表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/117

15 二人の挑戦は続く




 昨日は学校をサボったが、次の日は普通に登校した。


「お二人さん、昨日は揃って欠席だったけど…何かあったの?」


 席に着くや、西木野さんが絡んできた。二人揃って無断欠席すれば変な目で見られるのは当然か…


「風邪ですよ」


「……けほ」


 僕が適当に嘘をつき、五十鈴さんはわざとらしく咳き込む。


「………ふ」


 何かを察したように嘲笑する西木野さん。


「なんですか…」


「いや、今後の進展が楽しみだなって」


「進展?」


「そのうち五十鈴さんから洗いざらい吐かせるから、今は我慢して溜めておくわ」


 何を企んでいるのか、西木野さんは怪しい笑みを浮かべている。


「変なことしないでくださいよ…僕らは普通を求めてるので」


「その割には昨日休んだり、何か企んでる感じじゃない?」


 頬杖をついて僕らを観察する西木野さん。


「何か二人だけの秘密があるでしょ?」


「…なんでそんなこと」


「女の感よ」


「…」


 でたよ、女の感。

 このまま普通に会話をしているだけで隠し事が露にされそうだ。


「いつか……西木野さんにも話したい……」


 その様子を見た五十鈴さんは素直な気持ちを西木野さんに伝えた。


「…五十鈴さんには敵わないなぁ」


「……?」


「園田くんが頼れなくなったら、遠慮せず私に頼っていいからね」


 優しく微笑む西木野さん。

 普段は頼りがいのある、良いお姉さんなんだけどな…


 例のやりたいことノート。西木野さんになら相談しても良さそうだけど、その辺りのタイミングは五十鈴さんに任せるとしよう。





 放課後の芸術室。

 五十鈴さんはノートを見つめて嬉しそうに微笑んでいる。


「……」


 一ページ目の達成が嬉しいのだろう。

 入院中の念願だったからな。


「この調子なら、残るやりたいこと達成もいけそうですね」


「……うーん」


 五十鈴さんは表情を曇らせる。


「できるか不安……」


「そんなに無茶な目標なんですか?」


「う……」


 五十鈴さんは悩み、ノートのページを開いて僕に差し出した。


――――――――――――――――――――

11 委員会に入る。

12 勉強会を開く。

13 みんなでテストの見直しをしたい。

14 何かの賞をとる。

15 体力測定は平均以上を目指す。

16 身長は目指せ160以上。

17 運動会で一位になる。

18 マラソン大会で完走する。

19 学園祭の実行委員をやる。

20 学園祭で全ての模擬店を回る。

――――――――――――――――――――


「……どうかな?」


「…」


 一見すると普通に学生やってれば達成できそうではあるけど………ちょっと運要素の強いものも含まれてるな。

 でも前向きにとらえた方がいいだろう。


「どれも達成できますよ。一緒にがんばりましょう」


「……うん!」


 拳を握ってやる気を見せる五十鈴さん。

 他にはどんなやりたいことがあるんだろう…


「!」


 ページを捲ろうとしたら、五十鈴さんにノートを取り上げられた。


「まだ……秘密……」


「す、すみません」


 そうだよね…

 このノートには五十鈴さんの一生が書かれていると表現してもいい。そんなものをいきなり僕に全て公開するなんて無理に決まってる。


「こんにちわ~」


 そうこう話していると、杉咲先生がやってきた。


「こんにちは」


「こん……ちわ……」


「あら、片づけは順調みたいね」


 杉咲先生は芸術室を見回して感心している。

 片づけは少しずつ手を付けているが、まだまだ終わる気配はない。


「この部屋が綺麗になる日はくるんですかね」


「三年間も通っていれば、片付くんじゃない?」


「ええ…」


 僕らに片付け丸投げする気か、この先生。


「そうだ、職員室にあった古いコーヒーメーカーを持って来たんだけど」


「もう物増やさないでくださいよ…」


「まだ動くから、これでお茶にしません?お茶の元もいろいろ持ってきたから、カフェラテでも抹茶ラテでもなんでも作れますよ~」


 そう言って杉咲先生は開いている机にコーヒーメーカーを置く。ご丁寧に紙コップやティースプーンまで用意している。


「キャラメルラテ……飲んでみたいです……」


「園田くん、水汲んできてもらえる?」

 

 仮にも学校の教室なのにこんなことしていいのかな。


 ………


「……わかりました」


 五十鈴さんが楽しそうだから、いいか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ