お爺さんの正体
「この先が裏市じゃよ」
そう言うと古民家風の古びた家を指さすと中へと入っていった。
ワタシ達もお爺さんを追って中に飛び込むと、家に入ったはずなのに何故か目の前の光景には店が立ち並ぶバザーみたいな場所に出ていた。
「ここが…………裏市?」
「お前さんの商品を扱える店はこっちじゃ!」
言われるがままにお爺さんの後ろを着いて行くことにした。賑やかな露店を眺めながら奥へと進んでいくと細い路地をお爺さんは指を指す。
「あそこから階段を登った先じゃよ」
「あの先ですか?」
その先は普通の古びた民家が立ち並ぶ感じで下の露店街とは違っていた。
私のポーションはそんなに普通に売れないの!?正直、あの辺でも売れそうな気もするんだが……。
「こっちじゃよ!」
道案内してくれたお爺さんだし、知り合いに宛があって勧めてくれてるのかもしれないと思うことにした私は黙って階段を登った。
「思ったより、ハードな階段だった…はぁ、はぁ」
若い私でもかなりキツイのにこのお爺さんはこんな場所を行ったり来たりしていたのかしら……。
「着いたぞ、この家じゃ!」
他の家よりは数段、まともな家だけど、お世話でもオシャレとは言い難い……知り合いの人が中にいるのだろうか?
徐ろにドアを開くと勝手に中へと入っていくお爺さんにアタフタしていると……
「何をしておる?早よ入らんか!」
言われるがままに私らは中へと入ると中に入ると目に飛び込んできた景色は外観とは異なっていた。
「エェーッ!?」
まさかこんな洒落た応接間に繋がっているとは驚きを通り越して逆に冷静になれた。
「もしかして……」
「あぁ、私がこの裏市の支配人だ。」
先ほどまで居たお爺さんは消え、目の前にいたのは妖艶な見た目をした女性が一人立っている。
「えっと……どちら様ですか?」
(ネム様、こちらは先程の老人だぞ?)
念話でヤマブキが伝えてきたのはあのヨボヨボのお爺さんが、実は目の前の女性だと説明されて私は混乱していた。
「私はさっきまで一緒に歩いていたお爺さんだよ」
(エッ……どう言うこと?)
(何らかの魔法だと思うのです。薄いけど、魔法の残滓を感じる……)
「え?どういうこと?!」
「あなた……面白いわね!うふふ❤︎」
こんな度ストライクな見た目の女性を前にして気付かされたのだった。
ワタシはやはり男としての性がまだ残っていることを……。
「あら…?女なのに私を見る目…おかしいわね?」
「えっと…それは……あっ!お名前なんて言うのですか?」
疑われてしまって思わずワタシは話を逸らしてしまった。かなり疑わしいよね……。
「私はゴールド・マリーよ。マリーと呼んで」
「マリーさんですね!」
(回避できたかな……?ムリ……か?)
「まぁ、言いたくない状況もあるでしょう。ここはそう言った者の巣窟……詮索はヤボよね」
ふぅ〜。回避成功!?もう少しで妖艶なこの人に食い尽くされてしまうとこだったわ!
それからマリーさんとの商談が始まる……。




