第13節 ~介抱~
気付けば、場所はリンゴの木の幹によりかかるように寝ており、空を見ると、日が落ち始め綺麗なオレンジ色になっていた。
周りを見るとデタさんとクンさんはいるが、リリアンが見つからず、焦って立ち上がると頭をぶつけ、一気に目が覚める。
「ようやく目が覚めたか。おはよう。」
「おはようございます。他の皆は、そしてリリアンは?」
かなり焦りながら尋ねた。
「他の皆は、狩りに戻ったり、収穫した野菜を村に持って行ったよ。あと、リリアンなら真後ろで寝てるじゃないか。」
後ろを見るとリリアンも木によりかかって寝ていた。
その姿を見て、ほっとした。
朝も同じことをやらかしたんだ。次こそ、注意しなくては。
「リリアンとお前は、結構可愛かったぞ。リリアンは、お前が寝てると知ってからは頭をなでたりしてまるで子供をあやしてるみたいだったからな。」
「いやぁ恥ずかしいですね。」
だいぶ恥ずかしい話を聞かされてしまった。
子供にも母性本能というものがあるのかもしれないな。
「デタさんとクンさんはもう帰りますか?」
「もうすぐ夕飯だしな。帰り支度が済んだら帰るよ。」
「じゃあ一緒に帰りましょう。リリアンは背負っていきます。」
「そうだな。ここに連れてきた責任だ。背負ってやれ。」
デタさんとクンさんの帰り支度はほぼほぼ済んでいて、むしろこっちの準備を待ってくれているようだ。
こちらも特に準備はない。荷物はリリアンぐらいだ。
俺は寝ているリリアンを見て少し頭を撫で返し、そっと持ち上げ背中に負ぶって村を目指し、畑を後にした。
帰り道では、デタさんとクンさんとでくだらない雑談をしていた。
あの寸劇の結果はどうなっただの。
なぜあのシナリオになっただの。
咆哮が来ると思ってましただの。
あの後、歌パートがあって結構長かっただの。
ほとんどが寸劇の話で、本当に中身のない話だった。
そんな話をしていると、振動で寝心地が悪いのかリリアンが起きた。
リリアンは背負われていることに気付いたのか、腕と足に少し力を入れ、落ちないように対策してくれた。
全く力の入っていない人間を背負うのは重いし難しいとよく聞くが、それが身に染みたのが今回の帰り道だったので、力を入れてくれたのは非常にありがたかった。
その後すぐに村に着く。夕食の状況は既に配膳を済ませていた。自分の席に座っていた。
ごめん遅れたと言わんばかりに小走りをして、自分の定位置に着いた。
リリアンも背中から降ろしたが、やはりまだ眠気眼だ。軽く頬を叩いてみたが変わらず、起こすのは可哀そうだということで、そのまま座らせた。
そしていつも通りの儀式を行い、ご飯を食べる。
リリアンも、儀式を半分寝言で言ったため形式上は済ませている。
その寝ぼけた状態で、ご飯を食べようとしているが、やはり無理があった。
「村長、先に寝かしつけてきても良いですか?」
「いいぞ。無理に飯を食わせる必要もない。」
「ありがとうございます。それじゃあ、寝かしつけてきます。」
村長の許可も得ることができたため、先に寝かせに行く。
道中、口をゆすぐよう水を口元に近づけたりしたが、反応はなく諦めた。
そして、昨日も寝ていたところにリリアンを寝かしつける。
最後に「おやすみ。」と一言言って、食事に戻った。
みんなの元に戻ると、中人の言葉の話題などで雑談をした。
自分も食べていたら段々と眠くなってきて、途中からは何にも頭に入ってこなかった。
食べ終わったら、いち早くあと片付けをして「先に寝ます」と宣言し、昨日と同じくリリアンが見える場所で座って目を閉じた。




