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3.実家

両親は数年前に他界していて、家には妹家族が住んでいる。帰ると伝えたところ、それならうちに住んだらどうか、と提案されたが、居候するのもなんだし、それなら引っ越すと言われても一人だと持て余しそうな家だったので遠慮した。別の家を借りることで、あの頃の思い出を別の面から思い返すことができそうだと思ったのも、あえて実家からそこそこ離れたところに住もうと考えたきっかけである。あの頃遊びに来た友達はどんな気持ちでうちに来ていたのか、帰り道はどうだったのかを歩きながら考えてみるだけでも楽しい。


今日はたまたま散歩のルートが実家近くになったので、甥っ子と姪っ子の顔でも見にと顔を出した。土産のクッキーとまんじゅうを渡して上がり込む。妹の長男はもう園児で家にはいないが、次男と長女はまだ赤ん坊だ。双子が生まれるときはのたうち回って真っ赤になっていたが、生まれた後は様々な問題で真っ青になっていた。忙しい顔色である。彼女自身も忙しくしている。たまに顔を出すと

「夜勤だから子どもを見てて」

と頼まれることもしばしば。妹はうちで一番まともにやっている。今では看護師として病院勤務だ。


看護学生時代も多忙を極め、家で執筆している私のパソコンを見て、

「お姉ちゃん!それかして!」

と返事も聞かずに奪い取っていったこともあった。レポート提出期限を失念していたそうで、私から借りた(奪い取った)甲斐もあってなんとか間に合ったとのことだったが、その時に書きかけだった小説は消えてしまった。改めて書き直したが、最初に書いていたものと同じニュアンスのはずでも、若干ずれが生じたのか、違和感というかもっといい表現があった気がする、という思いが残った。出版はされたものの、評価はいま一つだった。全力でもないものを「鈍った」だのなんだの書き立てられ、当時の私は心中穏やかでなかった。


兄は今どこにいるかもわからない。私が中学生のころにアメリカに行くといって出て行ったきりだ。探しようもないのであきらめている。両親より先に死んでいても不思議ではないが、生きているとしたらなんだかんだやれているようにも思う。


小さな双子は眠っていた。しばらくすると目が覚めて騒ぎ立てるのだろうが、おむつ替えだろうからおむつと、終わってから快眠できるようにハイローチェアを準備しておく。布おむつを使っているので、最初は調べながらなんとかやっていた。今ではさっと済ませられるくらいにはなったので、慣れというのは偉大なものだと思う。


泣きまくる中おむつを替えて、二人をあやす。一人が泣くともう一人もつられ泣きする。双子はこれが厄介だ。二人をベビーチェアに乗せ、ベルトを締めてゆっくり揺らす。ずっと押し続けるのも大変だが、これも最初のころとは手慣れたもので、長時間やってもうでが疲れにくくなってきた。家事労働をずっとやっていたら特別に運動する必要はないというが、それがよくわかる。


二人が寝たらベビーベッドに移動させる。しばらく見ていたら、気が付くと目を覚まして泣きだしたので、おやつを作って口に含ませる。落ち着きなく動き回るようになってきて、さらにおなかがすくのか以前よりかなり食事量は多くなった。体重も順調に増えてきている。あやして寝かせ、ひと段落。


それからしばらくして、義弟が帰ってきた。妹が夜勤の時は早めに帰ってくるので、私が双子を見ている時間は少ない。

「義姉さん、いつもありがとうございます。」

育児を嫁に押し付けないよくできた旦那である。看護師となると仕方ないのかもしれないが…

一緒に帰ってきた長男にお土産をあげて、その日は家に帰った。甥っ子は目を輝かせて喜んでいた。

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