店を出したい!
戦闘は……できることならしない方が良いかも。
素材もだけど、周りに影響があると大事な草が生えない環境を作ってしまうかもしれない。
あの日から少し時間が経って私はようやく一つの結論に辿り着いた。
「私……ノルストガルドの辺境の地でのんびりとしたい!ポーション作ったり、草と戯れたいのよ!」
唐突に私が隠居したいことを口にすると、あっさりとマーツとヤマブキにスルーされてしまった。
「今の話、聞いてたよね?」
「あれ……冗談じゃないのです!?」
「我も冗談かと思っておったぞ ネム様」
真剣に言ったのに。そんなことはどうでも良いとして……この案は通させてもらうわ!
「ほら…お金もマリーさんとの取り引きで潤ったしさ〜家だって購入できるんじゃない?」
「たしかに家を買えるくらいはお金あるとは思いますけど……大丈夫なのデス?」
「ん?何か問題あるかな?」
どうやらマーツはマリーさんとの定期的な取引があるから距離が離れてしまうと帰るのが大変だからと心配したらしい。
「そう言うことね!それならご安心♪」
「何か対策あるのデス?」
私は彼女に秘策を説明することにした。
「実は私……見つけちゃったんだよね!」
「何を見つけたのデス?」
「この間、マリーさんに変な草が無いか聞いてみたんだけど……触ろうとすると姿が消えて別の場所に出現する奇怪な草がルームラって呼ばれる森があるって聞いた日にマリーさんに連れられてその森に入ったの!」
「あーっ!だかり、この間は遅かったのデス?」
「まぁね♪」
「それから森の中を探索してたらついに、ついに…
見つけたんだけど……なかなか採取がムズくてなかなか大変だったんだけど…マリーさんの協力でなんとかゲットしたんだぁ♪」
マーツは呆れ顔で私の話を聞いていた。
「そしてこちらが……ジャジャン♪」
ネムは唐突に収納ポーチから取り出してマーツに見せたのは変哲もないポーションだった。
「これって何なんデス?」
「これは……テレポート・ポーション!」
「自分が行きたい場所を想像しながら飲むと行きたい場所に一瞬で行けるという優れ物なの♪」
「えぇ……そんなの作っていたのデス!?
昨日、夜中にゴソゴソしていたのはそういう…」
「えっへん!」
(いゃー、褒めてないのデス……執念を感じます)
テレポート・ポーションに使われている草が
【ワープ草】と命名したんだけど…なかなかの曲者で様々な方法を試した結果……氷結ポーションを少し離した場所で割り、周囲を凍らせることで動きを止めると簡単に採取できる。
ちなみに採取すればワープしなくなるみたいで収納ポーチに入れても消えない。
そんなこんなでマーツを納得させた私は辺境の地リクルスへと足を運んだ。
そこで一軒家を建てて、その家の一階を私専用のポーション販売店としてオープンさせた。
その名も……
『錬金術師ネムのポーション屋』
辺境の地ともあり、人出は見込めないとは思っていたけど、想像していたよりも大好評で沢山の人々が訪れる人気店になったのでした。




