26 星野さんと園田くん
「あ、星野さん」
「おお、園田くん」
通学路を歩いていたら、園田くんと遭遇した。
五十鈴さんとはお弁当の日からちょくちょくと交流があるけど、園田くんと二人きりで会うのは初めてだな。
「おはようございます」
「うん、おはよー」
……うーん。
この人が、私の運命の相手なのかもしれないのか。
私にとって占いは絶対だ。
ここ数年間、ずっと占いに左右されて自分の人生を決めてきた。園田くんが運命の相手ならば、その先の未来までの道のりだって想定して考える。
園田くんは男の子だし、付き合ったり…結婚するかもだし。
園田くんを一言で表すなら“普通”だ。
五十鈴さんの知り合いってだけでかなり特殊な人だと思ってたけど、見た目も性格も特質したものなし。一般人って表現が一番しっくりくる。
対して私は占いに振り回される変人。
相性悪そう…
「ところで星野さん」
「な、なに?」
「それが今日のラッキーアイテムですか?」
園田くんから話を振ってきた。
私の手には、今日のラッキーアイテムであるガムテープが握られている。
「そうだよ」
「五十鈴さんから聞きました、星野さんは占いが大好きなんだって」
「好き……まぁ好きと言えば好きかな」
本当は嫌いだけど…私の体質について説明しても信じてもらえないだろうし、好きってことにしておこう。
「ガムテープ、何に使うんですかね」
「…園田くんの制服、埃がついてる」
「あ、本当だ」
「このガムテープでぺたぺたすれば~」
「おお、ありがとうございます。本当にラッキーアイテムなんですね」
園田くんは楽し気に微笑む。
…うん。
話していて嫌な感じはしないな。
偏見だけど男子って野蛮な奴が多いから。
小学生の頃は、事情も知らないで私が持つラッキーアイテムをからかってくる奴ばっかだった。園田くんは礼儀正しいし、気を遣えるし優しい。
そうだ、私はまだ園田くんのことを何も知らない。
もっと会話をしてお互いを知らないと、相性が悪いかどうかなんて決められない。共通の趣味でもあればいいんだけど。
「ねぇ園田くん」
「はい?」
「その………ご趣味は?」
「!?」
※
「やっぱりゼリアの伝説は神ゲーですよね!」
「わかるー!」
結論、私と園田くんはテレビゲームの趣味が抜群に合う。
「スニッチの最新ゲームも面白いですが、46やゲームボックスには隠れた名作がたくさんあります。特にみんなで遊ぶタイプのもの!」
「そうそう!レースゲームやパーティーゲームはあの時代で完成した感あるよね」
最新のゲームから古いゲームまで、園田くんは幅広いゲームを遊んでいる。私にとって初めてのゲーム仲間だから、夢中になって話し込んじゃった。
「わかります!数世代前のみんなでわいわい系は今でも幼馴染と遊びます」
「いいな…私、ゲーム仲間いないから一人でやるか弟とやるかだったから」
「もし機会があったら、五十鈴さんと一緒にゲームなんてどうです?」
「いいねそれ!」
木蔭ちゃんや大海さんもいるし、私がずっと夢見てきた四人でゲームも可能?考えただけでもワクワクしてきた!
…やっぱり園田くんは普通だ。
女子の理想とする男性像とは程遠い。
でも…占いに振り回される私が最も欲していた普通を、園田くんは持っている。園田くんみたいな普通の男性が、運命の相手でも悪くないのかも。
………
いっそ園田くんを恋愛対象として見てみようかな。そうしていれば、園田くんなら好きになれるかも。
……いやいや。
もう一人の運命の相手、五十鈴さんを差し置いてそんなことしていいのかな?迂闊に恋心を抱くと修羅場になりそうだし………
「…今決めなくてもいいか」
結論は今出さなくてもいい。
学校生活長いんだし、気長に見定めていこう。
「どうかしました?」
「ううん…取りあえずはゲーム仲間として、よろしくね園田くん」
「え?…はい」
(変わった人だな…星野さん)




