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63 夏祭り④




 河川敷の向こうで大きな花火が上がり始めた。

 定番の花火から、色とりどりの花柄、最近の人気アニメのキャラ、そしてラストのド派手な一斉点火。地元民すら飽きさせない多彩な花火は素晴らしいの一言に尽きる。


 だが今回は、少し見劣りしたな。


「…」

「…」

「…」


 星野さん、木蔭さん、妹も僕と同じ感想を抱いただろう。


 何故なら…


「……!」


 花火を見て感動する五十鈴さんの方が、一億倍は見ごたえあったからだ。





 花火が打ち終わり、河川敷はいつもの静けさを取り戻す。


「いや~楽しかった。こんな楽しい夏祭りは初めてだよ」

「うん…!」

「私も、いつもと違ってすごく楽しかった!」


 星野さん、木蔭さん、妹は興奮冷めやらぬといった面持ちだ。


「……!」


 五十鈴さんもいつもの無表情に戻っているが、その表情は満足げだ。僕もこんなに楽しい夏祭りは久しぶりかも。


「それじゃあ帰りますか」


 シートを畳み、バックに詰めて木蔭さんに渡す。


「…出来ればみんなを家まで送りたいのですが」


 時刻はすっかり夜だ。

 男として女子を家まで送るのは当然の義務。だが男は僕一人、距離は離れていないが帰り道はみんなバラバラときている。


「へぇ、紳士だね。誰を送ってくれるのかな?」

「無理しなくていいよ…?」

「……」


 三人が僕の答えを待っている。


「さぁお兄ちゃん、どのルートでいくの!?」


 そして何故か急かしてくる妹。

 どうしたものか…やはり重たい荷物を持っている五十鈴さんかな。


「…いたた」


 僕が悩んでいると、妹が足を抱えて蹲る。


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫…!」


 妹はやせ我慢していた。

 一日中はしゃぎ回ってたから、足の負担が大きかったのだろう。


「私らのことは心配いらないから、園田兄妹は真っ直ぐ帰りなよ」


 星野さんがそう言い、五十鈴さんと木蔭さんが頷く。


「ごめんなさい、そうしますね」


 流石にこの状態の妹は放置できない。

 動けない妹をおぶって帰ることにした。


「…ごめんお兄ちゃん」


 妹が珍しく素直に謝罪する。


「別にいいよ」


「この私がフラグをへし折ってしまうなんて…」


「…何の話だ?」


 こうして今日の夏祭りはお開きとなった。

54 夏祭りを満喫する。×

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