18 友達の作り方
「前も話したけど、五十鈴さんと友達になれそうな人を何人か教えるよ」
休み時間。
西木野さんは振り返って五十鈴さんにメモを渡した。前に話していた五十鈴さんにお勧めできるクラスメイトを教えてくれるようだ。
「……」
五十鈴さんは真剣な眼差しでメモを受け取る。
クラスに馴染むなら一人ずつ、少しずつ人間関係を構築していくしかない。それに友達が増やせるなら五十鈴さんも本望だろう。
「まず相沢愛梨沙ちゃん、何でもポジティブに捉える気さくな子だよ。それと出雲八恵さん、ファンクラブに加入したファンの一人ね。あとは朝香希、大らかでのんびり屋な私の友達。この人たちなら五十鈴さんから話しかければ、まず間違いなく大喜びするよ」
西木野さんは指を差しながらクラスの女子を紹介する。
聞いている限りだと確かに難易度の低い人たちに思えるが、どんな相手であれ内気な五十鈴さんにとっては手強い相手になるぞ。
大丈夫だろうか…五十鈴さん。
「……あの人は?」
「ん?」
そう言って五十鈴さんが指をさしたのは、西木野さんの選択肢にない生徒。メガネをかけた小柄で大人しそうな女子だった。
「朝……私よりも早く来て……教室を綺麗にしてくれてる人」
「へぇー私ら以外にも教室の掃除してくれる人いたんだ。えっとあの子は…」
「……」
「………」
「……」
「…誰だろ」
「!?」
西木野さんから衝撃の一言。
黙って聞いてたけど、流石に突っ込まざるを得ない。
「西木野さん、クラスの女子全員とは挨拶を終えてるのでは?」
「…あの子には挨拶してないや」
「酷いですよ西木野さん」
「ぐ…言い返せないわ」
反省しつつ西木野さんは机からクラス表を取り出す。そのプリントにはうちのクラスの席順が名前で書かれている。
「…あった、木蔭明菜さん。まったく気付かなかったわ…随分と影の薄い子ね」
「確かに存在感が薄いような…」
言われて見ると僕も初めて見た気がする。
木蔭さんの席は窓際、僕らからすると嫌でも目に付く席だ。それなのに今の今まで存在を意識することが出来なかったなんて、少し妙だな。
「どうにか……話しかけてみたい……」
五十鈴さんは悩んでいた。
相手は西木野さんですら知らないクラスメイト、どんな話題で話しかければ良いのか難しいな。
「まぁ焦って向かわなくても大丈夫よ」
「?」
「授業、委員会、部活、行事、先生のお手伝い…クラスメイトと関わる機会は今後いくらでもあるから。私が教えた子も知ってて損はないくらいに覚えてくれればいいし、あの子もきっかけを見つけた時にそれとなく近づくくらいの心構えでいいと思う」
なるほど、流石は西木野さん。
内気な五十鈴さんを無理やり行動に出さず、やんわりと背中を押している。
「でも……いいのかな……」
不安そうな五十鈴さんに、西木野さんは笑顔を向ける。
「友達ってのは作るものだけど、偶然ってやつが引き合わせてくれる時もあるのよ」




