第7話
《登場人物》
デリック・フォックス X市警 警部補
アラン ・・・30代、数学教師
ビル ・・・50代、弁護士
キャサリン・・・30代、デザイナー
エリカ ・・・20代、大学生
フランク ・・・40代、医者
ハリー ・・・70代、元軍人
イザベラ ・・・30代、国語教師
ジェームズ・・・30代、新聞記者
ケリー ・・・30代、女優
ジェラルド・・・60代、ホテルジャッカル支配人
ローラ ・・・60代、ホテルジャッカルシェフ
西館のバルコニーにモニター達が集まった。時間はすでに深夜12時を過ぎようとしているところだった。
デリックとフランクは、最後らしく既に、バルコニーのソファーや、椅子はモニターで埋まった。
その中でもアランは、イライラしているらしく、ソファーの前にある机の灰皿は煙草だらけだった。アランはとうとうデリックに対して、怒鳴り声をあげる。ケリーも一緒にデリックに対して怒りをぶつける。
「おい、あんた!! どういう事だよ。一体・・・・? なんで俺達がここに集められなきゃならないんだよ? ふざけるのもそこまでにしろよ!」
「そうよ、ふざけるのもいい加減にしてよ・・・せっかくの休暇が無駄になったじゃない! どうしてくれるのよ?」
「ちょっと・・・アラン、そこまで怒鳴らなくたっていいじゃない・・・」
イザベラは、怒鳴るアランを止めようとする。アランはイザベラの言う事を渋々、聞きながらソファーに座り、新しい煙草を吸い始める。ケリーは、イライラしながらテーブルに行き、テーブルの上に置いてあるグラスに入ったウィスキーを飲み干した。
ハリーは、ソファーに座ったまま自分のお気に入りの葉巻を吸っていた。エリカはケリーとキャサリンと同じテーブルのところに座っていたが、ケリーが不機嫌そうだったのでとにかく離れようと思い、ハリーの隣に座り、緊迫した雰囲気の中で一人おどおどしている。
重い空気の中、フランクは軽く溜息をついた。
「ふぅ・・・やれやれだな。一応みんなに言っておこう。デリックお前から言ってくれ」
「ああ・・・そうだな・・・それにモニターのみなさんを呼んだ理由は色々と訊きたい事があるからな。では、さっそく・・・皆さん、ジェラルドさんに呼んでここに集まってもらった事に不可解に思いになったとお考えでしょう」
アランは、不機嫌そうにデリックに伝える。
「ああ、そうだが、一体なんだよ。私たちをこんな時間に呼び出して、そんなに重要な何かが起きたのか? 正直言って、迷惑なんだよ!!」
デリックは、冷静に淡々と話す。
「ああ、それについてはすまない。申し訳ないと思っているさ・・・でも2人目の被害者が出てしまったのでね皆さんの安否確認も必要だと思ったわけですよ・・・」
「えっ・・・?」
イザベラが1人のモニターが来ていない事に気づく。
「あれ、そういやビルさんがここに来ていませんね・・・」
デリックは、イザベラの反応に対して答える。
「そうです。ビルさんが2人目の被害者ですよ。建設中の南館プールの底で、胸を刺されて死んでいるのが発見されたんですよ・・・」
「何だと!?」
いきなり反応したのは、ハリーだった。
「そ・・・それは、本当かね?」
デリックは、答える。
「そうです。フランク氏にも軽く検死をしてもらいましたし、その場には、ジェラルドさんもいましたから・・・」
「ええ、間違いなく、あれはビル様でした」
「何という事だ・・・」
ハリーは、ショックだった。だが、それを見向きもせずデリックはそのまま話を続ける。
「それで、皆さんがビルさんが、南館のプールで死体と化する間皆さんがどこにいたか教えてもらいましょうかね・・・」
それを聞いたケリーはデリックに再び詰め寄り、怒声を含めたような不満をぶつけた。
「ちょっと待ってよ、私達を疑ってるの? ふざけるのもいい加減にしてよ!! ジェームズが消えた時も真っ先に私達を疑ってたじゃない・・・」
キャサリンもそれについて付け足す。
「本当は、あなたが殺ったんじゃないの? 2人を・・・」
デリックは、キャサリンの質問を強く否定する。
「俺を疑ってるのか? 冗談じゃない。こっちだってこんなこと起きるなんて分からなかったんだよ!! それにビルを刺した凶器は、俺達がディナーで使った果物ナイフだよ。切れ目から見て、間違いなかった」
「ちょっと待ってくれ。じゃあ、私達の中に、ビルさんを殺害した犯人がいるのか?」
アランは、デリックに事実かどうかを確認させる。デリックは、応答する。
「そうなる。だから今いる人達に、9:00分~10時の間・・・どこにいて、何をしていたか訊きたくてね・・・簡単な質問だから答えることぐらいできるでしょ」
アランは、デリックの答えにうなづく。そしてアランは、デリックの質問に答える。
「うん、そうだな。ただこの時間帯に何をしていたかを答えれば、それでいいんだよな・・・私とイザベラは娯楽室で、ポーカーをやっていたよ。そこにはエリカさんも一緒にいたな・・・」
「ええ、一緒にいました」
デリックは、メモ帳でそれぞれのアリバイを書き連ねる。アランは、そのまま続ける。
「それに確か・・・ハリーさんも娯楽室で死ぬ前までビルさんとビリヤードをしてたが・・・」
「ああ、してたよ・・・モニターの紹介の時に気が合ってね・・・生前までビリヤードを楽しんでいた。だけど途中で、彼は人に呼ばれているので抜けると言っていた・・・」
ハリーは、葉巻を吸いながら答えた。デリックはそのまま書き連ねる。そして続けてキャサリンとケリーに訊く。
「お二人さんはこの時間の間、どこにいた?」
キャサリンが先に答える。
「どこにいたって言われても自分の部屋に決まってるでしょ。東館3階301号室よ・・・あなたの1つ隣よ。あなた、確か・・・303号室でしょ?」
デリックの部屋は、303号室である。デリックは続ける。
「それで、何をしていたのか?」
「何をって・・・自分の部屋でシャワー浴びていたのよ。文句ある?」
「いや、ないよ。ケリーさんは? この時間帯、何処に?」
「私は、自分の部屋で寝ていたわ。ジェラルドさんのコールで叩き起こされたけど・・・」
「ああ、申し訳ありません・・・」
ジェラルドは、ケリーに謝る。ケリーはデリックに対し反論する。
「それはそうと・・・あなたはどうなのよ?」
「えっ・・・?」
「だって、あなたがビルさんを見つけたんでしょ? だったらあなたも怪しいわよ・・・第一にあなたが殺した後で発見者のふりだってできるじゃない・・・それに、ジェームズさんが消えた時もそうだったじゃない!! あなたとジェラルドさんが最初だって・・・」
デリックは、ケリーの反論を否定する。
「ふざけるな!! 俺じゃない・・・何で、俺がビルを殺さなくちゃいけないんだ? 何でジェームズを消さなくちゃならないんだ? 言っておくがな、俺は、ビルが死んでいるのを発見するまで、俺は自室で休んでたんだ!」
「そうだ・・・フランクは、どうだ?」
「俺か? 俺も自室で休んでたが・・・・」
「ほら、よく考えろよ・・・自室に休んでいた人間は俺を含めて4人もいる。それに、娯楽室にいた人間も怪しいに越したことはないしな・・・」
「何だと!?」
アランは、立ち上がり、反論しようとするが、イザベラに止められた。そのままデリックは、もう1つの質問をぶつける。
「そういえば、俺達は、このホテルで出会って、ファミリーネームを聞いていなかったな・・・アラン夫妻のファミリーネームは?」
「えっ・・・?」
アランは何の事だか、さっぱりだったがイザベラが代わりに答える。
「フォックスですけど・・・」
「エリカさんは?」
「《フォックス》ですが・・・・あっ・・・!!」
「どうしたんだ?」
「全員、もしかしてファミリーネームが同じなのでは・・・?」
「ああ、ここにいるモニターはそうだ。ハリーさんのファミリーネームも《フォックス》そして、キャサリンも《フォックス》ケリーも《フォックス》だ・・・」
キャサリンは、そのまま話を聞きながらテーブルのウィスキーボトルからウィスキーをグラスに注いで飲んだ。ケリーは自分のファミリーネームを当てられると、どう反応したらいいか分からず、黙り込んでしまった。
「ぐっ・・・うううううう」
キャサリンがいきなり席を立ちもがき苦しむ、口からたらたらと血が流れ始める。
「ごほっ・・・げほっ・・・くっ、苦しい・・・」
キャサリンは、体勢を崩し、テーブルの横へと倒れる。エリカとイザベラが悲鳴を上げ、アランとフランク、デリックは急いでキャサリンの元へと近づく。キャサリンは、体を震わせながらもがき苦しむ。喉元を押さえて苦痛を和らげようとするが全然、和らげれない。
キャサリンは、そのまま目を瞑ってしまった。フランクがキャサリンの手首の脈を測るが、すでになかった。フランクは続けてペンライトを取出し、キャサリンの瞳孔を見る。開いたまま・・・
《とうとう3人目の被害者が出てしまった・・・》
フランクは、自分の腕時計で、時刻を確認した。
「12:48分・・・死亡確認・・・死因は、青酸カリだ・・・アーモンド臭がする。」
「そうか・・・ウィスキーの中に毒が入っていたんだろう・・・」
デリックは、推測をする。犯人は、このモニターの誰かである事を・・・
すると、いきなり、誰も見ていなかったTVが、勝手に映りだし映像が出た。しかしこの映像には誰も映し出されてはおらず、画面は黒一色だった。そこから、ボイスチェンジャーで編集された声が出てきた。
「やぁ、諸君・・・こんばんは・・・さて、私が一体誰だかわからないだろう? 答えよう。 当ホテルのオーナーであるジョン・ドゥである。 さて、君達がモニターとして呼ばれた理由は、このホテルの感想を求めるものではない・・・」
アランとフランクは、いきなりの状況を理解することができずにいた。デリックは嫌な予感しかしなかった。
「君達がここに招待された理由は、10年前に起きた事件の現場にいた人間達だからだよ・・・」
「10年前の?・・・どういう事?」
エリカは、どういう事かわからなかったが、その他のモニター、ジェラルド、そしてデリックは感づいていた。そしてデリックは、苦い記憶を再び思い出すことになってしまった・・・
第7話でございます。
下手くそですので、超展開はご了承ください。
誤字脱字のご指摘あれば宜しくお願いします。
話はまだ続きます。