プロローグ
主な登場人物
カレン:主人公。少し気の強いところがあるが、根は優しい17歳の女の子。
レイ:カレンの執事。カレンと10年間ともにしているが、今だ正体は不明。
ルフォード:屋敷の使用人兼ボディーガード。
アルヴァ:カレンの婚約者。
プロローグ
― お前の名前はレイだ。命を懸けて、お嬢様をお守りするんだ。 ―
「ねえ?お父様」
ここはイタリアのとある街。
「なんだい?カレン」
「お母様はどこに行ったの?みんなはお星様になったと言うわ」
幼い少女は、無邪気に聞く。
「わからないのだよ。本当は誰にも・・・」
「え?」
「だって、行ったことがないのだからね。行ったことがないからこそ、誰にもわからない。もちろん、私にもね」
言葉の意味が難しくて、幼い私にはわからなかった。
だけど、ひとつだけわかった。
お母様が遠いところに行ってしまった、という事だ。
「あぁ、そうだカレン」
「なぁに?」
「お母様の代わりと言っては何だが・・・お前に執事を付けよう」
「ひつじ?」
父親は苦笑した。
「いやいや、執事だよ。私はこれから長い出張があるんだ。だから、執事をカレンの傍に置こうと思うんだが・・・どうかね?」
「しつじ・・・」
新鮮な響きに、少しワクワクした。
これが、私とレイの出会いだった ―・・・