第10話
《登場人物》
デリック・フォックス X市警 警部補
アラン ・・・30代、数学教師
ビル ・・・50代、弁護士
キャサリン・・・30代、デザイナー
エリカ ・・・20代、大学生
フランク ・・・40代、医者
ハリー ・・・70代、元軍人
イザベラ ・・・30代、国語教師
ジェームズ・・・30代、新聞記者
ケリー ・・・30代、女優
ジェラルド・・・60代、ホテルジャッカル支配人
ローラ ・・・60代、ホテルジャッカルシェフ
デリックは、10年前の苦い過去を思い出してしまった。
「10年前・・・レナード社のパーティーで爆破テロが起きた事件、俺にとって、できたら忘れたい過去だ。この事件さえなければ・・・・」
ジョン・ドゥは話を続ける。
「君達は、レナード事件をご存知かな? 10年前レナード社という巨大企業のパーティーで爆破テロに遭った・・・君達は、その現場にいた生存者達だよ。その上、リストを見たが、全員ファミリーネームがフォックスとはね・・・まぁ、それは、さておき、君たちはここから帰れない。いや帰さない。君達は、私の獲物だからね・・・」
「え、獲物?」
エリカは、ジョンの発言に対して疑問を感じた。
アランは、ずっとイライラし続けている。イザベラは、アランをなだめながらジョンの話を聞いている。
「その証拠として、ビルとキャサリンだ! あいつらは死んで当然な奴等だよ。ビルはレナード社と結託して多額の資金洗浄を行なっていた。そしてキャサリンは、レナード社の社長と愛人関係で、2年前に事故に見せかけて社長の妻を殺した。ジェームズは、レナード社に不利な情報を売っていた情報屋を自殺に見せかけて殺したんだ!」
デリックは、ジョンの話を信じることができなかった。
ジョンは話を続ける。
「フランクは、レナード製薬と癒着をしている。エリカあんたは1年前、友人が消息不明になっているが本当はあなたが殺した」
「ふざけるな!」
「私は殺してなんかないです!」
フランクとエリカはジョンの発言を否定した。しかしジョンは、続ける。
「ハリーは、レナード社と兵器密売を行なって私腹を肥やしていた上に、他の兵器産業のでたらめな情報をメディアに流させて経営破綻に陥れた。ケリーは、自分が起こした人身事故を隠蔽した」
「ふざけないでよ」
「嘘だ! わしはそんな事を一切しておらんわ!」
ケリーはジョンの発言を強く否定し、ハリーもケリーと同じ通りに否定したが、ジョンは続ける。
「そして、デリック・・・あんたは、10年前の事件で何をした?」
「何をって・・・ただの事件担当だったよ」
「人を撃ち殺しといてな・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あんたは、人を撃ち殺した。そうだろう・・・黙っている事は、図星だな。刑事としてはしてはいけないことをやったんだ」
ジョンの言っている事は確かだった。デリックは反論する事ができなかった。
「ああ、確かだ!! 俺は人に向けて拳銃の引き金を引いた。そして殺したさ。10年前のレナード社の爆破事件で、救助された生存者が実はテログループの人間の一人で、俺の部下を人質に取られたんでなどうすることもできなかったのさ・・・だから俺は、人質をとった男の足めがけて拳銃で撃ち抜き、3発やつの体に弾丸を放ったんだ。そして死んだ。 現場にいたのはそれぐらいだ。仕方なかったんだよ」
他のモニター達は急に黙ってしまった。ジョンは続ける。
「まぁ、ここにいる全員が何かの事件で犯罪を犯した人達ではないけど、10年前のレナード社の爆破事件の現場にいた人達は、どうであれ同罪だから私がこの手で裁いてやるけどね!! 気をつけた方がいいよ!!特にハリーさん、ケリーさん、デリックさん じゃ、素敵なバカンスを楽しんでください」
そう言った後、テレビの画面は消えた。
ハリーは、杖の力で立ち上がり、自分の部屋に戻るために廊下へと移動するが、デリックに止められる。
「ちょっと、あんた何処へ行く気だ? 一人で?」
「何処へ・・・って、わしの部屋だよ。何だ、文句があるのか? このとおり、皆で集まって、彼女が死んでしまっては、自分の部屋で休んでいたほうが何倍も安心だよ!」
デリックは、黙ったままハリーが自分の部屋に向かって、東館の廊下を歩いていくのを見つめていたが、フランクが、キャサリンの亡骸について訊いてきた。
「最悪なバカンスになっちまったな。とにかくここに亡骸をおいておくのもなんだしな。でも、刑事のあんたならどうするんだ?」
「とにかく、死体にブルーシートをかぶせとくか・・・ジェラルドさん・・・ありゃ?」
さっきまでいたはずのジェラルドとローラ、ケリーは姿を消していた。デリックは、他の人達に訊いてみる。
「あれ、ジェラルドさんとローラさんとケリーさんが見当たらないけど・・・」
すると、エリカが3人の行方をデリックに教える。
「ジェラルドさんとローラさんは、スタッフルームで救出の手配だとか、ケリーさんは、自室に戻られて行かれましたが・・・」
「そうか、ありがとう」
「フランク、とにかくブルーシートで覆い隠すしかないな。せめての手向けとはいかないがこうするしかないだろう」
「ああ、そうだな」
アランは、デリックとフランクの会話に入る。
「ブルーシートをかけたりするなら私も手伝うよ。それぐらいは大丈夫だ」
「そうだな、じゃあ、ブルーシートを取ってこないといけないな」
「ああ、だが、あっても建設中の南館にいかないとないぞ」
「取り行くか・・・」
デリックはやれやれとため息をつき、南館に行こうとする前に、イザベラとエリカをどうするかを考える。とにかく、みんなが集まって、一人死んでいる為、皆でいても一人だけでいても不安だった。一応、イザベラとエリカに訊いてみる。
「二人はどうする?」
この質問に、最初、イザベラが答える。
「私は一緒に行きますわ。アランと一緒じゃなきゃ、不安ですもの」
「エリカさんは?」
エリカは、頭を押さえ、答える。
「ちょっと頭痛が酷くなってきたので、自室に戻って休みます」
「分かった」
そう言い、エリカは立ち上がり、東館に向けて廊下を歩いて行った。
「じゃあ、行くか」
フランクが先陣を切り、デリック、アラン、イザベラの4人は南館へと向かう。しかし、南館に行くには、一度、西館のエレベーターで二階に昇ってから、南館に向かわなければならなかった。どういう構造なのか、デリックは、いまいち理解できなかった。現在、南館一階は建設中で通れないらしいということだが、仕方ないと考えながら、エレベーターに乗り込み、二階に昇る。二階に着いた後は、南館の建設中の現場に向かう。
建設現場に着き、フランクとデリックがシートを取って来て、キャサリンの遺体があるバルコニーへと運んでいく。
西館のバルコニーについた時、そこには、キャサリンの遺体の近くでジェラルドが立っていた。デリックはジェラルドを見つけて、何処にいたのかを問う。
「探したよ。ジェラルドさん・・・あんた何処にいたんだ?」
「申し訳ございません。実を言うと、この状況になってしまい、もはやどうする事もできなくなってしまったので、至急救助を呼ぼうとしたのですが、繋がらないんです」
「何・・・繋がらない? 電話できないのか?」
「ええ・・・おかしいと思って通信用のケーブルのサーバーを見に行ったら、ボロボロに破壊されてまして・・・通信ができない状態に・・・」
「じゃあ、俺たちは帰る事ができないのか?」
アランは、絶対絶命の状況にさらされている事を感じた。イザベラも大変な状況であることを理解できた。
デリックは、ジェラルドに問う。
「じゃあ、行きで使った飛行機は、どうなんだ?」
「あの飛行機は、特別の片道だけでのチャーター便だったんです」
「じゃあ、帰りの便はチャーターされてないのか?」
「そうなります。ただ、ホテルの食料補給とかで飛行機が立ち寄ります、ですが、次の補給は3日後なんです」
「そんな・・・ってことは3日まで孤立のままかよ!?」
「・・・そうなります」
「そんな・・・何処かに殺人犯が潜んでいるかもしれないのに・・・」
ジェラルドは、説明を続ける。
「ともかく、3日はこの島で過ごしてもらうことになります。申し訳ありませんが、辛抱ください」
デリックは、必死に説明するジェラルドに質問する。
「ジェラルドさん、聞きたい事があるんだが・・・」
「・・・っえ、なんでしょうか?」
「電話の通信用回線サーバーをやられたんだよな? それで電話が使えなくなっている状態なのか?」
「はい、そうですが・・・」
「その回線サーバーはどこに設置されてあるんだ?」
「サーバーは、ちょうどここの地下でございますが・・・?」
「案内してくれないか?」
「構いません」
「じゃあ、案内してくれ」
「かしこまりました」
フランクは、デリックに訊く。
「おい、サーバー回線のところに行っても意味はないんじゃないか?」
「一応だよ。もしかしたらだが、何かつかめるかもしれない・・・」
「わかった。俺も行こう!!」
「そうするか・・・アランさん・・・」
「なんですか?」
「あなたは、イザベラさんと共に部屋で待機していてください。いいですね?」
「・・・ええ、分かりました」
ジェラルドは、その間にバルコニーのカウンター机の引き出しからひとつのカードキーを取り出した。
「では、行きましょうか」
そう言い、デリック、ジェラルド、フランクの3人は、西館の地下へと向かう為、西館のエレベーターへと向かった・・・
下手くそが書きました。
超展開になる事をお許しください。
誤字脱字がございましたら、指摘もよろしくお願いします。
気づけば、10話目・・・早いものです。
話はまだまだ続きます!!
この作品を読んで頂いている方、ありがとうございます。




