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俺は思った。なぜ幽霊と友情を育んでいるのだと

 

「あーー、これは凄く悪い気を感じます。これは早くお祓いしないと、大変なことになります」

「お幾ら払ったら、除霊して貰えるんですか?」


「そうですね、この霊は相当な力を使わなければ除霊することは出来ません。なので………5万円程でしょうか」

「わかりました。5万円で悪霊がいなくなるのであれば………どうぞ!! お願いします」


「確かに受け取りました。それでは………いきます!! ハァーーーーーーー


 #$%+$+£+€>%+•€+^>£?!}%+…………ハァッ!! ふぅー これで悪霊がいなくなりました。しかし、他にも霊は居ます。今後のためにこの悪を祓う力があるお札を貼っておくことをオススメします。 2万円と少し高額ですが、今後のを考えると、買っておいた方がいいとおもいます」


「なら、是非 買わせて頂きます!!」

「ありがとうございます」


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 えっと………除霊費で5万、お札2枚で4万、合計9万円の儲け。これだからこの商売は辞められないぜ!!


 先に言っておく、俺には霊を祓う力は愚か、霊すら見えない。いや、小さい頃に正体不明の何かを見た記憶がある。だから霊を祓う力が自分にあると信じてこの仕事をしている。


 除霊の依頼をしてくる人は霊が見えない。見えないものだから 「いなくなりました」と言ったら簡単に信じ込み、再発防止の策として お札の購入を勧めると、二度と怖い目に遭いたくないのでお札も買う。これほど楽に稼げる仕事はないだろ。


 後は依頼のメールが届いていれば今日は最高の日になるのだが………!! ヨシッ!!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ベランダ幽霊の出現により、俺と菜摘の仲はより深まったが、幽霊は未だこの部屋に住み着いているようで、物が動いていたり、物音がするなんて日常茶飯事になってきている。


 まぁ、生活してる上で特に不満もなかったので放置していたのだが、先日 幽霊のせいでまた修羅場が到来したのだ。



 それは幽霊出現事件から、1ヶ月ほどたった秋の中頃。その日は菜摘が俺の部屋に泊まりに来る日で、「寒くなって来た事だし 鍋でも作ろうか」と言う話になり、夜ご飯は鍋にする事にした。


 鍋を作り食べ終える頃には、体からじんわりと汗をかいていた。俺はクーラーをつける程暑くなかったので、ベランダに出て涼む事にしたのだ。いつも通り、部屋とベランダをつなぐカーテンを開け外に出ようとした。すると俺の部屋は一瞬で修羅場へと変貌する



 シャーーーッ


「「!?」」


「ふっ、ふっふ〜ん♪♪………!! きゃーーーッ!! たっくん! 部屋(ベランダ)に入る時はノックしてって言ったでしょ!! たっくんのえっち! 変態! もう部屋(ベランダ)に入れさせないから!!」


 そこには、はっきりとした姿(下着姿)でベランダ幽霊はそこで着替えており、悪態を言い終えるとスッと消えてしまった。早くも娘を持つ父の気持ちがわかった瞬間でもあった。


 菜摘の方を見ると、少し遠い目をしていた。恐らく同じような体験があったのだろうか。そんな事を考えていると、菜摘から思いがけない一言が、


「たっくん、謝らないの?」

「あいつは幽霊だぞ?」


「それでも謝らないのは良くないと思う」

「えっ!? マジで?」


「うん、マジで」


 なんだか俺が悪いみたいなこの雰囲気。なに、もう彼女認定の関係なの?俺らの関係は!!


 そんなちょと微妙な空気が漂うなか、水を差しに表れたのは上下スエットに着替え終わった幽霊だ。


「たっくんたら本当最低〜 下着姿みといて ''ごめん''の一言も言えないなんて信じられない!! ねぇー 彼女さん。彼女さんもそう思わない?」


「うん、私もたっくんが悪いと思う。私も謝らないのって聞いたんだけど……」

「はぁー、これだから男子は「ねぇーー」」


 この後の想像通り、幽霊と彼女が意気投合し、俺の話しで盛り上がった。そんな中俺はというと、自分自身の愚痴やネタ話しで盛り上がれず、ベットでゴロゴロしているといつのまにか寝てしまった。そして、次に目がさめると朝になっていた。


 そして体を起こし辺りを見渡すと、そこには酒瓶片手にお腹を出しながら寝ている菜摘の姿だけがあり、幽霊の姿が見当たらなかった。俺は菜摘の姿をみて思った。このままだと菜摘がダメになると、そう感じた。俺は菜摘と俺自身のために除霊をすることを決意する。




 そして今日。ネットで見つけ 予約した除霊師がお祓いに来るのだ。時間的にはそろそろ来てもおかしくないのだが………


 ピンポーーン


 おっ、噂をすれば。


 インターフォンを確認してみると、お坊さんが被る藁傘が画面に映った。この人が除霊師で間違えないだろう


 除霊師を部屋に招き入れ直ぐ、険しい顔になりながら周囲をキョロキョロと見ていた。除霊師には俺には感じられない何かを感じているのだろうか



「どうですか?ヤバいですか?」

「………よくこんな場所で暮らせてますね。悪い気で溢れかえっています。これは相当ヤバい男性の霊がついています」


 どうやら、俺相当ヤバい幽霊と同居していたらようで、いつ襲われてもおかしくない状態だったらしい……?男性??


「えっ!? 俺が見たのは女性の霊ですよ?」

「間違えました。男性になりたかった、女性の霊です。早速ですが、除霊をはじめます。


 ハァーーーーーーッ!!


  ¥&?!¥”&&¥!,((;;)¥&…………ハァッ!!


 これで除霊は完了しました。これでもう大丈ーー!?」


 しかし言ったそばから、近くにあったリモコンが動き始めた。2人ともリモコンが動くのを見ており、部屋に沈黙が流れ リモコンから視線を外し、ゆっくりと除霊師の方に視線を移す。しかし除霊師の方も俺と同じように、ゆっくりと俺の方に視線を移し、2人は目を合わせながら首を傾げている


「………もう一度祓って見ますね。

 ハァッ!!…………!?」


 箱ティッシュが動き


「……………ハァッ!!」


 テーブルの上のコップが動き


「……………ハァッ!!」


 ラップ現象が発生し


 度重なる謎の現象に、除霊師は言い訳をするようにこう言った。


「なんて、強力な霊なんだ。私の除霊術が通用しない。他の要因があるはずだ。今 悪い気が集まっている場所を探します」


 すると今度は精神統一するかのように目を瞑り始め、数秒後、目をパッと開いた。察するに何かわかったようだ


「見えます。悪い気が溜まっている場所が。ここはお風呂場ですね。そこで、色々な現象が起こるのでわ?」

「いえ、よく霊を見るのはベランダーーー」


「ベランダとお風呂が怪しいですね。まずお風呂から祓って見ましょう」


 この人本当に除霊師なのか?言動に少しおかしな点が見られる。男性と言ったり、お風呂場と言ったり。俺には感じられないからなんとも言えないが


 そんな疑心感を心にしまい、除霊師を風呂場まで案内する。俺の後ろについてきてもらったのだが、様子が急におかしくなった。何もないとこでつまずいたり、小さな悲鳴を上げたり、挙げ句の果てお風呂場に到達する前に叫びながら部屋から飛び出してしまった。除霊が済んでいないのに。


「なんなんだよ、まったく」


 俺は悪態をつきながらも居間の方へ戻るため、振り返ると何もいないはずの背後にいつもの幽霊が目の前にいた。


 俺は誰もいないと思い込んでいたので、突然姿を現した幽霊にびっくりし、尻餅をついてしまった。


「いきなり現れたらびっくりするだろ。で、今度は何のようだ」

「あの人偽物よ、祓う力なんてこれぽっちもない。あのままいったら、多額の除霊費を払わされるはめになってたわよ。私に感謝しなさい」


「そうだったのか……一様例は言っとく、ありがとう。でもなんで偽物って分かたんだよ」

「何年幽霊やってるとおもってるのよ。こっちは貴方がお父さんのキン○マの中にいる時から幽霊やってるの、力のある ないなんて見たらすぐわかるわよ。それで、なんで私を祓おうとしたの」


 今はとりあえずキン○マのくだりはスルーするとして、幽霊は少し機嫌が悪いようだ。俺が勝手に祓おうとしたからだろうか。悪い霊でない事は知っているが………この際だからちゃんと話すか


「それは………アンタが悪い霊ではないのはわかっている。わかっているが、アンタが出てくるたび、微妙な空気になるんだよ。だから………その………」

「居なくなってほしいってこと?」


「そうゆう訳ではないけど……出てくるタイミングをどうにか……」

「もういいわよ」


 そうゆうとスッと消えてしまった。俺は心の中が嫌な気持ちで埋めつくされていた。俺は悪いことしてないのに、こんな感情始めてだ。


 その日の夜、いつもなら普通に聞こえてくるラップ音が全く聞こえず、部屋が静か過ぎて逆に気になった。


 次の日


 菜摘に昨日起きた事を話してみたところ、謝った方がいいんじゃないと言われた。確かにいきなり祓われては幽霊も気分が悪いだろう。


 だから俺は一回話し合う事にした。それからでも払うのは遅くないだろう。


 その日の夜


 俺はベランダのガラス窓をノックする。やはり返答がない。いる事を信じて話すか


「あのだな、居なくなって欲しいと思ってない。これは本当だ。でも、菜摘を巻き込まないでやって欲しい。初めてお前を見たときも菜摘とは色々揉めて大変だったんだよ。だからさぁ、菜摘がいる時も出てきてもいいけど、変なこと言わないでくれないか。それだけ守ってくれれば居てもいいから。じゃあそうゆう事で」


 俺は言いたい事を幽霊に伝えベランダ前を後にした。すると離れてすぐ、返事をするかのようにパンッとラップ音が聞こえた。その音はベランダの方から聞こえ、振り返るとそこには幽霊が立って居た。


「ちゃんと理由があるなら先に言いなさいよ、馬鹿。これだから男は口数が少なくて困るのよ(本当そっくりなんだから)」

「ん?今なんか言った?」


「なにも言ってないわよバーカ! 取り敢えず 大人しくしてればいいんでしょ! わかった わかった」


 一様了承してくれたようで祓うのは止めることにした。これでまたラップ現象がまた起こるのだろう。しかし、変な事を言わないのはとても大きな。この幽霊がゆう事は俺らの仲を荒らすからな。それがなくなるだけでいいか。


 そんな事を考えていると玄関の方から鍵を開ける音が聞こえた。どうやら菜摘が来たようだ。


 菜摘は部屋に入り俺と幽霊を見るなり


「たっくん、仲直りできてよかったね!!」


 と言ってきた。別に喧嘩していたわけではないのだが、それを聞いた幽霊が調子づいた


「え〜、たっくんは私と仲直りしたかったんですか〜 もう、しょうがないなぁ〜 大人の私が全部許して () () ()


「べ、別に許してもらわなくて結構だよ」

「え〜 うっそだー、たっくん 大学で相談しにきたじゃん、も〜 たっくんはツンデレなんだから!!」


「えっ!!そうなんですか!! そんなにたっくんは私と仲直りしたかったんだー 素直に言えばいいのに 。私、そうゆうの素直に謝れないの良くないと思う!!」


「別にお前に関係なーー」


「それ、私も言ったの。でもなかなか治らないんだよねぇー」

「男ってほんとそう、何も言わなくても分かると思ってるのよ。私達を超能力者と勘違いしてるのかしらーー」



 そして今日もほとんど俺と菜摘は話せず、幽霊とガールズトークに花を咲かせ俺は話に混ざれず、早めに眠りにつくのだった。


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 なんなんだ、あの部屋は。なんで上から顔が落ちてきたんだ。なんで半透明の女の人が立ってるんだよ。なんで箱ティシュが動くんだよ。絶対おかしい


 もしや………あれが幽霊?


 いやいやいや、ない そんなのない。たいぶこの仕事で稼がせてもらったが、今までこんなヤバい家は………てか、あの位 体が薄い人何 回か見たことあるぞ。俺実は結構見えてる?そしたら、さらに儲けが………いや待て霊を見える人は、霊に助けを求められるやすくなるって聞くし……そうだ!!今まで体験した話をまとめて、語り手として活躍すればさらなる儲けが期待できる!!


 こうなれば善は急げだ!! 今まで稼いだ金を元手に本を出版して、最終的にはテレビで活躍するスターになってやる!!



 この自称除霊師は転んでもタダでは起きない男であった。



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