お月さま
昼間よりも明るいイルミネーションが僕の身体を光で包みこむ。
親子が楽しく会話をし、カップル達は無言で見つめ合う。
なんと楽しい時に孤独な想いをしているのか?
すり減ったたばこを何度も吸っては、寂しい想いと一緒に空中へ吹きかける。
普段会社帰りで歩いているこの道も
この時期は駅まで遠く感じられる。
長年レトロでやっていた雑貨屋も
最近ではクリスマス飾りをし始め、自分だけが取り残されたと少しがっかりする。
最寄りの駅につき、自宅まであぜ道をまっすぐ歩く。
周りに街灯はなく静かだが、まん丸のお月さまがとても明るい。
どのイルミネーションよりも輝いて見える。
僕はすり減ったたばこを何度も吸いながら、お月さまを眺めた。
その心は幸せでいっぱいだ。




