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79 体育祭➂




 さてさて次の競技は二人三脚だ。


 野田さんと東堂さん、五十鈴さんと出雲さんの出番なんだけど…大丈夫かな。

 何度か練習したけど、何故か出雲さんが毎回体調不良になり練習が足りてないかもしれない。五十鈴さんは野田さんや東堂さんと練習してたけど、本番で出雲さんと息が合うだろうか。それにまた出雲さんが体調を崩す可能性もある。


「……」


 五十鈴さんは次の競技に出るため集合場所に向かおうとする。いろいろ心配だけど、もう僕には応援することしか出来ない。


「頑張ってください!」


「うん……!」


 僕が応援すると、五十鈴さんはやる気に満ちた返事をして集合場所に向かった。緊張はしていないみたいだな。


「ふぅ」


 すると、僕の隣で出雲さんが短く息を吐く。


「えっと……大丈夫ですか?」


 僕は恐る恐る出雲さんのコンディションを伺う。


「ああ、準備は万端だ。滝行に座禅…やるべきことは全てやった」


 …滝行?

 それって二人三脚の練習じゃないよね。


 でも今の出雲さんはいつも以上に頼もしく見えた。


「頑張ってください!」


「任せろ…」


 頼もしい返事をして、出雲さんは駆け足で五十鈴さんの後を追う。


 さて、僕は実行委員の仕事がある。

 仕事は二人三脚のゴールラインを持つ係だ。五十鈴さんのゴールを迎えられるのは嬉しいが、惨敗した時にかける言葉も考えておいた方がいいかな。





「二位かぁ…面目ないのだ」


「わかる…」


 先に走った野田さんと東堂さんは二位でゴール。

 練習した成果で上位に食い込んだけど、二人は悔しそうだ。それだけ五十鈴さんを勝たせたい気持ちが強かったのだろう。


 そして次はいよいよ五十鈴さんと出雲さんの出番だ。


 僕は遠目から二人の様子を確認した。

 超絶美少女の五十鈴さんに身長170越えの出雲さん。改めて見ても凄いペアだな…二人が肩を並べて立つと、周囲から好奇の視線が集まるのは必然だ。


「…」


「…」


 そんな中でも二人は落ち着いていた。

 さて…どうなるかな。


「位置について、よーい…」


 パン!


 スタートの合図が鳴る。

 スタートダッシュで先行したのは、五十鈴さんと出雲さんだ。


「は…速い!」


 五十鈴さんと出雲さん、息ピッタリだ。走るペースも安定してるし五十鈴さんの表情にも余裕がある。


「…」


 ただ…何故か出雲さんが苦しそうだ。五十鈴さんより体力あるはずなのになんでだ?


 おっと、そろそろゴールだな。

 僕は五十鈴さんが生まれて初めて切るゴールラインを握りしめた。





「すごいですね、ぶっちぎりの一位じゃないですか」


 僕はゴールラインを切った五十鈴さんたちを労う。転ばないか不安だったが、そんな心配はするだけおこがましいほど完璧な走りだった。


「よかった……」


 五十鈴さんは安心したのかフラフラしている。

 まだ出雲さんと足を結んだままだったから、バランスを崩した五十鈴さんは出雲さんの腕に抱きついた。


「………ぐふ」


 すると出雲さんが鼻血を出して倒れた。


「出雲さん!?」


 またこの流れ!?

 五十鈴さんは慌てて結んである足紐を解いて出雲さんを心配する。


「ほ、保健室に運びましょう」


「……!」


 僕と五十鈴さんは肩を貸して出雲さんを運ぶことにした。


「…もう思い残すことはない」


 その言葉を最後に、出雲さんは気を失ったようだ。

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