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85 学園祭準備期間①




 猫カフェ案は総務委員の審査が通り、晴れてうちのクラスの出し物として決定した。そうと決まれば明日から本格的に準備が始まる。


「いよいよですね」


「……!」


 こうして放課後、芸術室で五十鈴さんと集まるのもしばらくおわずけだ。これが二人でする最後の作戦会議になる。


「僕らが準備期間にすることは教室の飾り付け作りで、当日は写真撮影です。出し物に関しては実行委員の二人に任せられますし、写真撮影という名目があれば学園祭を回る時間はいくらでもありますね」


 取りあえず学園祭を深く知りたいという五十鈴さんの目的を叶える理想的な形になったと思う。


「うん……明日から、頑張ろう……!」


 五十鈴さんは楽しそうだ。

 うちのクラスのみんなも浮かれてたし、かくいう僕もちょっと浮かれてたりする。この準備期間に感じられる静かな高揚感は今だからこそ味わえるものだ。


「……」


 すると五十鈴さんが徐に立ち上がった。


「どうかしました?」


「前、整理した時……見つけたの」


 五十鈴さんが芸術室に積まれた道具の山から何かを引っ張り出す。


「これ、教室の飾り付けに使えるかな……?」


 それはとても綺麗な布だった。

 この布で教室の壁を囲えば、部屋の雰囲気をガラリと変えることが出来そうだ。なるほど…この芸術室にある備品や廃材、学園祭の出し物に利用できるかも。


「先生、これって学園祭に使ってもいいですか?」


 念のため一緒にいる杉咲先生に確認を取る。


「いいですよ。ここに置いてある道具の大半は私の私物みたいなものですから」


 あっさり了承を得ることが出来た。

 そうなると今後の学園祭でも芸術室にはお世話になりそうだ。ここの備品を活用すれば、予算の節約にもなる。


「他にも学園祭に使えそうな資材がありそうですね」


「探してみよう……!」





 しばらく僕と五十鈴さんは芸術室で学園祭の出し物に使えそうな物がないか漁った。

 ここにある物は年季を感じる物ばかりだけど、不良品と呼べるものが一つもない。最初に見つけた布もそうだけど、床に敷けそうな絨毯に看板として立てられそうな板、飾り付けに使えそうな煌びやかな装飾品の数など見事な品だ。


 杉咲先生が捨てずにとっておくだけはある。


「園田くん……これ」


 五十鈴さんが一つの箱を机の上に置き、蓋を開けた。


「これ…メイド服ですか?」


 箱の中にはメイド服が収められていた。

 本当に何でもありだな、この部屋。


「すごい綺麗ですね」


「うん……」


 これはコスプレで使われる安物のメイド服じゃないぞ。素材といい、繊細な装飾といい、素人の僕から見ても一級品であることが分かる。

 杉咲先生ならこのメイド服について知っているかも。


「先生、これってなんですか?」


「あら懐かしい。それは十年前の卒業生の作品ね」


 先生はメイド服を見て懐かしんでいる。


 これを一人の生徒が作ったのか…?

 きっとその人は服飾関係の天才だったに違いない。

 

「この服……使ってもいいですか……?」


 五十鈴さんから驚きの一言が飛び出す。


「大丈夫よ、もういらないって置いてったものだから」


 杉咲先生から使用許可をもらい、五十鈴さんは箱からメイド服を取り出す。偶然にも服の寸法は五十鈴さんの身長にピッタリ合いそうだ。


「五十鈴さん…着るんですか?」


「まだ……わからない……」


 五十鈴さんは迷っていた。

 メイド服を着た五十鈴さんか…さらに猫耳なんて付けたら、とんでもない破壊力になりそうだ。でも着れるかどうかは五十鈴さんの勇気次第。


 …がんばれ、五十鈴さん。

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