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80 体育祭④




 お昼休み。

 昼食は五十鈴さんグループ+αで集まって、日の当たらない木陰でとることになった。


 因みに+αは妹のことだ。


「噂に聞いてたけど、華岡のイベントはすごいね~」


 妹は僕らと一緒になってお弁当やら屋台の食べ物などを食べている。いつの間にか他の女子とも仲良くなってるし…まあそれはどうでもいいや。

 

 お昼が済んだらいよいよ大詰め。


 今の総合得点は赤組が優勢だが青組とは僅差だ。そしてあの朽木さんは青組、やはり最後のリレーが勝敗を分けることになりそうだ。


 やっぱり緊張するな…本当に僕が出ていいのだろうか。


「……」


 流石の五十鈴さんも少し緊張した面持ちだ。


「そういや高等部の方も赤組が優勢らしいよ」


 すると隣の西木野さんがそんな話題を提供してくる。

 中高一貫の華岡学校は、校舎も二つあるしグラウンドも二つある。体育祭などのイベントをする時は、それぞれ別の会場で同時に開催されている。


 特にお互い干渉することはないし、向こうの赤組が敗けても五十鈴さんの願いには影響ないから無視してたけど…


「高等部の赤組、例の五十鈴親衛隊のリーダーがいるんだよね」


 城井くんがそう呟く。

 リーダー…出雲さんの言っていた白詰飾利って人か。


「城井くんはそのリーダー…白詰さんのこと知ってる?」


 僕は好奇心で城井くんに尋ねてみた。

 噂好きの城井くんなら、五十鈴親衛隊についての情報は調べ上げているだろう。


「…ほとんど知らない」


 城井くんは首を横に振る。


「調べたりしてないの?」


「調べようとしたんだけど、新聞部の部長に止められた。今年の高等部一年とは深く関わるなって」


「…どういうこと?」


「五十鈴親衛隊、手を出したらかなり不味い組織らしい」


 城井くんから物騒な情報を聞いてしまった。五十鈴さんの味方になってくれる良い組織だと思っていたけど、やっぱりきな臭いな。


「……」


 五十鈴さんが僕の服を引っ張る。


「どうかしました?」


「ずっと気になってたけど……いすずしんえいたいって何?」


「…」


 そうか、五十鈴さんは自分を守ってくれる組織の存在を知らないんだ。

 どう説明しようかな…


「えっと…風紀委員みたいなものですかね」


「風紀委員……」


 間違いではないよね。

 親衛隊のおかげで五十鈴さん周辺の風紀は乱れていないし、僕も親衛隊の圧力がなければ妬まれていじめに遭っていたかもしれない。


「その委員会……私も入れるかな……?」


 そんなことを提案してくる五十鈴さん。


「いや…僕らはクラス委員ですし、委員会は入りすぎると大変ですよ」


 僕は適当な言い訳で五十鈴さんを止めた。守護対象は加入できないだろうし、まだ謎の多い集団に五十鈴さんを関わらせたくないな。


「ん……そうだよね」


 五十鈴さんが落ち込んでいる。

 学校生活に慣れ始めたからか、最近の五十鈴さんは部活を立ち上げたりとチャレンジ精神旺盛になっている。それ自体は喜ばしいことだけど、ブレーキをかけないから無茶しすぎないか心配だ。


「さて…少しは緊張ほぐれたか?」


 そう言って僕と五十鈴さんの肩をポンと叩く西木野さん。確かに…リレーとまったく関係のない話をしたおかげで、緊張感がほぐれた気がする。


「学校行事なんて楽しんだモン勝ちなんだから、そう固くなるなよ」


「…はい、ありがとうございます」


「……!」


 二人で西木野さんの気遣いに感謝した。

 よく気が回るな…僕も見習わないと。


「庭人くん、五十鈴さん。食べ終わったら準備運動しようね」


 食事を済ませた葵が僕らに呼びかける。


「がんばれ隼人くん!」


「………(はぁ…)」


 妹の応援を受けて涼月くんは仕方なさそうに立ち上がった。


「それでは五十鈴さん、楽しんでいきましょうか」


「うん……!」


 僕と五十鈴さんも気を引き締め直す。

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