2草 ベリアルと一緒に山登り。
次の日の朝はベリアルに餌をあげつつ、軽めの朝食を取ってから車を運転して某登山道へと向かう。
駐車場に停めてベリアルを降ろし、俺は登山用のバッグを背負うと静まり返った山へと登っていく。
「ベリアルは山は好きみたいだな!」
「わん♪わん♪」
「リード外したら勝手にどこかへ行ってしまいそうで怖いな……。」
山にはしっかりとした下準備が必要だ。
低い山にせよ、高い山にせよ…同じくらいに危険は多い……遭難や滑落、土砂崩れに獣との遭遇は珍しくない。
「今日の山は低くて登り易いけど、崖下も多いから落ちないように気をつけよう!」
「わん、わん!」
犬の嗅覚があれば異変に気づいて吠えてくれる。危険性が高いクマやイノシシなんかは吠えてくれるから回避になる。
動物も危険は避けたい傾向があるらしく、よほどじゃない限りは無理には襲いにこない。
「早速……オトギリソウ見つけた。」
少し、茂みに入りながら探索を続けるとキノコや山菜がいくつか見つけることができた。
「今日は当たりだったね♪ベリアル!」
「ワン!」
今日一番の大きな鳴き声で応えるベリアルを見て俺は笑ってしまった。
この時、少しずつ変化していく山に今日は気づいていなかった……
夢中になりながら色んな種類の山の幸を拾いながら山の中を歩き回っている内に俺たちは随分と奥のエリアまで来てしまっている事にようやく気付いたのだった。
「どうしよう…かなり奥まで入っちゃってるな…」
この時の俺はベリアルが危険を回避しながら山の山道に戻れば帰れるはずだと甘い考えを抱いていたが、それを数時間して気づく事になる。
「イタドリもあった!この辺は本当に色々な薬草もあるし、楽園じゃん。」
空に気づいたのはこの頃で薄い雲が周囲にかかり始め、反対側の空は逆に真っ青で雨が降りそうでは無かった。
「振られる前に帰ろうかな…なぁ、ベリアル」
「くぅ〜ん」
「走るのはさすがに危ないよな……」
小走りで移動しながら道っぽい道を歩き回っているとドンドンと黒い雲が湧き出している。
「かなり歩いたけど…見つからない。しかも、天気が悪くなって来ているな…雨降りそうだ……」
険しい道を進むことになり、ベリアルを抱えながら獣道を突き進む…雷が鳴り出すと……
(ゲリラ豪雨の雨音……)
「急過ぎ…ゲリラ豪雨とか聞いてねぇよ……」
俺は走って道を探す…抜かるんだ雨水を含む地面は滑りやすくなっていて足を取られそうになる。
「クソッ…」
視界も悪くベリアルも辺りが雨で土の匂いが混ざっていて嗅ぎきれていない状況……そんな時に俺はやらかしてしまう。
ガラガラ…ゴロゴロ……グシャ……
そう、俺は脇が崖になっていることに気付かずに走っていると水を含んだ地面が脆くなっていて足元から崩れ落ちてベリアル共に落下……衝撃で即死。
『まさか、こんな人生で終了なんて……な。』