デス・トゥ・ラブ
「今からあなた達にはデスゲームをして貰います。」
暗くなった部屋で、1人の少年がライトに照らされてそう宣言する。
「カット! 「貰います」って何よ。デスゲーム?とかって言うのは強制参加なんでしょ。だったら「します」で良いじゃない。なんで選択があるかの様な表現をするの。」
教室の電気をつけながら、幼馴染の『凛』が突っ掛かってくる。
「うるさいなぁ、そういうもんなの! お前はホントどうでもいい事で突っ掛かってくるよな!」
「うるさい?うるさいって言った? 最近、女の子から告白されたからって調子に乗らないでよ!」
「は、はあぁ〜〜? 調子になんて乗ってないし、ていうか、なんで急にその話になるんだよ。」
意味がわからない。
最近の凛はなんかおかしい。
何かと突っ掛かって来ては「女がどうしたこうした」という話題に持って行く。
前から絡んでくる事はあったが、まだ許せる範囲、可愛い範疇に収まるくらいだったのだが、最近は鬱陶しいと感じるくらい絡んでくる。
昔はもっと素直な子で優しかったんだけどな。
でも、面倒くさいと思いながらも、嫌いになれない俺がいる。
幼馴染として、ずっと近くで見ていたからこそ、凛が優しい奴だと知っているからだろう。
そんな事を考えていると、部室のドアがガラガラと音を立てて開く。
「あ、部長。」
そんなやり取りをしていると、映像研の谷口部長が部室に入ってくる。
手には膨らんだビニール袋を持っており、中に何かが沢山入っている事はすぐに分かる。
「なんですか、それ?」
「ん?ああ、これな……」
部長は袋の中の物を机に並べる。
中からはお菓子のポ◯キーや、風船、ツイスターゲームなんかが出てきた。
「映像に使うんですか? デスゲームに使うんだったら、もっとこう、違う方が良いんじゃ?」
「いや、これで良い。」
「……?」
部長は机に手を置き、碇ゲ◯ドウのようなポーズをする。
「今からあなた達にはラブゲームをして貰います。」
この日、一組のカップルが誕生した。
他の小説も書いてます!
ぜひ、読んでみてね!