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92 学園祭➂




 学園祭三日目。


 本日の猫カフェは…お休みだ。

 猫たちに五日間無休で働かせるのは酷ということで、三日は店を閉めることにした。もちろん総務委員に申請して承認を得ている。


 つまり今日はクラスみんなが自由時間だ。


「……!」


 本日の五十鈴さんもクラスのみんなに囲まれて忙しそうだが…


「園田くん!」


 背後から僕を呼ぶ元気な声、星野さんだ。

 星野さんは何故か手にサイコロを持っているけど、いつもの占いのやつだろうから気にしないことにする。


「なんでしょう」


「予定がないなら一緒にゲーム喫茶に行かない?」


 …また女子からのお誘いがきた。

 知り合いの大半が女子だから仕方ないんだけどね。


「ゲーム喫茶なんてあるんですか」


「うん、アナログゲーム専門だってさ」


「アナログ…ボードゲームとかカードゲームのことですよね」


「そうそう。しかもそこにゲームクリエイターの天才がいるらしくて、自作のゲームを販売してるんだって」


 それは確かにゲーム好きは見過ごせない模擬店だ。


「じゃあ行きましょうか」


「行こう行こう!」


 本日は星野さんとゲーム喫茶へ行くことになった。

 教室を出る前に五十鈴さんの様子を見たけど、西木野さんや木蔭さんと楽しそうにやれているみたいだから安心だ。


「……」





 ゲーム喫茶に向かう途中、僕はパンフレットを見てあることに気付く。


「この学校、アナログゲーム部はあってもデジタルゲーム部はないんですね」


「私たちの世代に、デジタルの天才はいなかったんだね」


「…確かに天才は毎年現れるわけではないですよね」


 華岡学校にあらゆる天才が集まるといっても、天才は毎年生まれるわけではない。それこそ十年に一人とか百年に一人とかだ。この学校にデジタルゲーム部や美術部がなかったのも、その天才がいないからだ。


 五十鈴さんは…千年に一人の美少女かな。


「ねえ園田くん」


「はい?」


「誘っといてあれだけど、本当は五十鈴さんと一緒がよかった?」


 星野さんは意味ありげな笑みを僕に向ける。


「いえ、そんなことはないです。今の五十鈴さんは多忙ですし、ゲーム喫茶に長時間付き合わせても悪いでしょう」


 五十鈴さんの目的は多くの模擬店を回り学園祭を知ることだ。だったらクラスのみんなといろんな模擬店を回る方が有意義だろう。


「それに…いつまでも五十鈴さんの隣にいたら、周囲からのヘイトも溜まる一方ですし」


「苦労してるねぇ園田くん」


「あと一緒にゲームを遊ぶといえば星野さんでしょう」


「お、嬉しいこと言ってくれるね~」


 僕の腕をぺしぺしと叩く星野さん。


 そうこう話しているうちに、ゲーム喫茶に到着した。

 中では数種類のゲームが発売されていて、買ったゲームを遊ぶスペースも設けられている。ゲームの無料貸し出しが可能みたいで、席はほぼ満席になっていた。


 販売されているゲームはどれも学生レベルとは思えないクオリティだ。


「これは…TRPGですか。初めて見ました」


 僕はまず一冊の本を手に取る。


 TRPGとはテーブルトークロールプレイングゲームの略だ。

 人生ゲームをすっごくカジュアルにして、ちょっとダークな要素を取り入れたものが一般的かな。僕は噂でしか聞いたことないけど。


「私も聞いたことはあるけど遊んだことないんだよね」


 星野さんも興味深そうにTRPGのマニュアルを捲る。


「いろいろ買ってみて、文化祭が終わったらみんなで集まって遊びませんか?」


 これは是非とも五十鈴さんたちと遊んでみたい。

 僕の提案に星野さんは頷く。


「いいね!私はこっちのを買うから、園田くんはあっちのを買ってよ」


「了解です!」


 二人で同じゲームを買う必要はない。

 どうせ一緒に遊ぶなら、別々でいろいろなゲームを揃えたほうがお得だ。こうなるなら葵や妹も呼べばよかった…


 結局、今日一日はずっと星野さんとゲーム喫茶で過ごしてしまった。

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