、デリックに気付き返答する。
「ああ、どうも・・・」
デリックはスーツの懐の警察手帳を見せて紹介する。
「X署のフォックスです。大変な事に巻き込まれてしまいましたな・・・お怪我の方は・・・?」
「いえ、大丈夫です・・・それで・・・」
「ああ、すいません。実を言うと2.3、お訊きしたいことがありましてね・・・テロの状況を教えていただきたくて・・・宜しいですかね?」
デリックのお願いに夫は答える。
「ええ、構いませんが・・・なんでしょう?」
「どうも・・・では、爆破される前の状況とか覚えてますか?」
「ええ、私達は招待されたパーティー会場でパーティーに参加してた時に、男が入ってきたんです。その男は爆弾を体に巻きつけていました」
妻が泣きながらデリックに伝える。
「ええ、男が入ってきて、ステージに登って何かを叫んでいたんです・・・そのあと、一瞬だったものですから・・・」
「そうですか・・・ちなみにですが、このパーティーは、なんの集まりだったのですか?」
「・・・簡単に言うと、ある巨大企業のパーティーだったんです。私たちは一応、関係者の友人に招待されちゃって来たようなもんなんですけどね」
「そうだったんですか・・・」
「確か、その企業の名は・・・思い出した! レナード社でした」
「ああ! レナード社だよ。 軍でもこの会社は、兵器開発提供、武器提供で有名だったからな・・・」
手当を受けていた軍人が、夫婦の話に横槍を入れた。
「レナード社は、嫌われていてね・・・特に、イスラエルやパレスチナ、パキスタンにカザフスタン、アフガニスタンの過激派やマフィア等だよ。このテロはどう考えても過激派による報復だよ。しかも今日のパーティーは、創業65周年のパーティーでね・・・我々は、レナードグループの招待客ってやつさ・・・」
「ねぇ、ちょっと早く家に返してよ!」
奥では別の警官が女優の事情を聴取していた。
「まぁまぁ、ちょっと待ってください。これさえ終われば帰って構いませんから・・・」
デリックは、軍人の話を続けて聞く。
「それで、そのレナード社が狙われたと・・・」
「ああ、間違いはない! 本当だ!」
デリックは、話の途中で無線連絡を受ける。相手は上司のようだ。
「はい、デリック」
「デリックか、悪いが上のフロアに来て手伝ってくれ。どうやらまだ生存者がいるらしい。急いでくれ!」
「了解! すぐ向います・・・」
デリックは無線を切り、ほかの部下達に事情聴取を任せる。
「あとは、よろしく頼む」
「了解!」
デリックは、そのままビルを向かおうとしたところ、奥から遺体の検死をしていた黒人の医者がデリックを呼び止める。
「おい、ちょっと待ってくれ」
「ん、なんだ? あんたは?」
「一応、このパーティーに参加してた者でね・・・まさか、こんな形で巻き込まれるとは思わなかったんだが・・・さっきのも手遅れだったよ・・・悪いけど報告書にサインしてくれないか? 現場監督者に頼んでもらって・・・」
デリックは、医者に封筒を渡される。中には、何枚ものの紙切れだった。デリックは、了解した。
「わかった。あんたは引き続き、検死をやってくれ。それに、また犠牲者が出てきそうだから・・・」
「わかった!」
医者は、そのまま遺体のところに向かい再び検死を始めていた。デリックは、救護班のところから離れて、現場の高層ビルへと向かった。高層ビルの正面ゲートに入る。ゲートには警察関係者、ビルスタッフが色々と作業をしていた。
デリックは、ビル正面のエレベーターに向かいスイッチを押し、エレベーターに乗った。エレベーター内の壁には《レナード社創業記念パーティー》と書かれ、会社の紋章として狐が描かれていた。
デリックは、それを見て、ふと考え事をしながらエレベーターが現場である25階に着くまで待っていた。
下手くそが書きました。
超展開になる事をお許しください。
読んでいただけたら幸いです。
誤字脱字がございましたらご指摘をよろしくお願いします。
今回の話は、10年前の回想です。
話はまだまだ続きます。