服の中身が知りたくて……①
短編です。昔書いたものです。④くらいで完結します。
午前5時50分。
6時にセットしたアラームが鳴る前に康太は目を覚ます。部屋には春の朝日が差し込んでいる。康太は窓を開け、地域一番の豪邸から見える街の景色を眺めながら、朝の新鮮な空気を吸い込む。高台の上にある東条家からは見える住宅街からは、もうビジネスマンが出勤を始めていた。
康太は軽く屈伸をすますと窓を閉め、窓の横にある机の上の双眼鏡を手に取る。そして、コの字型をした家の向かい側にある部屋のカーテンが開く時をそっと待つ。
先月まで彼は、7時アラームが鳴っても目覚めず、メイドに起こしに来てもらっても、いつも寝ぼけてしまう少年だった。そんな彼が、中学に入学してから数週間の中で早起きする理由が出来た。彼の中に眠る思春期の欲望が急に目を覚ましたのだ。それは康太でも驚くほど突然にやって来たのだ。
康太はカーテンが開くのを息をのんで待つ。6時のアラームが鳴った。向かい側の部屋の主が起きる時間だ。向い部屋の窓が開くと中から東条家専属のメイドであるサキが顔を出した。康太より10歳年上の彼女は眠たげな表情で窓の外の景色を眺める。
康太は双眼鏡を持ち直しながら、双眼鏡のピントをサキの部屋に合わせる。サキは水色のパジャマに身を包みながら、10分前に康太がしたと同じように朝の新鮮な空気を吸い込む。ショートカットの黒髪がさらっと風に揺れる。双眼鏡のレンズが彼女の胸をとらえる。Dカップある彼女の胸は、康太の同級生のだれよりも豊満に膨らんでいた。
「さあ、今日こそ勝たせてもらおうか」
康太はを窓の向こうのサキに訴えかける。康太の心拍数が高まり体の中でトクトクと小刻みにリズムを刻む。サキはパジャマのボタンを上から一つずつ取り始める。ボタンが全部取れ、前がはだけると康太の期待もマックスまで上がる。康太が見たいのは、この後だ。サキの裸をその目に焼き付けたいのだ。サキは横を向いておりはっきりと姿を見ることができない。あと少しだ、康太の頬に汗が伝う。双眼鏡を窓にぴったりと押し付け、その瞬間を今か今かと待ち構える。
しかし、サキはパジャマに手を伸ばした瞬間、遠い場所から発射されている視線に気づいてしまった。彼女はさっとパジャマの前を閉じると、康太の部屋の方に目を向け、ふっと微笑みながら、カーテンを閉ざしてしまった。双眼鏡にはエメラルド色のカーテンだけが映されている。
「くそおおおおおおおおお!」
康太は叫び声をあげて双眼鏡を床にたたきつけようとして、(ちょっぴりためらってから)ベッドに双眼鏡を投げつけた。これで10回目の失敗だった。何回やっても康太の挑戦は見破られてしまう。サキの部屋に隠しカメラを仕掛けようとした日には、鍵なんてないはずなのにドアが開けられなくなってた。仕方なく窓からの盗み見を試みているが、これも必ず見破られている。康太も初日は明けていた窓を閉め、精度の高い双眼鏡を買ってもらい(これはサキに頼んだのだが)、起床する時間をずらすなど、中学生の彼なりに試行錯誤をしていたわけであるが、必ずサキに見破られていた。
康太はベッドに飛び込み、枕を何度もたたきつける。時刻はまだ6時10分、あと50分は寝ることができる。康太は一度気持ちを落ち着けると、無駄にした睡眠時間を取り戻すかのように、安らかではない二度寝についた。7時のアラームはあえてセットしない。
「康太君、もう起きる時間ですよ」
7時15分、いつものようにサキが起こしにやって来る。いつもと変わらない康太の一日が始まる。
初めて書いた3人称だったと思います。慣れないで苦戦していたのが懐かしい(笑)




