11.森の村 案内人
「やっと見つけたの!」
(この声は……ボックルの声?)
聞き覚えのある声に思わず、振り返るとそこにいたのはあの妖精三姉妹だった。
「本当に…何キロ先まで探しに……って!?」
話の途中で固まるマーツはどうやらワタシの背後が気になっているらしい。
「あの……ネム」
「マーツはどうかしたの?」
(想像は付いているけど、あえて聞いてみよう!)
「その後ろの黒い…イヌはどこで手に入れたの?」
「この子はヤマブキよ!ワタシのペットだよ」
「そう……カワイイじゃないですか!」
「本当だ…か、かわいいなの!」
「でも、この雰囲気はどこかで見た気がするやょ」
「どこだったか……思い出せないデス…」
思っていたよりもこのフォルムを見て気に入ってもらえたらしい…これなら打ち明ける必要は無いかもしれないな!
「カワイイでしょ?」
「頭がイイからワタシのアシスタントもできるし、見た目に似合わず、強いのよ!」
「へぇ〜ヤマブキだったかな?よろしくなの!」
「お姉さん方…ネムさんに言わないと……」
「そうだったわ!」
うんうん、さすがは冷静担当のクリカちゃんだ。物静か過ぎて心配になっていたけど…慣れてくれたみたいで少しホッとしたよ。
「準備できたので村に招待しに来ました。」
「こちらですので着いて来てください!」
「あのさ、ヤマブキも入れて大丈夫?」
「ペットだし、一緒に連れてってイイ?」
「あぁ……今回の来客はネムだけど、ペットならきっと大丈夫なの!」
「ネム様が使役されている様ですし、大丈夫。」
「よかったね〜ヤマブキ♪」
「くぅ〜ん」
(イヌとしてこのままやり過ごす気ね…ヤマブキ)
妖精王ジル・アルテ・オリジンが持つ膨大な魔力によって妖精の村は幻影によって認識されない様にされていて普通なら妖精以外は入れない。
入るには妖精王の許可を得ないと入ることも見つけることすらできないと妖精三姉妹は言う。
「なるほど…」
「もしかして、行きたい場所に瞬間移動できたりして……なんちゃって!」
「できますよ?」
「この森の中は妖精ネットワークでリンクしてますから可能なのです!」
冗談で聞いたつもりが、まさか……この森全体がワープ可能って妖精王って只者じゃない!?
「さぁ、私達の手を握って目を閉じるの。」
「こうかな…」
「あっという間に到着しますデス。」
「それは是非とも体験したいものだね!」
(異世界キター!って実感できそう…まぁ、すでにこの世界に来ている時点で体験しているけど。)
ワタシは素直に指示に従って目を閉じると気付けば彼らの村に到着していたのだった。




