第17話 ~ 真相 2 ~
《登場人物》
デリック・フォックス X市警 警部補
アラン ・・・30代、数学教師
ビル ・・・50代、弁護士
キャサリン・・・30代、デザイナー
エリカ ・・・20代、大学生
フランク ・・・40代、医者
ハリー ・・・70代、元軍人
イザベラ ・・・30代、国語教師
ジェームズ・・・30代、新聞記者
ケリー ・・・30代、女優
ジェラルド・・・60代、ホテルジャッカル支配人
ローラ ・・・60代、ホテルジャッカルシェフ
エリカは、デリックにビル、キャサリン、ハリーの三人を殺害するまでの経緯を説明し始めた。
1日前・・・娯楽室・・・
ビルとハリーの二人は、ビリヤード、アラン夫妻とエリカは三人でポーカーをやっていた。ハリーのビリヤードの腕前はなかなかのもので、ビルはゆっくりとハリーの腕前を見ては賞賛していた。
「いや~素晴らしいですな。すごい腕前ですな」
ハリーもその賞賛を受けながらもビルの腕前を褒める。
「はははは、ありがとう。だが、あなたもなかなかの腕前じゃないかね」
「いやいや、とんでもない。私なんか、まだまだですよ」
ビルは、そう言いながら自分の番となり、キューを駆使してボールを穴へと沈めていく。
そんなこんなでゲームは、ハリーの勝利となった。ビルは、ハリーを褒め称えた。
「いや~お見事ですな! 完敗です! 私のプレーはあなたの前では、どうもホコリがかって仕方ないくらいですよ」
「ははは、ビルさんもなかなかの腕前でしたよ」
「それはどうも! おっとこんな時間か・・・」
ビルは自分の腕時計で時間を確かめた。それをハリーが見つめながら質問してみた。
「おや、どうかされたのですか?」
ビルは、ハリーの質問に少し動揺しながらも答えた。
「えっ? ええ、ちょっと今から少し仕事の連絡で、自室に戻らないと・・・」
「おや~ ここでも仕事は良くないですなぁ。ここは、まぁ、ひとつ息抜きということで休まれては如何ですかな?」
「そうしたいですが、まだ要件を終わらせなければ、仕事から解放されませんので、ここは一度、失礼します」
「そうですか。では、また今度に、ではおやすみなさい」
「ええ、おやすみなさい」
ビルは、ハリーに一礼し、娯楽室を出て行った。
エリカはビルが出て行った後で、アラン夫妻とのポーカーを切り上げ、エリカはアラン夫妻に告げた。
「すいません。私、そろそろ自室で休みます」
アランはエリカに言った。
「そうか。それならば、ゲームはこれで終わりにしよう。ゆっくり休んだほうがいい。なぁ、イザベラ・・・」
「ええ、そうね」
「すいません。ゲームに付き合っていただいて・・・すいませんが、お先に失礼します。お休みなさい」
エリカは、アラン夫妻に言った後で娯楽室を出て行った。エリカは、そのまま廊下を早歩きで移動し、自分が着ているパーカーのフードを被り、南館のプールへと向かった。
南館のプールは、工事途中のままで水が入っていない為プールの底が見えている状態であった。そのプールには、左腕の時計を見ながら待つビルが立っていた。エリカは、プールの底へと繋ぐ階段を下り、ビルに近づいた。
ビルもエリカに気づき、時計を見るのをやめて話し始めた。
「あなたが私の部屋にこの紙を置いた張本人ですな?」
ビルはズボンのポケットから1枚の紙切れをエリカに向けた。その紙切れは、こう書かれている。
《10年前の事件の真実を知る者である。この真実を一般の世界でバラされたくなければ、9時に南館のプールまで来い》
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エリカは下を向いて黙り込む。しかし、ビルは、口による攻撃の手を緩めない。
「だんまりですか・・・どうしてこんな事をしたのですか? 私に、何か恨みでもあるのかね?」
ビルの問いにエリカは、無視してビルに対して逆に質問を提起した。
「・・・レナード事件を覚えているか?」
「はぁ?」
「10年前あなたのところの会社のパーティで起こした爆弾テロの事件を覚えていないのか?」
ビルは、エリカの質問について心の中で思い当たるものであり、ビル自身にとっては、思い出したくない過去と言えるものだった。ビルは、しらばっくれる。
「何の事だ? 私はあのパーティーに出席していたのは確かだ。しかし、あのテロについては何も知らない」
「そうですか。じゃあ、これを知らないわけはないはずよ!!」
エリカは、一つの封筒をビルに投げ渡した。その封筒には、写真が入ってあり、10年前の事件の理由とも言える光景が写っていた。
その写真は、テロで死亡した実行犯達とハリー、キャサリン、ビルが写っているものであり、写真の背景には、飛行場の格納庫で奥の戦闘機にはレナード社の社印が押されてあった。
ビルは、写真を見て、エリカに反論する。
「これがどうしたというのだね?」
「あのテロ行為は、営利目的の狂言ですね?」
「冗談はそれぐらいにしてくれるかね? この写真など嘘っぱちだ!」
「嘘っぱちですか・・・よく言えましたね。10年前、私は当時、子供で何が起きたのか全く分かりませんでしたよ」
「えっ?」
エリカは、フードを外し、ビルに顔を見せた。ビルはどこかで見たようなと考え込んでいた。
「エリカさん・・・あなただったのかね」
「10年前、私はあのパーティー会場にいました。覚えていないでしょうね。両親をあなた達の狂言で殺されたんです! 証拠ならここにあります」
エリカは、もう1つの写真をビルに渡した。その写真は、パーティー会場の裏で中東系の男とスーツ姿をした男が封筒を渡している所を撮られていた。
ビルはその写真が決定的な証拠であると感じ観念したのか、いきなり笑いだし開き直った。
「・・・・・・ふははははははははははははは、そうだよ。全ては狂言だよ。あのテロで出した犠牲者は少しお粗末だったが、逆に悲劇の効果で戦争特需をもたらしてくれたのでよしとしよう」
「テロの目的は、何だったんですか?」
ビルは、答えた。
「ああ、目的かね。良いだろう教えてあげよう。当時のレナード社は業績が芳しくなくてね。状況としてもそろそろまずかったんだ。そこ浮かび上がったのは狂言によるテロ行為だよ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「丁度、10年前はある国との関係が悪くて戦争開始まで一歩手前に来ていた。そしてある国の過激派にレナード社の武器を提供させ、わざとうちの会社のビルを襲わせた。そうすればうちの会社は、悲劇の的となり、政府は過激派の国と戦争を起こさざるおえない。そして我がレナード社は軍需により業績悪化を免れたのさ・・・」
エリカはビルの話を聞きひとつの質問をビルに投げかけた。
「じゃあ、私の両親もレナード社、立て直しで行われた犠牲・・・というわけですか?」
ビルは、答えた。
「ああ、そうだ! 君のご両親には申し訳ないことをしたかもしれんが・・・まぁ、過ぎてしまった事は仕方ない。君が生きているという事で良しとしたまえ・・・じゃあ、もう私の用はないね。じゃあ部屋に戻らさせてもらうよ」
ビルは、部屋へと戻ろうと体を動かそうとした瞬間、体の何処かに異変を感じた。白のシャツから心臓部分が赤くなっているのが分かり、その心臓部分にはホテルのマークがついた柄の果物ナイフが見えた。
「うぐっ、ぐふっ」
ビルの口から逆流してきた赤い液体がゆっくりと滴り落ちてきた。
「ごめんなさい。私は、この為にあなたを呼んだんです」
エリカは、ビルの心臓部分に刺さっている果物ナイフを抜いた。
ビルは、そのまま横へと崩れていく。ビルの視界はどんどん黒くなっていき、最後の映像は、目前で立っているナイフを持ったエリカが、にっこりと微笑を浮かべていたものだった・・・・・・
完全復活です。投稿遅れました。 すいません。
今回は、第17話 真相編 2です。
下手くそが書きました。
超展開になる事をお許しください。
誤字脱字がございましたら、指摘もよろしくお願いします。
この作品を読んで頂いている方、本当ありがとうございます。
拙い表現や会話文かもしれませんが、大目にみてもらえると嬉しいです。
話はまだまだ続きます。




