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俺は思った。世の中に絶対なんて無のだと。


「3.82度……風邪ね。今日は学校休みなさい、お母さんが連絡しとくから」

「お願いします」


 俺、工藤 蓮はどうやら風邪ひいてしまったらしい。


 今は秋、季節の変わり目だからだろう。それじゃなくてもここ数年、気温が下がったと思ったら急に上がったりと、地球がおかしくなっている。その気温変化に体が対応出来ず風邪をこじらせたのかもしれない。


「蓮、学校には連絡しといたから。なんかあったら連絡ちょうだい。ここに飲み物とか置いとくから、小まめに水分摂るのよ。それとお粥も作っておくから体調が良くなったら食べなさい。それじゃあ会社行ってきます」

「わかった。いってらっしゃい」


 今日はおとなしく寝てよう。風邪が長引いても面倒くさいし、勉強が遅れてもテスト期間に入ったら面倒くさいし、結局 風邪をひいてもいい事はないのだ


「あっ、そう言えば…」


 母が部屋から出ようとした時、何か言い忘れてたようで、''ひょっ''と顔だけ戻してきた


「いい忘れたけど、家に1人だから−


『どうせ、1人だから「気をつけて」とか「ちゃんと寝てるのよ」とかだろう』


 −って、全裸で家の中を徘徊しないでね!」

「こんな状態で、しねぇーよ!!」


 流石うちの母。予想の斜め上をいく謎の指摘。


 そして何もなかったかの様に「それじゃぁーね」といい部屋から出ていった。


 全く、うちの母なんなんだろう。昔からそうだ、重要な事は指摘しないクセに、どうでもいい事はしっかり指摘してくる。


 あの時もそうだ。


俺の部屋からちょとえっちぃ〜本が見つかったしまった時の母からの置き手紙に


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 蓮へ


 思春期だからこういう本を読む事については特に否定しません。しかしお父さんがこれを見て『お母さん、これ……試してみないか?ハァハァ』なんて言われたら困ります。なので、せめてSMプレイの様なアブノーマルなプレイではなく、ローションプレイくらいにしてくれたらお母さん的には助かります。なので今度はノーマルな本にして下さい。


 お母さんより


 PS.ちなみにお母さんはS派です


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 俺はこの置き手紙を読んだ時、バレた事への衝撃よりも、母の謎の要望について衝撃を受けた記憶がある。


 そして、この置き手紙を読んだあの頃の俺はまだ若かった。俺は興味本意でコスプレ物の本を借りて、敢えて見つかりやすい場所に隠してみた


 すると数日経ったある日



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 蓮へ


 昨日、お父さんに「これ着てみてよ」なんて言われて、ドン・○ホーテの袋を渡され開けてみると、制服のコスプレ衣装が入ってました。お母さんは、『これくらいなら』と思い、ノーパン ノーブラで制服を着てお父さんの前に立ちました。するとお父さんは「なんか……萎えた……」と言って、寝てしまいました。流石のお母さんもカチンときたので、お父さんの使ってる発毛剤の中を捨て、代わりに水を入れておきました。


 そして今日、蓮の部屋の掃除をしていると、コスプレ物の本が分かりやすい場所に隠してあるのを見つけました。お母さんは、タイミングが合い過ぎている事から、この本が原因だと思っています。内容には気をつけてと言ったの。


 なのでお母さんはイライラしています。という訳で、蓮のお小遣い4ヶ月分をカットします。正直に謝ってくれた4ヶ月のところ、半分の2ヶ月にしてあげます。期限は今日まで。居間で待ってます。


 お母さんより


 PS.スク水はどう思いますか?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は ''PS'' が気になったが無視し、手紙を机に叩きつけ、急いで居間へいき、可憐な土下座を披露し、なんとかその場を収めてもらったのは、言うまでもない。


 そして今では()()に……みつ…………か……ら……ない……z z z z


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「おはようございます」

「小早川さん、おはよー」


 8時10分


 私はいつものように学校に着き、席に座る。しかしいつもと違う事が1つ、隣の席の蓮くんがいない事。いつもなら座っているのに。


 お手洗いに行ってるのかと思ったが、カバン自体が見当たらない。


『彼に聞くか』


「ねぇ、そこの自称自宅警備員、聞きたいことがあるのだけど」

「だから俺は自称ではなく、ちゃんとした自宅警ーー!?」


 小早川が声をかけたのは、過去に小早川から酷い目に遭わされた、久喜 二貴太だ。


 そんな久喜は小早川のことが相当 怖いらしく、まともに目も合わせず、ずっとおどおどしてる。


「なっ、なんでしょうか」

「蓮くんは今日休みなの?」


「わっ、わからないです、はい」

「そっ」


 久喜は緊張から解放され「ふぅ〜」安堵の溜息を吐いている。


 小早川はそんな久喜を後にし、次に相原のところへ足を運んだ。


「相原さん、蓮くんは今日は休みなのですか?教室に見当たらないのですが」

「なんか休みみたいだよ。3.82度だって、結構高めだよなー」


「ふーん、ならしょうがないですね」


 蓮くんが今日来ないなら、私は1日中暇です。何を生きがいに1日を過ごせばいいのでしょうか


 小早川が肩を落とし 暗い顔をしていると、相原が小声で話しかけてきた。


「小早川さんや、そう落ち込むでない。この情報を聞いて元気を出しなされ」

「ほほ〜ん、興味がありますね」


 小早川の顔が少し明るくなった



 ちなみに相原はクラス内の男子の中で2番目に小早川と仲がいい。それはクラスで大体一緒にいる工藤と津々井が、相原と仲が良いという事もあるが、それよりも工藤の裏情報を共有し合っている事が1番の要因だと思われる



「良いだろう教えてあげよう。これはとある筋から極秘に入手した情報なのだが……ある日、工藤がトイレで用を足し終え 手を洗っている時、ハンカチを忘れている事に気づいた。工藤は少しの間、この濡れた手をどうしようか考えていたが最終的にズボンで拭いたらしい。そしたら偶々(たまたま)手を拭いた場所がタ○タ○の近くで、トイレから出た工藤を目にした人が『あいつのズボンにしょんべん飛び散ってるぜ』と言われた事があるとかないとか………」


「ふふ、今回も面白いですね。いあ情報ありがどうございます!! 今日はこのネタでどう弄るかを考えて、乗り切ります」



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 ………うぅーー、今何時だ………14過ぎか。朝より体調がいい気がする。熱 計ってみよう


 ピッピーー ピッピーー


 3.77度朝よりだいぶ下がっている。この調子だと明日は学校に行けそうだ。お腹も空いた事だしお粥を食べよ。



 お粥を食べ終えた工藤は風邪薬と沢山の水を飲んで再び眠りについた


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 5時間目、小早川はつまらなそうに授業を受けている。それはとてもあからさまで、机に肘をおき、頬杖をついている。視線は黒板へは向かっておらず、ぼーーと外を眺めている


『今日はとても時間の流れが遅い気がします。弄る相手がいないからなぁ。相原さんから聞いたネタも、4時間目には最高の弄りかを思いついてしまったし。弄る相手がいないだけで、こんなにも授業がつまらなくなってしまうのかぁー でも、この授業が終われば下校出来る。蓮くんの家に行って、弄りまくろう。でも……家知らないな、どうしよう』


「えー、切りが良いので今日の授業はここまでとします。日直さん、号令お願いします」

「起立、ありがとうございました」


「「「「ありがとうございました」」」」


 早めに授業終わり、日直が号令をし終えた後、クラスメートが教室から出ていくなか、相原が小野寺先生からA4サイズほどの封筒を受け取るのが見える


「相原さん、その封筒はなんですか?」

「あぁ、これ。これは工藤に渡す封筒だよ。俺、アイツと仲いいし家も知ってるから、先生から渡してくれって頼まれたんだよ」


「ふーん、そうなんですか…………!!」


 なという絶好のタイミング!!相原さんについて行けば、蓮くんの家に辿りつけます!!これは神様が蓮くんの家に行けとゆう使命ですね!


「あの……相原さん。一緒に蓮くんの家までついて行っていいですか?」

「別にいいけど、念のため言っとくけど、今日の工藤は病人だからな。あんまり弄りすぎるなよ」


「それはもちろんですよ!!」


 小早川の笑顔はとても輝いている。そんな小早川の放つ光に、街灯に寄せられた虫のように寄って来たのが津々井 ヒカリだ。


「優衣っち、どうしたの?そんなにいい顔して。なんかいい事あったの?」

「いや〜、それがですねーーー」


「なるほど。2人で蓮ちゃんちにプリントを届けに行くと……それなら私も行きたい!!」

「いいけど、暴れ過ぎんなよ。アイツは病人なんだから」


「もちのろんだよ!!」


『あやしい』相原は内心そう思っているが、お見舞いに行くなら人数が多い方が工藤は喜ぶだろうと思い、2人の同行を許可した


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 ピンーポーン


「はーい」


 インターフォンを押して数秒後、女の子の声が聞こえてきた


「工藤妹、工藤に今日のプリント渡しに来た」

「わかったー、今行く」


 まさか蓮くんに妹がいたとは……初耳です


 そしてドアを開けて出て来たのはショートボブの女の子。美人というより可愛い系の部類に入る


「相原くん、津々井さん久しぶ………えっ、誰その美人?もしかしてお兄ちゃんの彼女さん?そこんとこどうなの!!」


 流石思春期真っ盛りの中学2年生。こう言った話しに興味津々だ。


「工藤妹よ、残念ながらそう言った関係ではなくて、どちらかと言うと飼い主と犬みたいな関係だな」

「えっ!!なになに、お兄ちゃんはSなの?意外だなぁ〜」


「チッ チッ チッ、それが違うんだなぁー。工藤が犬で、こちらの小早川 優衣さんが飼い主的な感じ」

「ほほーん、お兄ちゃんはMなのね。今夜は家族会議だね。あっ、申し遅れました。私の名前は工藤 千紗子(ちさこ)です。よろしくお願いします!!」


「こちらこそよろしくお願いします、千紗子さん」



 階段を上がり直ぐ右の部屋。そこが蓮の部屋。


 部屋の前に着くと、相原がドアの前に立ち入れないように仁王立ちで構えている


「どうしたんですか?早く蓮くんの部屋に入りましょうよ」

「女子にはわからないと思うが、寝てる間に勝手に暴れるやつがいるんだよ。だから今から確認してくる」


「朝○ちだね!!」

「………津々井さぁ、一様 高校からの付き合いだから俺はもう気にしないけど、そうゆう事はあまり言うなよ。せっかくオブラートに包んだのに」


「私は気にしないよ?ねぇ、優衣っち」

「えぇ、仮に蓮くんが○立ちしてても気にしませんよ?」


女子2人は「なに、意味のわからないこと言ってるの?」ってゆう顔をしている。バンバン下ネタも言っちゃて


「おぃぃぃぃ!! そこの女子2人!! お前らには羞恥心がないのか!! 気を使ってるこっちがバカみたいじゃないか!!」


「別にみられて減るもんじゃないし「ねぇー」」

「確かに2人の言いたい事もわかる。俺も女子の胸を見ていてその言い訳を使った事がる。しかし、俺は自分のチ○コをガン見された事がないから言えた事であって、今はそんな事は言えないんだよ」


 すると急に相原は遠い目をし語り始めた


「男にはなぁ、朝方になると勝手に暴れるやつがいて、それは無自覚で暴れだすんだよ。


そんなある朝、俺は珍しく寝坊し母が起こしに来たんだよ。


『孝介!! いつまで寝てんの! 遅刻するーー!?』


 俺は眼鏡をかけ時計を見ると起床時間を大幅にオーバーしてる事に気がついた。俺は自分の下半身がどんな状態かも知らずに無我夢中でベットから飛び降り降りた。すると母が俺の下半身を見ながら固まってんだよ。俺も母と同じ視線に合わせると、そこには俺より先起きてる奴が目に入ったわけだ。俺が固まり、部屋が静まり返っていると母が苦笑いしつつ


『立派に…………なったのね』


 と言い残し、部屋から出ていった。俺はその時初めて女子の気持ちに気付いたわけだ」


「いい話だね」

「………おい津々井よ、今の話のどこに感動要素がある」


「息子の成長知る事が出来た瞬間。これは感動するでしょ」

「まじかよ」


 小早川の方にも目をやると、薄っすらと涙を浮かべている。俺にとっては、ただの恥ずかしい話なのに


「そういった部分から赤ちゃんの時からあんなに成長したのだと知れば、色々思い出すでしょう。あんな息子やこんな息子」

「それ完全に息子の息子の思い出じゃんか。はぁー、取り敢えず息子の確認してくるから少し待ってろ」


 扉を少し開け、扉との隙間からそっと覗く


 工藤の息子が意図せず起きていない事を確認すると、女子2人にオーケーサインを出し工藤を起こさないようにそーっとドアを開け、3人は部屋に入った


 部屋は相変わらず殺風景で、机 本棚 ベットにテレビとゲーム機のみでポスターなどは一切ない。


「なにも無い部屋ですね。どこにエロ本隠す場所があるのやら」

「そう思うでしょ!! でも見つから無いんだよ、何処にも!!私も数回しか見つけれてないんだよ」


「そこのガールズ静かに!! 工藤が起きちゃうだろが」


 そんな忠告に耳を傾けてず、話はどんどん盛り上がっていき……


「じゃーさぁ、どっちが先に蓮ちゃんのエロ本を見つける勝負しょうよ 優衣っち!! 」

「私に勝負を挑もうと?父のコレクションである幾多もの秘蔵エロ本を探し出し、それを母に渡し父を地獄へと送ったこの私に?あなたに勝ち目などありませんよ」


「そんなの関係ないね!! いざ 勝負!!」



「さぁ、始まりました、女の戦い。実況は私相原、解説を工藤 千紗子でお送りします」


 相原と いつのまにか現れた工藤妹は、ノリノリで実況を始めた


「なお、この勝負はポイント制でポイントが多い方が勝者とさせていただきます。配点に関してはグラビア本が1点、エロ本が3点、A○が5点という配点でしております。なお無○正なら10点とさせていだだきます!!それでは参りましょう!! 制限時間15分 レディーーゴウ!!」


 カーーーン


 甲高い鐘の音と共に戦いの火蓋が開けられた



  「おっと!! 開始早々 動きを見せたのは小早川選手です。小早川選手は本を半分ほど出しては仕舞うを繰り返しています。あれは本の中に紛れ込んでいるエロ本を探しているのでしょうか?」


「いや、あれは本に紛れてるエロ本を隠しているのではなく、表紙の中が本当にエロ本かどうかを確認しているのだと思います。あの技をハイド ブック(覆い隠された本)といい、本を引き出す時、表紙だけを取り出し表紙の中がエロ本かどうかを確認しています。あの技には、判断力 経験値が必要不可欠です。だてに親を地獄に送ってきただけはあります」


「なるほど、だから本棚を探す際、最初に一冊だけ抜いたのですね。本を抜き取りやすく、かつ中身を表紙を外しやすくするために、流石小早川さんです。一方 津々井選手はというと……部屋の真ん中で目を瞑り立っています。何をしているのでしょうか。小早川選手との力の差に唖然としているのでしょうか。おっと!!言ったつかの間、急に動き始めました。一体どういうことでしょう!!」


「小早川選手は兄の部屋に来るたびエロ本を探しています。なので目を瞑り思い出していたのでしょう。過去 どこで見つけた、兄ならどこに隠すかなどを。こういった事を考えていたと思います。この奥義をリスパンサブル (つかさどりし)メモリー(記憶)と言いい、兄の部屋でエロ本を探し続けた津々井選手だからできる技ですね」


「なるほど。2人にはそれぞれの経験がありますから、どちらが勝つかわかりませんね」


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 10分経過

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 ない なぁ〜 何処にも見当たらない。机の引き出しの鍵さえ見つけられれば私の勝ちなのに………机の裏も机の収納棚も調べたのに鍵だけが見つからない


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 同刻

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 前回はクローゼットの中の収納箱の裏。更に前は絨毯の下。念のため同じ場所を探して見たけどやっぱりないかー まぁ、前回も見つけた後 同じ場所を探しても見つからなかったから、ないのはわかっていたけど、どうしたものか……


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 同刻

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「それぞれ、手が止まりはじめていますね。エロ本探しのプロ 小早川選手と、この部屋のエロ本探し関して右に出るものはいない津々井選手。この2人が探せないと いう事は、実はこの部屋 自体に、エロ本は存在していないのでしょうか!!」


「いや、その可能性は限りなくゼロに近いですね。先日 兄の部屋を訪れた時、ノックをせずに部屋に入ったのですが その時……


『お兄ちゃん、シャー芯 ちょーだい』


 そう言って部屋に入ったら、もの凄い勢いで布団を被りました。アレは完全にエロ本見ていました。その証拠に、部屋から出る際


『千紗子……兄にもプライベートとゆうものがあるから、部屋に入る時はノックぐらいしような』


 って言いました。これは完全に持ってます。この部屋に実在します!!自信をもって言いきります!!」


「なるほど、実の妹が言うのだから確実にこの部屋に存在していますね!! さて、残り5分、2人はエロ本を見つける事がてきるのでしょうか!!」


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 うーん、流石に15分じゃ短いなぁ。優衣っちは鍵を探すのに夢中になってるから、なんの問題ない。経験上引き出しには何も入っていない。その証拠に前回 鍵を見つけた場所と今回見つけた鍵の位置は全く変わっていない。この鍵の存在自体が引き出しの中が空な事を証明している。


 残り時間あと5分 視野を広げろ。探してない場所を探しだせ!!…………!?…………流石 蓮ちゃんだ!!


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 残り5分。このまま鍵を探し続けてていいのか。そもそもこの引き出しに本当に入っているのか。だとしたら、あからさま過ぎないか。わざわざ鍵までかけて。ここに入ってますって言っているようなものじゃないか。別の場所を………いや、ダメだ。津々井さんもまだ見つけられていない。まだ、大丈夫だ。鍵を探しながらエロ本を探そう。


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 場所はわかった。後はタイミング。隠し場所には優衣っちの方が近い。故に先に見つかれば私に勝ち目はない。動くのを待つ?いや、時間がない。仮に動くのを待っている間に見つかれば、待ち時間が無駄になる。どうすれば…………! これを使えば!!



 津々井は持っていた鍵を小早川のいる位置から1番遠いい場所へ投げた。しかし小早川は鍵が投げられた事に全く気づいていない。裏を返せば、それほど集中しているとゆう事でもある。


 しかし、そんな小早川でもすぐに気づく事になる。津々井が投げた鍵が床に落ちる時に鳴る、金属の音に。


 小早川は瞬時に音のなる方へ顔を向けるとそこには鍵が目に入る


『なぜ、あんなとこに? さっきまでなかったのに。おかしい』


 頭ではそんな事を考えていても、''鍵が見つかった''とゆう事で頭がいっぱいな小早川は反射的に鍵のある方へ向かった。おかしいと思っていたのに………


 その予感は的中した。津々井はなぜか鍵の方へ向かわなず、小早川のいた反対側へ向かい、入れ違うように2人はすれ違った。


 津々井が若干の笑みを浮かべながら。


 小早川はこの時悟ってしまった。


『私は、罠にかかったしまった』のだと


 そんな小早川をよそに、本棚の前にある 机の椅子を、本棚の前までもってゆき 津々井は椅子の上に立った。


 そして、本棚の上へと手を伸ばし


「………やっぱり」


 本棚の上には天井を向くように斜めに設置された鏡が存在していた。鏡が天井を映している事により本棚の上には何も無いように見えていたのだ。そして鏡の奥には数冊のエロ本が発見された。


「………そんな……」

「この勝負、津々井選手の勝利です!!おめでとうございます!!」


「はぁ……流石 津々井さんです。私の完敗ですね。あんな所に隠してあっただなんて、私は見破る事が出来ませんでした。でも、次は絶対に負けません!!」

「私も次も負けないよ!!


 津々井と小早川は互い熱い握手を交わしている


「宿敵と書いてライバルと読む。そんな関係になって欲しいものです。さてさて お後がよろしいようなので、これにて閉会とさせて頂きます。実況はわたくし相原と」

「解説の千紗子で」


「「お送りしましたーー!!」」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あれ………今何時だ?20時か……だいぶ寝たな……寝すぎて頭が痛い。この時間ならみんな帰ってきてるだろうし、下に降りてみよ


 下に行ってみると、やはり母は仕事から帰宅しており、台所で洗い物をしている最中だった。


「母さん、熱治ったぽい」

「……………そう」


 なんな返事が素っ気ない。仕事で疲れてるのかな?


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「なあ、千紗子 母さんどうしたんだよ。なんか疲れてるぽいんだけど」

「……………さぁ」


 千紗子まで素っ気ない。俺なんかしたっけ?


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「父さん、母さんと千紗子の態度が冷たいんだけど、俺が寝てる間になんかあった?」

「うーん………まぁ、男だからしょうがない。父さんは蓮の味方だからな!」


 ?? 言っている意味が全く理解できない。味方?父さんは何を言っているんだ。まあ どうせ、明日になったらいつも通りになっているだろう。さっさと寝て明日に備えよう。風呂は明日の朝にでも入れーーー!?


 部屋に入り驚愕する。何故なら、机の上に自分のマイ コレクションが商品のように綺麗に並べられているからだ。見つからないように、わざわざ鏡まで買ってきたとゆうのに。


 よくよく見ると机の上置き手紙が置いていた



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 訳あって工藤のコレクションで勝負する事になった。ちなみに勝ったのは津々井。それにしても、よくあんな隠し方思いついたな!!俺も真似するわ。 あっ、忘れてたけど、プリント置いたからみとけよ

 相原より


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 具合はどうですか?ちなみに私は、蓮ちゃんのエロ本を久々に見つける事が出来て、テンション上がってます。明日は学校に来れるといいですね

 津々井より


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 今日は弄る相手がいなくてとても退屈でした。なので明日はちゃんと来てください。もし来なかったら…………バラします

  小早川より


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 持っていたのは知っていたけど、実際 実物を見るとやっぱり気持ち悪いです。なので、しばらく話しかけないで下さい

  千紗子より


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 お父さんは良いと思うぞ!!

  お父さんより


 ps.大きいのが多すぎてお腹いっぱいなので、小な方もあったら嬉しいです


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 しばらく見つからないと感心していたら、机の上に積み上がってるエロ本を見つけました。事情はどうあれ、とても悲しいです。しかもお父さんも既に見ているみたいだし……この歳であんな事は色々辛いのに………取り敢えず、お小遣い2ヶ月カットします

 お母さんより


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 絶対見つからないと思ったのに……………エロ本買うの………もうやめよう




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