幽霊が全員怖いわけじゃない
春は出会いと別れの季節その中でも進学する者や就職する者も居るこの俺立花 みのるも今年から大学生だ。進学と共に大学の近くの安いアパートに引越した生まれて始めたの一人暮らしだ。
「今日からここが俺の家か」
誰も居ない部屋で1人呟いた。そして布団に倒れ込んだ。今日は引越しの片付けで疲れた何もしたくないという想いの中その日は眠りについた。
「ふぁ〜」
誰も居ない部屋の中を見て一人暮らしを実感するいつも起きるとご飯があったことがどれだけ楽か思い知らされた。適当に食事を済ませ学校の支度をする気がつくともう家を出ないといけない時間になっていた。
「入学式で遅刻するのやばい」
部屋の電気を消し家を出て鍵を閉め走り出した。まだ本気で走れば十二分に間に合う。ここからの最短ルートは次の信号を左!学校の門が見えてきた、時間的にはまだ余裕があるそう考えてると門の前にこっちに向かって手を振ってる人がいた。
「どうしたそんなに息切れしてもしかしてあれか?寝坊して急いで来たのかいいな一人暮しは」
「一人暮らしは色々と朝から忙しいんだ」
門の前にいたのは同じ高校だった高橋 悠だった。高校の時も仲が良く休みの日とかに一緒にゲーセンとかに行ったりした。
「それにしても悠がこの大学に受かるとか思ってなかったは」
「あんなに勉強を教えて貰ったからな期待には応えないとな」
悠と雑談しながら入学式の会場に向かった。入学式は特に変わったことがなく終わった。
「帰りどっか寄ってく?」
「ごめんまだ引越しの片付け終わってないからまた今度で」
「そっかじゃあ今度泊まりに行くわ」
悠と別れて歩いていると行く時には気づかなかったことに気づいた。とても綺麗な桜が咲いている事にそしてこの綺麗な街並みに、ここに引っ越してきてよかったとしみじみと感じた。桜や街などを見ながら歩いているとあっという間に家に着いた。
「ただいま」
いつもの癖でつい言ってしまった。取り敢えず朝食べた皿を洗って昨日の片付けの続きを初めた。新生活に少し不安があったけどこのままだったなんとか行けそうだ。
そして特に変な事が起きる訳もなく1週間がたった。
「ピピピピッ ピピピピッ」
目覚ましの音で起きた止めようと手を伸ばすとある異変に気づいた手が全く動かないというか体全体が動かないしかし目だけは動かせた部屋を見渡す。するとテーブルのところに髪の長い女性がいたその女性は何かしている様に見えたずっと見ているとこちらを見て来たやばいと体が感じたのか反射的に目をつぶってしまった。
「ペタ、 ペタ」
足音が近づいてくるのが分かる足音がすぐそこまで来ると今度は体を揺さぶられた。段々と揺さぶりは強くなっていくこうなったらと決意し体を起こし女性から離れる。
「あなたは一体何なんですか? け、警察呼びますよ?」
女性は何も応えないふと不動産の言葉を思い出した「え、本当にいいんですか?」その時は早く家を決めたくて安くて大学に近いこの部屋を選んだのだが今思うとここの家賃はこの一帯では珍しく安かった。となると今目の前にいるのは
「幽霊!」
そう言うと女性は顔を上げてこう言った。
「名乗り忘れてました私はここの地縛霊ザクロと言います」
驚いた、女性は意外と冷静だったしかし急にお命頂戴とかされたら嫌なので距離は取っておくそして少し部屋を見渡すするとテーブルの上にご飯があるのに気づいた。
「ご飯が冷めてしまうので早く食べていただけると嬉しいです」
女性はテーブルの前に座りながらそう言った。これは安心して食べていいのかは分からないが食べないのも悪いので女性と見つめ合う形で座り箸を持つ。
「いただきます」
メニューはThe和風といった感じだった。ご飯に味噌汁に焼き鮭に卵焼き、それらはどれもとても美味しかった。最初は怖かったが今となっては恐怖などは一切なくなっていた。何より美味しいと言う度に可愛い笑顔を向けてくれるからだ。そしてあっという間に食べ終わった。
「ご馳走様でした」
「お粗末さまです」
女性は食べ終わったお皿を台所に持っていき洗い始めた。
「えっとザクロさんでしたったけ?」
「はい、ザクロです」
「ザクロさんは地縛霊なんですよね」
「先程も言った通り私は地縛霊です」
「地縛霊はみんなこんな感じなんですか?」
「他の方に会ったことがないので分からないんですが私の知識が正しければ異例ですよ」
ザクロさんが言った通りこれは異例だ朝ごはんを作って片付けもする地縛霊なんて聞いたことがない。
「幽霊が全員怖いわけじゃないですからね」
「ザクロさんが言うと説得力がある」
「名前はわかりませんが大学の時間大丈夫ですか?」
そう言われ時計を見る明らかにやばい時間になっていた。今から急いで着替えればギリギリ間に合うかぐらいの時間だ急いで支度をした。
「ザクロさんそれでは行ってきます。それと名前は立花 みのるですそれでは」
「行ってらっしゃいみのるさん」
そうして僕達の不思議な共同生活が始まった
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます。今回はいつもと違う感じで書いたつもりです。