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白い悪魔

作者: 萱昇 潜
掲載日:2017/01/08

初投稿です。

イマイチ使い勝手が分かりません。

もう少し二人の視点を書きたかったのですが・・・。

冷たい風が吹いた。その風の冷たさに、鈴木晴彦は目を覚ました。


風の冷たさに比例して、呼吸が不規則なものになる。

冷たい空気が、喉に直接入り込むから、喉を刺激するのだ。


渇いた咳を繰り返して、鈴木は喋ろうと口を開くも、声は冷たい空気に邪魔をされ、咳へと変わる。

「はる?」

名を呼ばれ、視線をさ迷わせた。

「はる。眠れない?寒い?」

本田昌一が不安げに顔を覗かせた。喋る度に煙草を蒸しているかのような白い息が上空で小躍りをしながら、消えていった。

「別に平気だ」

咳を堪えて薄い毛布を少しばかりの暖を求めて巻き付けた。

「辛そうだった」

小躍りする吐息は、二人を嘲笑うかのように空中に消えた。

「辛くない。それより早く寝ないと疲れ取れないぞ。騒いだらまた連帯責任になる」

喋るうちに、また咳が出た。

「明日は休めよ」

小躍りする悪魔は、凍てつく寒さを知らない。

「なぁ、本田」

小躍りする悪魔は、隣に住まう死の恐怖を知らない。悪魔は、本田の周りで小躍りを繰り返す。

(ツメタカロウ、ツメタカロウ)

「うん?」

「喋らないでくれないか?」

白い悪魔は、悪魔を口から出す度に

「お前の口から・・・悪魔が出てくるんだ。喋るなよ。いつかお前の命まで」

白い悪魔は、小躍りしながら、気まぐれに、中に舞う。

「何言ってるんだよ」

「いつかお前の命まで、奪いそうで怖い」

「大丈夫だから。俺の毛布やるから」

白い悪魔は、暁の色を知らないし、暁を願うことも無ければ、祖国の土と暖かさの記憶さえ、白く、白く、真っ白に、気まぐれな小躍りをしながら、消し去るのだ。

「はるなんて、呼ぶなよ。喋るなよ」

(ツメタカロウ、ツメタカロウ)

白い悪魔は春を、夏を、秋を、暁を、温もりを、故郷を白く、白く、真っ白にーー

「俺もお前も「はる」には程遠い」

「はる?」

「寒い」


涙さえ、流すことが叶わない。

寒さが全てを、奪い去るーー


終わりなど、もう何処にも見えないのに、悪魔は小躍りを繰り返すのに

「ダモイ」

帰ることを、どうしようもなく、祈ってしまう。


小躍りしているのは、悪魔と、希望。

だから、

「喋るなよ、消えちまうだろう?」


消えないでと、帰りたいのだとーー

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