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20 星野さん




 皆さんは占いを信じていますか?


 最初は誰しも半信半疑で見始めると思います。

 そしてその日に起こった出来事から、その占いが真実なのか虚偽なのか見極められるでしょう。次の日、また次の日と占いを見続けることでようやく、占いというものの真偽が決まると思います。


 私、星野夢月(ほしのむつき)が占いを見始めたのは小学三年生の頃。

 今は中学一年生。


 そんな私が占いを信じているのかどうかですが…




 私は信じています。

 それも100%。




『今日の運勢、11位は“てんびん座”のあなた』


 朝のテレビに流れる本日の運勢。

 因みに私はてんびん座です。


『人に関わると痛い目を見る日、今日は大人しくひっそりとしましょう。ラッキーアイテムはランタン』




 そしてこの占いは、確実に当たります。




 もし人に話しかけようものなら、特に理由のない暴力が私を襲うでしょう。しかも最下位に近いので、大人しくしていないと命の危険さえあります。

 ランタンは学校がある日でも必ず持ち歩きます。人目を気にして鞄の中に隠すと思わぬ不幸が襲ってくるので、持っていることをアピールしないといけません。


 私の人生は、ずっとそう。


 落とし穴にハマる日と言われれば、道路の排水溝に足を落とします。落とし物をする日と言われれば、財布や鍵などの貴重品を失くします。水難に注意と言われれば、ゲリラ豪雨に襲われます。道に迷う日と言われれば、通いなれた通学路ですら迷子になります。




 私の運命は占いに左右される。

 嘘みたいだけど、本当なのだから受け入れるしかない。




 悪い運勢の日は本当にダメ。


 でも、良い運勢の日はちゃんと良いことが起こります。

 体調が良かったり、テストで100点をとれたり、夕食に大好物が出たり、宝くじで10万円が当たったり、華岡学校の受験に合格したり…


 ………


 私の体質はこれでバランスを取っているつもりになっているのだろうけど、極端な運勢よりも堅実な日常の方が私は好きです。


 いつか運命に逆らえる日がくるのでしょうか…





 学校に向かう前、身支度を整えながらテレビで今日の運勢を確認する。

 長い髪は真ん中に分けて、トレードマークである星のヘアピンを付けて髪型は完璧。これも占いに従って決まった髪型なんですけどね…


『今日の運勢、1位は“てんびん座”のあなた』


「………」


 私は占いの内容に集中する。

 この情報で私の本日の命運が決まるといっても間違いじゃない、聞き逃さないようにしないと。一位なら喜んで肩の力を抜けばいい…と、侮るなかれ。


『運命の相手と肩がぶつかる日。歩きスマホは止めてちゃんと前を向いて歩きましょう』


「!?」


 ほらでたよ。


 一位と思いきや、油断ならない内容。

 なんで中学一年生で運命の相手と出会わなきゃいけないのさ。一位はたまにとんでもない爆弾が潜んでるから嫌なんだよ。出来れば五位とか六位がいい…


『……トになることも。今後、その人の側に居ることがあなたの幸せとなるでしょう。ラッキーアイテムは紙飛行機』


 あ、しまった…

 あまりの内容にちょっと聞き逃した。でも本題とラッキーアイテムは聞けたからいいか。


 運命の相手と肩がぶつかる………はぁ…


 もし誰ともぶつからず一日を終えたら、無かったことにならないかな。


「ねーちゃんおはよ~」


 廊下の正面から弟がやって来た。


「私の側に近寄るなー!!」


「!?」


「姉弟でとかシャレになんないから」


「相変わらず意味わかんねーな…ねーちゃん」


 弟は気味の悪いものを見る目で私に道を譲ってくれた。


「おはよー夢月」


 今度はお父さんが正面からやって来た。


「お父さん近づかないで!臭い!」


「!?」


 不必要な罵倒だったかもしれないけど、今日一日だけは家族との接触を避けたい。はやく家から脱出しないと。


 ああ、でも出たら出たで怖いな…





 ラッキーアイテムの紙飛行機を握りしめながら、警戒しつつ学校に向けて通学路を歩く。


「………」


 本当は休んで一日中布団に包まりたかったけど、それでは私の運命は許してくれない。占いから逃げて日常生活を崩すと大抵はろくなことが起きない。


 とにかく今日は人とぶつからないよう警戒して動かないと。


 学校に着いても油断ならない。

 別に好きな人とかいないし………ずっと前から好きだった王子様でもいれば、進んでぶつかりに行くのに。


「はぁ…神経が疲れる」


 そんなことをぼやきながら、私は曲がり角を曲がった。


 ドン


「!?」


「おっと」

「あ……」


 ………しまった。


 誰かとぶつかってしまった。

 しかも両肩に感触あり…まさか相手は二人!?


 三角関係とか最悪だよ…!


「…」


 私は恐る恐る相手を確認した。


「すみません、大丈夫ですか?」

「……紙飛行機」


 この二人…見覚えがある。

 同じクラスの園田くんと、あの超絶美少女の五十鈴さんだ!


 この二人が運命の相手…?


 ………いやいやいや。


 異性の園田くんならまだ分かる。

 でも五十鈴さんとぶつかるってどういうこと?

 私ってどっちもイケるの?

 いや、確かに五十鈴さんは美人だけど…

 どっちが私の運命の相手?

 どっちも私の運命の相手?


「えっと…同じクラスの星野さんですよね?」

「顔色……悪い……」


 二人に心配されてるみたいだけど、どうしよう。

 占いの統計から考えると、この二人が私の学校生活の命運を左右させることは間違いない。私が幸せになれるのかは、この二人にかかっている。でもどんな形でこの三角関係が始まって終わるのか検討も付かない。


 ………


「あの、園田くん…五十鈴さん…」


「はい?」

「……?」


「不束者ですが…末永く、よろしくお願いします」


「?」

「?」


 これだけは伝え、一先ずエスケープ。

 ちょっと頭を冷やしてから今後の計画を考えないと…


「……」


「…」


「どういう……こと……?」


「さあ………もしかしたら、前に西木野さんが言ってた“偶然の引き合わせ”ってやつなのかもしれませんね。よろしくって言ってましたし」


「……今度、話しかけてみる」


「いいと思いますよ」

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