第14節 ~孤独の夜空~
三度も同じ失敗はしない。今回は目を閉じるだけで完全には寝ていなかった。
まだまだ日が昇るには早い時間、リリアンの方から音がする。
寝たふりをしながら目を開けると、外に出るようだ。外の空気を吸うぐらいは、見逃してもいいだろう。
帰ってこなければ探しに行けばいいだけだ・・・
もう十分は経っただろうか。待ってもリリアンは帰ってこない。
まさか逃げたか?
そんなことはないと思いつつ、リリアンを探しに行く準備をする。
一応の時のために短剣を装備し、洞窟の外に出る。
外は真っ暗。というわけではなく、月や星の光が差し、洞窟内よりも明るかった。
洞窟を出たから左から右へ、右から左へ、漏れの無いようしっかりと見渡す。
少し離れた岩壁沿い。そこの少し大きな岩の上に誰かが空を仰いで座っている。
きっと、リリアンだろう。
ゆっくりと近づくと、そこにはやはりリリアンの姿があった。
両足を広げ、両手で体を支えて夜空を見る。
明るく綺麗な夜空を見上げ、彼女はいったい何を思うのだろう。
岩の近づくと自分も久しぶりに、夜空を見上げたくなった。
見上げた夜空は、月が大きな照明と言わんばかりに地上を照らし、他の星も負けじと一つ一つくっきりと光っていた。こんな綺麗な星空は現代では見ることもできないだろう。
何故かは知らないが、地上の光で星が見えない現代の空を恋しく感じた。
俺は思った。
あの子はまだ十代前半であることは間違いない。
そんな子が親元を離れて、寂しくないということはあるのだろうか。
それに全寮制学校等ならまだしも親元を離れた理由は、誘拐という理不尽を絵に描いたかのような理由だ。
しかも、誘拐犯から助けてくれたのは治安部隊や騎士団、冒険者と言った同じ人間ではなく敵対種であろうゴブリン。
森林の奥深くまで連れてこられ、洞窟の中で寝泊まりを強制させられる。
合わない生活スタイルやいつ家に帰れるかわからない恐怖。
そんな状況が今後も続くのだろうかと考えるだけで辛くなりそうだ。
ああやって、夜空を見上げるのは、親と合えなくなった悲しみや合わない生活で負った心の傷を癒すために見ているのかもしれない。
だが、夜は冷えるし、何が出てきてもおかしくない。
だから帰るように促すため、岩に上りリリアンの頭を撫でる。
おせっかいだろうが、寂しかっただろうと言わんばかりに優しく撫でる。
すると、リリアンはこちらを向いて目が合った。
「外は危ないから、中で寝なさい。」
こちらの言葉でそう告げると頷き、岩から降りた。
俺も岩から降り、洞窟へと向かおうとするとリリアンは手を繋いできた。
リリアンの手は小さく、冷たかった。




