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第6節 ~悪夢~
夢を見た。
俺は次の町を求めて林道を歩いている。
しばらく歩くと、目の前には倒れた馬と荷車が見え「助けて」と奇声にも似た人の叫び声が聞こえる。
そして、そこに立っているのは複数の深緑色の人影。
驚きのあまり「うっ」と声を上げると、人影がこちらを向く。
人影の正体は、恐ろしい形相のゴブリン。
逃げなければと、振り返って必死に走る。
後ろからはゴブリンの叫び声。
その声は段々と大きくなっていき、次の瞬間には足にとてつもない鈍痛を感じ、勢いそのままに滑り転がる。
擦り傷だらけ体はヒリヒリと痛み、足を見ると右足のふくらはぎが見たことのない色になっていた。
そしてゴブリンはこちらの様を楽しんでいるかの様に、ジリジリと近づく。
死を覚悟し、今まで以上に心拍数が上がる。
ゴブリンが棍棒を振り上げた瞬間。その夢は終わった。