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時計は動く、でもボクの時計は止まったまま

作者: いぬみさん

時計がなる音だけ響く部屋でボクは考えた。


“ボクが産まれた理由ってなんだろう?“

“ボクが幸せになれる方法ってなんだろう?“


ボクね、この世界に来れたことが嬉しかったんだ。

ママのお腹から出てきた時これからどんな未来が待っているんだろうってワクワクしたんだ。


「可愛いね」ってたくさん言われたかっただけなんだ。

「よしよし」ってたくさん撫でて貰いたかっただけなんだ。

「ギューって」沢山して欲しかっただけなんだ。


側にいてくれるだけで何もいらないんだよ?


寒いな……

狭いな……

暗いな……

お腹すいたな……


ずっとボクの時計はこの薄暗い部屋の中で止まったまま。

それでも周りの世界は当たり前に朝になって、夜になってまた朝になって…

そんな世界と交わることの無いボクの時計。


「ボクは幸せになれるの?」


時々考えることを辞めたくなるんだ。

全てを諦めたくなるんだ。

手を伸ばすことも、希望を持つことも、怒ることも、鳴くことも諦めてしまうんだ。


それでもボクは小さなこの頭で「誰か」に会うために色んなことを考える。


ボクね、寒くても平気だよ

狭くても気にしないよ

暗くても大丈夫だよ

お腹空いたけど我慢できるよ


だからお願い。誰がボクをむかえに来て?


会いたいな、いつか会えるかな?


ずっと夢見てることがあるの。

贅沢なんて言わないよ。


……

………………

…………………………



「この子……ですか?

ほら……怖くないよ?こっちにおいで。

もう安心していいからね、

よく頑張ったね、あなたに会えて嬉しい」


優しい声が、暖かい手がボクに降り注ぐ。


ボクはこの手に寄り添ってもいいのかな?

ボクは幸せになってもいいのかな?


君の手に近づいてみる。

陽だまりのような暖かい温もりに包まれる。


ボクは「君に」会うためにここで待ってたんだ


ありがとう。


ボクも君に会えて本当に嬉しい。


ボクの時計の針がゆっくり動き出した。



拙い文章ではありますが、読んでいただきありがとうございます。


多頭飼育崩壊の現場に行くと目を疑いたくなる現場があります。

なんの罪もない犬が人間の都合で悲惨な飼育状態で暮らしています。

そんなわんちゃんの中には吠えることも怒ることも嫌がることも諦めたような子もいます。

時が止まったような、愛情を知らない子が沢山います。

全てのわんちゃんが幸せになっていいはずで、「家族」が必要です。

愛情を求めている子も沢山います。


そんな全てのわんちゃんに幸せが訪れますように。

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