表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

帰り道?

作者: Drug

自分自身あまり物語を書くのが得意ではない…以前に文章を書くのが苦手なので、物語構成以前に文法や言い回しがおかしいかも知れません。でも、挑戦してみたいなと思って頑張って書いたのでぜひ読んでくれると嬉しいです。

今日もいつも通り学校に行って、精一杯勉強をして帰宅しようとしていた。しかしまあ、変わらない毎日も実に平和で良いものだ。毎日同じでも、一生変わらなくても良いではないかと思っている。

「おいヒロト! どうしたんだよそんな浮かない表情してよ」

 背後から勢いよく肩を組まれながら聞かれると、勢い余って前に転けそうになる。


「お、おいハル、やめろ死ぬて」

「ごめんごめん」

「んでなんだよ急に……」

「いやあ、今日のヒロトはなんかおかしいからさー」

「おかしいって……変わんねえよ。いつも通りだわ」

「そうかよ?」


 ハルは帰路から見える夕日を眺めながら少し悩んだが、そのまま忘れて他愛のない会話を交わした。

「そういえば〜、この道の噂って知ってるか?」

「この道の噂?」

 ハル曰くこう言う噂だった。

 この「あひる通り」は可愛らしい名前と裏腹に、六年以上も行方不明事件が多発しているとのこと。この通りの近くには小学校や幼稚園、保育園がありよくこの通り道を使っている。そのため、大半の行方不明者は小さい子ばかりだった。警察は「未成年者誘拐罪」の疑い犯人の捜索を続けてつつ、行方不明者を探しているが、未だに数百名もの行方不明者は見つかっていないとのこと。捜索は事件が発生してから続けていたが、未だに見つからないということに地域の人達の間でこう言われるようになった――


――神隠し。


 人がある日突然消え失せる現象で、神域である山や森で、人が行方不明になったり、街や里から何の前触れも無く失踪することを、神の仕業としてとらえた概念だ。そのため、あまりこういう人工的な道で起きるのは聞いたことがなかった。しかし、その噂は広がる一方で今ではこの道を「消える通り」と言われるようになった。


「――っけー、こえーもんだよなー」

ハルはニヤニヤしながら話し終わると、ふと昔の記憶が蘇った。

 それは、まだ兄さんと一緒に過ごしていた頃のことだった――

「兄ちゃん!!!」

「おおヒロト!こっちこい!」

「わーっはははー!」


 まだ小学校3年生になったばかりの俺は、毎日のように兄さんと遊んでいた。この頃ハマっていたのは兄さんに肩車してもらってクルクル回ってもらうことだった。まるで遊園地にいる気分で楽しかった。


「兄ちゃんたのしい!!」

「ヒロトも大きくなったな!」

「へへ! おれだってもう3年生だしっ!」


 このときからいつも楽しくて楽しくて、充実した毎日だった。

――だけど、そんな充実した日が毎日続くわけではないと当時の俺は知らなかった。

「ねえ、兄さんはどこなのかしら」

「ハヤトと連絡は取れたか?」

「まだだなのよ…」

 深夜、リビングから聞こえる両親の声で目が覚めた俺は、そのまま両親の方に行くと二人は焦った様子で外出の準備をしていた。

「パパ、ママ、なにしてるの……?」

 二人はビクッとして振り返ると笑顔で「ちょっと外に行ってくるね」と一言伝えて「ひろちゃんおやすみ」と言い、玄関のドアを閉めて家には俺と兄さんだけになった。

 いや、二人だけだと思っていた。

「にーちゃーん」

 俺は兄さんの部屋に駆け込んで両親について話そうと思ってドアを開けた。


――だが、そこには兄さんの姿がいなかった。


 いつもは塾や習い事、部活とかで帰りが遅くなることは知っていて、いつも俺が寝てる間に帰っていると兄さんから聞いた。だから、部屋に行けば寝てるのかと思ったが、そこには誰もいなかった。

「ん〜おれが起きたときに帰ってくるんかなー?」

当時はそこまで気にしていなかったからそのまま自室に戻って眠りに落ちた。

 翌朝、すぐさま兄さんの部屋に駆け込んだがまだそこには誰もいなかった。家に戻った両親に兄さんのことを聞いたが、毎回「そのうち帰ってくるよ」と笑顔で答えるだけだった。今思えばあの笑顔は当時の俺を悲しませないためだったんだと知った。

 そして、両親からは「一人暮らしを始めたのよ」と言われてモヤモヤした気持ちを残しながらまた家に戻ってくることを願った。


――月日は経ち、俺は中学三年生になって、ある日両親から「兄さんは行方不明なの」と兄さんの現状を告げられた。そして、今日。「あひる通り」の噂を聞いたときにふと過去のことを思い出した。確か、兄さんはこの道から通学をしていた。

「……兄さんってもしかして……」

と呟くと急に視界が暗くなり何も見えなくなった。

「え、なにが、何が起きたんだ?」

取り乱した俺はハルの方を振り向いたが、そこには誰もいなかった。

「これって――」


――神隠し?


 俺はそうと知ると背筋が凍り、鳥肌がブワッと立った。

 何も見えない、誰もいない、ここはどこ?

「ハルどこな――」

 俺は言いかけると、急に頭がくらくらしその場で倒れた。その時の感覚は確かにあった。地面はアスファルトの上のような感覚だった。もしかして、まだ場所は変わってないのか……? と思いながらそのまま眠りに落ちた。

「……んっ……」

 目を覚ますとそこは夕日が淡い赤色が広がる一面の空が目に入った。


「あれ……俺倒れたのか……?」

「おい?」

「うわぁ!?」


 びっくりして声がする方に顔を向けるとそこにはハルがいた。「大丈夫か?」と心配しながら伸ばした手に俺は手を添えて起き上がらせてもらった。そして、周りを見渡してもそこはさっきの場所と変わらなかった。


「お、お前ハル……だよな?」

「おいおいお前の親友忘れちゃってんのかー? 処すぞー?」

「いやごめんて」


 いつも通りだ。いつも通りのやり取りだ。よかった……でもなんで、俺はさっき倒れ込んだんだ? というか、ハルがいるということは神隠し、というわけではなさそうだな……


「ヒロトが急に立ち止まってよ、ゆっくりと横になって倒れたフリしやがってよ、んでずっと大丈夫かーって聞いたんだけどさ全然返してくれんくてさ。さすがに怖くて心配してたら急に目が覚めて……今日のお前はなんなんだ……?」


――ゆっくりと横になる?

 俺は頭がクラクラしてそのまま倒れたはずなのだが……。


「とりま帰ろーぜ」

「おう……」


 そして、いつもの他愛のない会話をまたしていたら聞き捨てならない会話が始まろうとした。


「そういえば〜、この道の噂って知ってるか?」

「うわさ……って、え? お前それさっきも言ってなかったか?」

「さっき? いつのことだよ〜」

「い、いや俺が倒れる前」

「してないしてない〜」


 ヒロトはまた同じ会話をしようとしていた。その会話の出だしだけは一語一句変わらなかった。そしてハルは続けて「あひる通り」について説明をし始めた。

 おかしい、絶対おかしい。二度同じことを繰り返している。繰り返しと言うか、この出だしだけは同じで、後は俺の発言、行動次第で未来が変わるみたいだ。でも、なんで……。

 俺は勘は鈍くない方だ。むしろ鋭い方だ。流石にこの会話の流れが二度続き、その前には倒れ込んで一人どこかに飛ばされる。これを「タイムループ」の現象だと言わねば何となる。なんだ? ただの幻覚や錯覚、夢か? いやそんなはずはない。記憶も、感覚もまだ残っていたのだから。

 情報収集がてら周りを見渡すが、特に変わったことはない。

……いや変わったことは…ある。


「おい、夕日ってこんなに赤かったか?」

「は? 何いってんだよいつも通りじゃないか」

「いつも通り……?」


 おかしい。さっきまでは綺麗ななオレンジ色で輝いていたが、今は真っ赤に照らされていた。

 世界自体が変わったのか……? 神隠しに遭ったことのか分からないが、別の世界線に行った、というわけか? でも確かにそう言われると、空気、雰囲気、感覚。色々と違和感を感じる。なんというのだろうか、今までと違うというか、安心できない。いつもとは違う。すっごく不安を感じるような感覚だ。


「おいおい、また浮かない顔をして。今日どうしたんよ〜」

「いや、なんもない……あ、用事思い出したから先帰ってるね」

「おう、んじゃまた明日な」

「おう」


 ハルと別れて俺は家まで走って帰った。いつもの帰路、変わらない風景。だけど、雰囲気とかはいつもとは違う。なんだか、別の街に来たときの感覚だ。

 家に着いて鍵を鞄から取り出そうとするも、鍵が見当たらない。恐らく学校に忘れたのだろう。


「かー、めんど」


 俺は学校に戻ることにした。


「……またこの道を通るのか……」


 あひる通り。普段は長いようで短いこの通りは、今だけ、少しばかり長い道のりのように感じた。

 俺は一歩、二歩とどんどん前に進んで学校に近づいていく。ハルともすれ違う。そして学校に着き、事務員さんに事情を伝え校門を開けてもらった。


**


「よし」


 鍵を手に入れたさっそく家に帰ろうと思い帰路につく。あひる通りのアスファルトは心なしか通ったら危険な気がした。だが、通らなければ帰れぬ。ということで、倒れた場所の近くまで来た。


「何もないと……いい……な…」


 俺はその場で気を失ったようだ。今度はそのまま倒れ込んでしまった。そして、目が覚めるとそこには淡いオレンジ色の空が綺麗に広がっていた。


「戻ってる……」

「おいヒロトどうしたんだよ〜」

「ハル……?」

「ん? どうしたん?」


 ニヤニヤしながら心配してるハルは、いつも通り……いやさっきと同じだった。

 どうやらタイムループと世界線の変化が同時に起きているようだ。この世界線は結構元の世界に似ているけれど、どうだろうか。


「あ、そうだ! 太陽!」


 俺はすぐに起き上がり夕日が差す方を振り向くと、夕日は元のオレンジ色に綺麗に燃えていた。


「良かった、元に戻ってる……なあハル――」


 少し安心して笑顔でハルのほうを向くと、そこには誰もいなかった。


「ハル? ねえどこ?」

「ここだよ!」


 ハルの声が後ろからしたが、振り向いても誰もいない。何回も何回もハルの声が聞こえるがどこにも見当たらない。


「ここ!」


「どこだよっ!!」


「ここだって!」


「どこって聞いてんだよ!!」


 俺は見つからないハルにイライラをしてしまって、怒鳴ってしまう。しかし、少し冷静になってハルを探し続けるがどこにもいない。


「一体どこに……」

「ヒロト」

「ハルどこなんだ」

「ヒロト」

「ハル……?」


 さっきまで無邪気に声をかけてたハルの声は、機械のような冷淡な声をしていた。そのうち、ハルが俺を呼ぶ回数が増え、速度も上がっていった。


「ハ、ハル……おい悪ふざけはそこまでにしとけって。趣味が悪いって。怖いって、ねえ」


 苦笑いながら言うがハルは止めない。むしろ声は増える一方だった。死角の背後や上、下から数々のヒロト……いや、ヒロトに似た声が俺のことを呼んでいる。


「や、やめろ……って……」


 俺はまた倒れ込んで気を失った。そして目を覚ますと目の前には一杯に見開くハルがいた。目玉が飛び出そうなぐらい見開いている。


「うおお!?」

「おいうるさいよヒロト〜どうしたん?」


 ハルは見開いたままそう聞く。


「お前こそどうしたんだよ怖いよ……?」

「怖いって何が?」

「その目」

「え? 目? いつも通りじゃん」

「いつも……じゃないだろ」

「おいおい今日はどうしたんだよヒロト〜」


 おかしい、おかしいおかしい! 絶対おかしい! なぜこの道を通るだけでこんな事が起きるんだ!


「おいヒロトどうしたんだよ」


 すぐさま立ち上がりハルを置いて家まで突っ走る。不可解な現象、気が狂った友人の顔。冷静になれるはずがなく無我夢中に走った。

 このままじゃまずい。これだと兄さんみたいになる。やっぱり元の世界とは世界線が違うんだ。この世界線の夕日は青い。……青く輝いている。このままだと元の世界に戻れなくなる。


「んはぁ…はぁ…っ…はぁ…」


今までにないほどに疾走したから息切れが酷い。ゼーゼーと膝に手を付けながら俯いていると――


「おいヒロトどうしたんだ?」


「ハル? なんで俺より先に家にいるんだ……? ――というか家は?」

 顔を上げるとそこには帰路が続いていた。そして、ハルはというと目をずっと見開いたままだ。


「うああああ!!!」

「急に叫ぶなよヒロト、怖いだろ」

「嫌だ嫌だ嫌だ!!!」


 俺は怖くなり学校にいる事務員さんに事情を話そうとするが、後ろを向くとそこにも帰路ができていた。家がある道(あひる通り)だ……しかも、そこにもハルが棒立ちになって立っていた。


「なにが……どうなってんだ……」

「なにってなんだよも〜〜」

「だ、だっ……て……お…かし……い」


 まただ。またくらくらする。まだ意識が朦朧としている。気絶か朦朧かはランダムなのだろうか。何かしら規則性を見つけ出さねければ一生このループに遊ばれる。

 一気に視界が真っ暗になりまともに立てるものじゃなかった。


「おい? ヒロトどうしたんだ?」


 また目が覚めると空一面にオレンジに淡い色が広がっていた。


「夕日……は元通りか」

「ヒロト〜?」

「ハルも……元通り……周りの雰囲気も元だな……」


 これは元の世界線……なのか? と思いつつ同じように立ち上がり、一緒に帰宅をすることにした。また同じことを繰り返すようで、ハルが「あひる通り」について語った。しかし、それまでに何も起きずに家に着いた。


「あ、鍵……チャイム鳴らせば親出てくれるかな」


 基本的にはチャイムを鳴らすなと言われているが、今日だけは許してほしいと思いながらチャイムを鳴らす。中からは「はーい」と母さんの声がし、その声に安心をして腰が抜けた。……ははっ、情けない。中学三年生にもなって母さんの声で腰を抜かすなんて……。


―――ガチャリ


「あら〜どうしたのひろちゃん」

「あ、あぁ…腰が抜けちゃって……あれ?こんな靴あったっけ……? というか血だらけじゃん……あれ、父さんの靴は? もしかしてまだ仕事から帰ってきてないの?」


「え……ひろちゃん何言ってるの。父さんはもうこの世にはいないのよ……」


「え……」


 この世に……いない? どういう意味だ?


 俺は恐る恐る顔をあげると、そこには母さんの服を着たどこの誰か分からない顔をした人が立っていた。


「……だ……だれ……?」

「ん〜誰って急になによ〜ひろちゃんのお母さんですよ〜」


母さんは母さんの話し方をしている。だけど、違う。


――顔が全然違う。誰? 見たことない顔だ。この人は母さんじゃない。


「違う! 違う! この世界線もまだ元の世界じゃないんだ!」

「急に何変なこと言ってるの? そんなことより兄さんが怪我してるから手当してくるね。血が止まらないのよ〜」

「に、兄さん? 兄さんがいるのか?」

「え、そうだけど。なに? 忘れちゃったの〜? ひどいわ〜」


もしかして、兄さんの靴ってこれのことか? それよりも兄さんがいるってなんだよ。兄さんは五年前に消えたんだよ。あの兄さんがいるはずがないだろ。


「母さん? ヒロトは帰ってきたんか?」


そこに立っていたのは兄さんの声に似ている誰かだった。


――怖い。


 ただそれだけが脳内を埋め尽くした。


「ヒロト? 大丈夫か?」

「違う! 兄さんはこんな顔じゃない!」

「おいおい急に酷いこと言うなよ」

「違う! 絶対違う! だって兄さんは五年前に……」


 家にいても怖い。どこに行けば良いんだ……俺はどこに行けば良いんだ。家に戻れば知らない人がいる。学校に戻ろうとしても「あひる通り」を通ってしまう。

「い、いやまだ他の通路があるじゃないか……」


 俺はあひる通りと反対の道を通ることにした。そこは繁華街に繋がっていて、町中の人に事情聴取ができるのかもしれない。もしかしたら、この世界線に紛れ込んだ人と――


――しかし、その道もあひる通りに変わっていた。


 俺はどこを見渡しても、どこを行ってもあひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り、あひる通り


 逃げても逃げても繰り返す時間。

 俺が通った帰り道は、いつの間にか元の世界には帰れぬ還り道(あひる通り)となっていた。


 無理だ。


 諦めて家に帰ろう。


 それが一番だ。


 俺は諦めて声だけ家族の、知らない家庭の家に帰宅した。


**


 帰宅してからというと、世界線が変わることは無くなった。いつも通り学校に行って、精一杯勉強をし、あひる通りからハルと下校をしても倒れたりしなかった。周りの友達もいつも通りだ。夕日も、雰囲気も。変わらなくなった。


 そのうち俺の脳内も壊れかけていた――


――もしかして、この世界こそが本来の……

アドバイスや感想などくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ