68 おまけ②
【向日ちゃんの勧誘】
湖島園のプールに行った日の出来事。
「出雲さん、泳ぎ速いよね」
向日ちゃんは出雲さんの運動能力を観察していた。
出雲さんは高身長かつ運動神経も抜群。向日ちゃんにとって出雲さんは、対等に運動を楽しめる素質を持つ数少ない逸材だ。
「…習い事で泳ぎに多少の心得があるだけだ」
ぶっきらぼうに答える出雲さん。
「そうだ。いろんな部活の先輩から、出雲さんと五十鈴さんを勧誘しといてって頼まれてるんだけど…入部したい部活とかある?」
向日ちゃんは様々な運動部に顔を出して運動を楽しんでいる。
時には助っ人として登場したり、人材集めなどで先輩に頼られることもしばしば。高身長の出雲さん、超絶美人の五十鈴さんはどの運動部でも手に入れたい人材だろう。
「部活に通う暇はない、五十鈴さんもな」
だが出雲さんは即答で拒否。
「だよね、そう伝えとくよ」
向日ちゃんはあっさりと引き下がった。
「でもその内みんなでバスケしたいよね」
「…?」
「背の高い出雲さん、影の薄い木蔭ちゃん、運に恵まれた星野さん、将来性のある五十鈴さん、そしてオールマイティーの私が揃えば奇跡の…」
「五十鈴さんの青春をそっち方向に行かせるな」
向日ちゃんの言葉を遮る出雲さん。
様々な天才が集まる華岡学校だが、今作は超人スポーツ小説のような展開に意向したりはしません。
※
【ゲーム仲間、星野さん】
夏休みの予定がない日。
徹夜でゲームをして起きるのが遅くなった園田くんは、ベッドから体を起こす。
(…朝ごはん、パンが残ってたっけ)
朝食ならぬ昼食を求め、園田くんはリビングに向かった。
「お邪魔してるよ園田くん」
「…」
すると何故かリビングで星野さんがゲームをしていた。
「なんでいるんですか…」
「楓ちゃんと約束したからだよ。あはは、寝ぐせが酷いね園田くん」
星野さんにからかわれ園田くんは慌てて自分の髪を抑える。寝起きの姿をクラスの女子に見られるのは、園田くんにとってなかなか恥ずかしいことだ。
「やっと起きたかお兄ちゃん、もうすぐ昼だよ」
星野さんの隣でゲームをしている楓ちゃんが呆れている。
「お前…誘ったんなら言っといてよ」
「伝え忘れちった」
舌を出しておちゃめアピールをする楓ちゃん。
園田くんはため息を吐きながら部屋の中を見回した。
「五十鈴さんたちは誘わなかったんですか?」
「うん、今回はゲーム経験者だけで遊ぼうと思ってね」
「…なるほど」
前に集まった時はゲーム初心者の五十鈴さんと木蔭ちゃんがいたので、真剣勝負のゲームはしなかった。みんなでまったり遊ぶのも盛り上がるが、本気の対戦もしたくなる。
「大乱戦やろう!ガチバトルで!」
「そう言うことなら手加減しませんよ」
「私もやる―!」
こうして星野さん、園田くん、楓ちゃんの三人は対戦ゲームで遊んだ。
この日を境に星野さんはちょくちょく園田家にやって来てゲームをするようになった。園田くんが華岡学校に入学して、一番距離が近くなった友達は星野さんなのかもしれない。




