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71 体育祭の競技決め




 体育祭の準備期間が始まった。


 学校のイベントが始まるとクラス委員は一気に忙しくなる。

 飾り付けの準備や種目のリハーサル、スケジュール管理や進捗の確認など仕事は山住。クラス内から体育祭実行員を決め大方の仕事を任せることも出来るが、それでも人手不足になるほど華岡学校はイベントに力を入れている。


 体育祭がこれだけ多忙なら、文化祭はどうなってしまうのか…今から考えても恐ろしい。


 うちのクラス委員は僕、五十鈴さん、西木野さんの三人。まず僕らがすべきことは、クラスメイトから体育祭実行員を決めることだ。


「体育祭委員は向日ちゃんと超野くんに任せたー」


 西木野さんはあっさりと実行委員を指名し、全員が納得した。

 コミュ力も凄いけど西木野さんって人望あるよな。





「さあみんな、種目を決めよう!」


 黒板の前に立った葵はやる気満々で指揮をとる。

 それにしても…夏休み明けですっかり日焼けしたな、葵の奴。黄色い髪が相まって本当にヒマワリみたいだ。


「目指すは総合優勝だよ!」


 勝つことに強いこだわりがない葵だけど、やるからには勝利を目指す。それがスポーツマンという生き物だ。


「モストンマスキュラー!」


 そして男子代表の実行委員は超野兄木くんだ。

 超野くんは爽やかな笑顔を浮かべながら、上着を脱いで筋肉ポーズをとっている。なんだあの太い腕…僕の三倍はあるぞ。


「僕の筋肉はスポーツに適してないけど…やるからには全力でやらせてもらうよ」


 超野くんは服を着直して黒板に種目を書き並べる。


 …あれ?

 制服姿だと僕より貧相に見えるな…目の錯覚か?


「それじゃあやりたい種目を黒板に書きに来て!」


 葵がクラスメイトに呼びかける。


「………」

「………」

「………」


 しかし、クラス内でやる気のある人は少ない。運動が不得意な人からしたら体育祭なんて億劫でしかないものね。


「…五十鈴さんが総合優勝を目指してるんだから、頑張ろうよー」


「!?」


 葵の言葉にクラスがざわめく。


「ね、五十鈴さん」


 葵が五十鈴さんに返答を求め、クラス中が注目する。急に教室中の視線が集まり五十鈴さんはガチガチに緊張していた。


「………………勝ちたい」


 五十鈴さんは真顔で意気込みを言葉にする。

 緊張しすぎて本当に日本語不自由なカタコトみたいになってるよ。


「…よし、やるか」

「気合を入れるぞ野郎ども!」

「目指すは総合優勝だ!」


「おおおおおおおおおお!」


 五十鈴さんの一言でクラス全員が一致団結する。

 うちのクラスって単純だな…





 こうして僕らは勝つことを前提に出る種目を決めることになった。


「えっと…玉入れなら木条くん、障害物競走なら猫宮さん、徒競走なら鈴木くんがいいと思うけど、どうかな?」


 勝つための選手を決めるのは葵だ。

 こいつは人の運動能力を見るセンスがある。体力測定の時も、五十鈴さんの素質や日常での体の動かし方などを的確に分析していた。


「ふ…まかせろ」

「それやりたかったにゃー!」

「鈴木って俺でいいんだよな?」


 選ばれたみんなもすんなりと受け入れている。

 それも当然、葵は適しているかだけでなく向いているかも見定めている。まるで本人のやりたい競技を見透かしているかのようだ。


 おかげで話し合いが平和的に進む。


「庭人くんは借り物競争ね」


「…借り物競争に向いてるとかあるのか?」


「さぁ?」


「…」


 深く考えず適当に決める時もあるけどね。


「二人三脚は五十鈴さんと出雲さんでよろしくー」


「な…!?」


 まさかの指名に出雲さんが立ち上がる。


「二人三脚は高身長かつバランス感覚のいい二人が組めば勝つ可能性は高いからね。二人は夏休みで仲良くなったし、いいでしょ?」


「………」


 出雲さんは背後を振り返り五十鈴さんを見る。


「……!」


 五十鈴さんは望むところといった面持ちだ。


「…」


 その様子を見た出雲さんは観念したように腰を下ろした。五十鈴さんのやる気になっている姿を見たら、断るなんて出来ないよね。


「それじゃあ最後、リレーの選手を決めよう!」


 残るは体育祭最後の種目であるバトンリレーだ。最後ということもあって得られる点は他の競技よりも多いから、なかなかプレッシャーがかかるぞ。

 足の速さが重要だから、五十鈴さんの出る幕ではないな。


「………」


 しばらく考え込んだ葵が口を開く。


「私、五十鈴さん、庭人くん、涼月くんで行こう!」

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