任務終了
前回のあらすじぃぃぃい!
『侵入成功!』
『影蛇御願いっ!』
『資料発見!』
『他にも何かある?』
『地下へ』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
地下一階には中世ヨーロッパよ様な太陽の光が通らない監獄といったイメージがある場所だった。地下への入り口は一階の広間にある大きな本棚が隠し扉が隠し扉となっていた。その広間には数人の者達がいたがクロが遠くから放った[眠魔法]によって生み出した弓で全員眠らせている。
その地下では薄汚い通路が入り口から延びておりその左右からは扉がある。クロは近くにあった扉に耳を当てるとその扉の中から音と声が聴こえてきた。
≪あ゛あ゛~、いいなぁ~この奴隷≫
≪最初は男だって驚いたが、女みたいにいい声で鳴きやがる≫
≪ケツの締まりもいい。そこらの女よりかイイなぁ~≫
≪穴は一つしかねえけどな!おら、ダンジョンで使えねぇんなら、せめて俺達の身体を発散させてくれや≫
≪ほらほら、もっと腰を動かせ!≫
≪アッ……ガッ……グフゥッ……だれ……か……たす……け……ングゥッ!?≫
≪いいねぇ~。その死んだ目、そそるぅ~≫
≪おい、見張りはいいのかよ?≫
≪ハッ、必要ねーよ。魔具でここには入ってこれねえように結界をはってるんだからな!≫
どうやら中で数人の男が存在がいる様だがその相手をしている者はかなり危険な状態だとクロは判断する。
「主……」
「『影蛇』、この中で不埒な事をしている奴等を拘束しろ」
クリムが何か行動を起こそうとする前にクロは『影蛇』を呼び出すとその中にいた者達がいる扉の隙間へと入り込んでいく。
≪な、なんだ!?この蛇は!?≫
≪へっ、こんなひ弱な蛇なんか踏みつけて……なに!?≫
≪や、やべぇ!この数は!?≫
≪ぎ、ぎゃぁぁぁぁ!?!?噛まれたぁぁぁ!!!≫
≪か、身体が……≫
≪ぐっ、首が締まるぅ……≫
大体無力化したと確認するとクリムがその扉を足で壊した。その扉は本来なら上等な金属でできており、普通なら足では壊れない筈なのだ。しかし、クリムが蹴りを入れると粘土で潰れた様になってしまっていた。
「だ、誰だ!?」
「ぐぅ、動かねぇ」
「この蛇はお前等のだなっ!?」
「離せっ!」
「『影蛇』、コイツら壁際に張り付けてくれ」
クロの言葉通りに盗賊の様な者達を壁際に張り付けると『影蛇』達は締め付ける力が大きくなる。
 
「……酷いな」
クロはそう言うと広い部屋の奥に力無く俯せに倒れ込んでいた者に近づいていく。その者は10代前半の華奢で猫耳と尻尾がある獣人の少年であった。その獣人の少年を抱えると焦点の合っていない虚ろな目でクロを見ている。身体は一糸纏わぬ姿であったが、身体中白い液で汚されていた。
「だ……れ……?」
「安心しろ、助けにきた。[浄化]」
 
クロは少年に[浄化]で身体の汚れを無くした後、優しく抱き締める。その抱き締められた少年は最初は何が何だがわからなかった様だが暫くして理解したのかボロボロと涙を溢していく。
「もう……何もされない?」
「あぁ、俺が守ってやる。だから、少し休んでおけ」
 
涙を流しながらも少年は頷くと静かに目を閉じていく。よっぽど身体的にも精神的にも疲労があったのだろう。クロの腕の中で安心しきったかの様にスヤスヤと眠ってしまった。クロは[空間庫]からローブを出すとその裸の少年を着せるとそのまま抱き抱えるとクリムにアイコンタクトで指示を出した。
クリムはそのクロの指示を理解すると壁に『影蛇』によって縛り付けられていた男共に目を向ける。
「お前達は一体何者だ?ここのブーブル侯爵の騎士が?身内か?それとも……盗賊か?」
「だ、誰が教えるか!」
「こ、こんな事して只で済むと思うなよっ!」
「ほぅ……なら、貴様等を纏めてここの王国の騎士団に差し出しても問題無い、ということだな?」
「「「……」」」
どうやら彼等は盗賊団のメンバーかその類いの様だ。明らかに男共全員動揺している。目や表情を見ていればよくわかる。
「クリム、ここはいい。他の部屋に誰が拘束されてるかもしれないから見てきてくれ」
「御意」
クリムは部屋から出るとクロは少年を抱えたまま男共の前に立つ。
「くそっ、おい、女、その奴隷どうする気だ?」
「連れて帰る。何か?」
「へっ、それは俺の奴隷だぜ?俺から離れればその首に付いた首輪が発動して苦痛を与えるんだ。最悪、死ぬかもなぁ?」
男の言う通り少年の首には黒い首輪がつけられていた。その首輪は『奴隷の首輪』と言われる魔具だ。解除は奴隷商人が持つ魔具でないと外れる事はできないのだが……。
「……これか」
パキッ
「「「何ッ!?」」」
男共が驚くのも無理はない。クロは少年の首に付けられていた『奴隷の首輪』を触った瞬間に木が折れた様に壊れて床に落ちていったのだから。首輪が外されてすっきりしたのか眠っている少年の表情は少し穏やかになった。
「さて、『地之拘束』」
「なっ!?」
「か、壁が……」
「床もだっ!」
「や、やめてくれっ!」
「殺さないでくれっ!」
男共が『影蛇』に拘束されている上に壁や床の土が変形して触手の様に幾つも蠢くと、そのまま蛇に拘束される様に絡めてしまう。完全に男共の身動きができない状態になるとその地の触手は動きを止めてそのまま固まってしまう。男共が[強化]や魔法を使うが魚籠ともしない。
事が終えたかの様にクロは少年を抱き抱えたまま部屋の外へと向かう。
「お、おい!何処に行く!」
「くっ、全然出られねぇ」
「ま、まさか一生このままか!?」
「頼む!助けてくれ!」
ギャーギャー喚く男共を無視してクロはその部屋を後にした。
部屋を出るとクリムがやってきたのだが、どうやら他の部屋には誰もいなかった様だ。
「主よ。やはり、おかしくはないか?」
「あぁ、この屋敷にブーブル侯爵本人だけでなく親族達もいない。気になるな……」
気になりはするものの、『影蛇』からはそれ以上からの報告はないのだ。これ以上探索するのは無意味と判断したクロはこの屋敷から出ることにする。
無事に屋敷、庭からも脱出すると目立たぬ様にクロ達はこの街から出ようとする。猫の獣人である少年はまだ眠ったままなのでクロが抱き抱えたままだ。
しかし、検問に近づくとそこでは何人もの門番らしき人物がそこにいたのだ。
「あ、彼奴だ!」
「やっと見つけたぞ!」
「やはりここに来ると思ってたぜ!」
クロ達を見かけた瞬間に殺気を放ちながら近寄ってきた。しかし、ここで色々とゴタゴタするのは面倒臭いと感じたクロだったが、クリムは瞬時に門番達を手刀で気絶させた。
「ありがとう、クリム。さ、冒険者ギルドに向かおう」
クリムは頷くと先頭を走りながら約二時間、少年を起こさないように何とか無事に冒険者ギルドへと到着したのだった。
 
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