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ギルドでの騒ぎ(後編)

「ネムさん……いや、ネム様……どういうこと?」


 シアナさんは私を突然、『様呼び』に変えると目を見開いて私に詰め寄って来た。


「何なんですか!こんなことはギルドの受付嬢を始めてから5年……初めてです。」


 思っていたよりも微妙な年数……。それでもこんな風に取り乱すのは特別に何か不都合が起きたのだろうか…私はシアナさんに何があったのかを聞いてみることにした。


「あなた……前職業に適性を持っているんですよ?しかも、全ての職業のレベルが上げやすい早熟型なんて見たことない!」


 全ての職業が鍛えられるってこと?それにしたって私は派手にデビューしたい訳でも…ただ、生産職が増えるとイイな〜って感じだったのが、何故こうなってしまったんだ!?


「この事は内密にできませんよ……ね?」

「当たり前じゃないですか!国家規模の問題ですよ……コレ!」


 そこまでなの……!?イヤだなぁ。目立ちたくないのが私の心情なんだけど、大ごとになる予感しかしない。


「全適性なんて今までにないことなのでどうなるかは分かりませんが、調べられるのは間違いないと思いますよ?」

「それは困りますね……どうか隠してもらえないですか…お願いッ!」


 無理を承知で必死さをアピールして頼み込んでいると、奥の方から大がらの右目に眼帯を付けた男性が受付嬢に近づいてきた。


「何の騒ぎだ?」

「いぇ、その……」


 シアナさんは怖そうな男性にペコペコとしながら何とか話を変えようとしているように見えた。

 あれは……たぶん、私のために誤魔化してくれようと頑張ってくれている?


「何だ?トラブルなら上司に報告をしろと言っているだろう……話せない内容か?」

「分かった。」


 男性は振り返ると私の方に近づいた。


「君、私はギルドマスターのライガーだ。」


 ギルドマスターって言うと会社でいうと社長?

私はこの瞬間に悟った……この人にバレたら間違いなく、平穏は失われてしまうだろう。


「わ、私はネムって言います!」

「ふむ……ネムだな。ネムには悪いんだが、規則として話をしよう。大いなる力を持つ冒険者にはそれだけの対価を支払っている……それだけの功績を上げているのに他ならないからな。だが、持っていない者も中にはいる……憧れて入ったが、力量不足な人間だっているのだ。

 ゆえに……君は持つ側として誇るべきだと私は思うのだ。

 ……とは言え、これは本来あってはならない事なんだが、ネムがどうしても公表したくないならば上層部には黙っておく。」


 つまり……全て知ってたの!?それでも私を守るために規則を曲げてでも私の意見を尊重してくれるってことだよね。


「公表はして欲しくはありません……が、ギルドのために協力は惜しまないつもりです!」

「了解だ。協力してもらえるのはありがたい!

それで…早速で悪いんだが……」


 ライガーさんからいきなり、私に個人依頼として『調査クエスト』を頼まれることになった。

 ギルドマスターからの依頼……普通の簡単な依頼ではないだろうとは思っていたけど、まさか……

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