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66 友達を家に招待する




 夏休みももうじき終わる。

 そんな頃、グループにゃいんから西木野さんのメッセージが送られてきた。 


『みんなで夏休み明けテストの予習しない?』


 その呼びかけに何人かが賛同した。

 僕も参加したけど、場所はまた学校でやるのかな。


 ピコン


 そう思ったら、五十鈴さんがこんな返信をした。


『私の家でしませんか……?』


 ………


 これまた予想外の提案。

 いや、そういえば五十鈴さんのやりたいことノートに書いてあったな。


 41 友達の家に遊びに行く。×

 42 友達を家に招待する。


 友達を自分の家に招待する。

 五十鈴さんはこれを達成したくて、自分の家を指定したのだろう。かなり勇気のいる提案だったはずだけど、五十鈴さんも成長したんだな。


『いいの!?』


『五十鈴さんの家…楽しみ!』


 今回の参加メンバーも五十鈴さんの家に行くことに異論はないようだ。

 

 僕も賛成だ。

 五十鈴さんの家に行けるなんて願ってもない。





 そして約束の日。

 今回の勉強会に参加したメンバーは僕、五十鈴さん、西木野さん、木蔭さんの四人だ。他のみんなは用事があると言って不参加だが…どうだろう。


 少なくとも葵は確実に勉強から逃げたな。


「おいっす、園田」


 五十鈴さんの家に向かっていると、西木野さんと遭遇した。


「どうも」


「今日も暑いな~」


「暑いですね~」


 僕と西木野さんは肩を並べて五十鈴さん宅に向かう。


「園田は五十鈴さんの家に行くの初めて?」


「初めてですよ」


 家の前までなら行ったことあるけど中に入るのは初めてだ。

 正直な話、あの五十鈴さんの領域に入れると思うとかなり緊張する。初めて五十鈴さんと会った病室での頃を思い出す。


「…あ、木蔭ちゃんだ」


「本当ですね」


 話ながら歩いていると、正面に一人で歩く木蔭さんの背中を発見。


「おーい」


「…!」


 西木野さんが大きな声で呼ぶと、木蔭さんは肩を震わせた。


「あ…園田くんと西木野さん」


「そんな驚かなくてもいいじゃん」


「ごめん…話しかけられることに慣れてなくて。でも、よく私に気付けたね…」


 影の薄さが悩みの木蔭さんは、僕らに発見されたことを驚いていたようだ。


「そういや最近は見失わなくなったな」


「そうですね、夏祭りも迷子にならなかったですし」


 最初は同じ教室にいても視界にすら入らなかった木蔭さんだけど、今では普通に見つけられる。木蔭さんの異様な影の薄さには性質があって、一度認識すると捉えやすいのかも。


 なんかバトル漫画みたいな考察だな…


「私を迷わず見つけられるのは…華岡で友達になったみんなだけだよ」


 木蔭さんが小さく笑う。





 僕らは道中のコンビニで涼みつつ手土産を買い、五十鈴さん宅に到着した。

 

「いら……しゃい」


 緊張しながら僕らを迎えてくれる五十鈴さん。

 …五十鈴さんの髪型が変わってる!?


「お、五十鈴さん髪型変えたんだ。いいじゃん」


「うん…綺麗」


 西木野さんと木蔭さんも五十鈴さんの変化に気付く。

 長くて綺麗な金色の髪にふわふわのウェーブがかかっていて、すごい大人っぽさが出ていた。西木野さんたちが選んだ私服にもベストマッチしている。今の五十鈴さんを写真に収めれば、ファッション誌の表紙を飾れるくらいお洒落だ。


 う-ん…素晴らしい。


 ………


 ……


 …


 バシーン!


「いた!」


 西木野さんに背中を叩かれた。


「ノーコメントはないだろ~園田」


 ですよね。

 夏休みで何回やればいいんだこの展開…


「髪型も服装もオシャレになりましたね、五十鈴さん」


 無難に褒めてみた。


「……!」


 五十鈴さんは無表情だが褒められて嬉しそう。

 今まで何度か五十鈴さんを褒めてきたけど、その反応は実に素直なものだ。照れたり困ったりせず、普通に喜んでくれる。それはそれで変に意識しないで済むからいいんだけど…男として見られてない気がして少し寂しい。


「いらっしゃい!」


 玄関に入ると、五十鈴さんのお母さんが現れた。


「女の子二人は新しい友達かな?」


「西木野優子です」

「木蔭明菜です」


「蘭子から聞いてるよ。いつも仲良くしてくれてありがとうね~」


 初対面である三人は丁寧に挨拶していた。


「それと園田くんは引き続き、蘭子をいろんな場所に引っ張ってくれてありがとね」


 五十鈴さんのお母さんは既に面識のある僕には気さくに接してくる。


「僕は大したことしてないですよ」


「謙虚だねぇ。プールに夏祭り…蘭子を楽しませてくれて感謝だよ」


 楽しんでいるのは僕も一緒だ。

 五十鈴さんと関わってから、灰色だった僕の人生は色鮮やかに彩られていった。むしろ五十鈴さんに感謝したいくらいだ。


「蘭子から学校の話を聞けば、九割は園田くんのことだからね~」


「……!?」


 お母さんがそう言うと五十鈴さんは顔を赤くして会話を遮る。親が目の前で自分の話をするのって恥ずかしいよね。


「親とは面識あったのか…」


「思ったより進んでる…?」


 その様子を眺めていた西木野さんと木蔭さんは何を思っているのか。いろいろ隠し事してるからね…間違った考察してなければいいけど。

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