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魔王によって彩る世界  作者: 伊草 推
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第19節 ~村長の仕事~

 私は長い年月を生きてきた。勉強もしたし、仕事も人一倍したと自負している。

 だが、そんな私でも聞いたことがない、遭遇したことがない状況が今目の前にある。

 大量のゴブリンが目の前にいる。これは通常、村の長として異常事態として扱い、一人でも多くの村人が逃げれるまでの防衛戦を行う。

 だが、信じられないことにこのゴブリンたちは戦意がなく、しかも上手くいけばコミュニケーションも取れるという。

 今までこんな状況など考えたこともなかった。

 村の前にいる彼らは、今からどこか別の移住地を見つけるために旅へ向かうという。

 移住する理由は、王都に巣の駆除依頼を出した我々のせいだ。非常に申し訳ないことをしたと思っている。

 だからせめて、気持ちよく見送ることぐらいはしたいと考えた。

 すると、ジェインが騒ぎ始める。

「お姉ちゃんなんで言っちゃうのおおお行っちゃヤダあああああああ」

 彼はまだ五歳で、リリアンのことが大好きだ。

 よく遊んでもらっていた。そんなお姉ちゃんがせっかく村に帰ってきたと思ったら、またどこかへ行ってしまうというのが耐えられなかったのだろう。

 リリアンが、ゴブリンたちのところからジェインのところに小走りでやってきた。

「ごめんね。でも、いつか戻ってくるからさ許して。勉強して運動して、カッコイイ男の子になるんだぞ。」

 抱きつきながらそう言うと、ジェインは静かになり、暴れても問題ないよう父親に抱きかかえられた。

 一方のリリアンは急いでゴブリンたちの元へと戻っていった。

 やはり、選んだのはこの村や王都ではなく、ゴブリンたちなんだなと実感させられる。

 リリアンが戻ったのを見ると、ゴブリンたちは出発した。

 こちらが手を振り見送ると、向こうからも返してくれる。本当にゴブリンなのだろうかと疑いたくなるような光景が目の前にはあった。

 そして、ゴブリンも見えなくなったときに、村の集会をすることを宣言した。

 数分後、村にいる全員が集まったことを確認すると、そこで私はこう忠告した。

「今日見たことは、誰にも言ってはダメだ。例え、お得意様でも王国の正規兵でもだ。誤魔化して噂話にするのもなしだ。リリアンを守るためにもこの約束は守ってくれ。絶対の秘密だ。それに、いつかリリアンのおかげで公にできる日も来るはずだ。その日までは秘密にしてくれ頼む。」

 そうお願いすると、みな声を上げたり頷いて納得してくれた。拍手も生まれた。

 今日のゴブリンと対話する。あの出来事に感銘を受けたものも少なくないのだろう。

 みんなあっさりと納得してくれて、村長として楽であったし、理解者の多さに感動を覚えた。

 今日来る討伐隊にはそのまま洞窟に行ってもらい、その後、周辺の安全確認をしてもらって帰ってもらう。これでリリアンもゴブリンたちも守るのには十分だろう。


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