神獣クゥ ちゃん
前回のあらすじぃぃぃい!
『やっぱり勇者は馬鹿だった』
『レッド助けに行く!』
『サーバルキャットみたいに変身!?』
『殲滅!』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
『勇者』達を連れて戻ってくると天城達以外の『勇者』、小早川と河波の二人を含めた騎士達数名がナルアラマの町で待っていたようだ。
何故朝比奈が天城達と行動していたのかといえば、どうやら暴走する天城達を連れ戻そうと説得をしていたが上手くいかなかったらしい。そのまま放っておけばいいと思っていたが、優しい朝比奈なので仕方がなくついていったのだろう。
天城達は小早川に叱られてテンションがただ下がりになっている。しかし、彼等が身勝手な行動でエルディンテ王や騎士達にも迷惑をかけているのだ。怒られて少しはまともな行動をしてほしい。
「クゥちゃん、ありがとう。助かったよ」
「クゥゥゥ」
「朝比奈君?そのモンスター?は……」
朝比奈に『クゥ』と呼ばれてどうでもいいやと思っていたレッドだったが、天城達に説教を終えた小早川がやってくる。
やはり気になるのは癖っ毛のある金色のサーバルキャットだろう。
「この子は……クゥちゃんです!」
「クゥゥゥ!」
とりあえず、あいさつみたいに頭を下げてみた。かなり朝比奈から気に入られているのか凄くモフモフされながらではあったが。
「クゥ……ちゃん?モンスター……なのかな。敵意も無いらしいし……天城君達を救ってもらったみたいだから悪い子ではなさそうね。ねぇクゥちゃん……でいいかな?一応『鑑定』させてもらってもいい?」
レベルが上がったのかどうかはわからないが、小早川は『魔眼』である[鑑定眼]を使用できる様だ。[分析]と[鑑定眼]は同じ様に見えるが[分析]は物質系、[鑑定眼]は生物系に対してのみしか情報を読み取る事が出来ないようだ。
何か不審がられたりするのは面倒なのでレッドは[偽造]をかけてから了承した様に鳴いてみる。
「いいってことよね。じゃあ、失礼して……」
小早川の両目が吸い込まれる様に紫色に変化していく。
そして読み取った結果はこうであった。
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名前 クゥ
種族 神獣
ランク -----
性別 雄
職業 閃光獣・暗黒獣・火炎獣・雷電獣
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「なっ!?神獣っ!?」
「えっ!?」
「クゥっ!?(はっ!?)」
どうやら[偽造]したものと小早川が視たものでは全く違うようだ。
レッドがした[偽造]はステータスに分厚い幕を下げた様にゲームがバグった様にしか見えないだろうと思っていた。しかし、ステータスを隠しても『クゥ』としてのステータスが表示されたらしい。今の『クゥ』の存在が小早川が[鑑定眼]で視たステータスなのだろう。
「し、神獣……クゥちゃん凄いっ!」
「く、クゥゥ?(何がどうなってる?)」
『クゥ』が神獣だとわかるとナルアラマの町長らしき人がやってきた。
「おぉ……その神々しき姿……神獣様。この度はあの巨大モンスター二体を討伐していただきありがとうございました。『勇者』様達も無事で良かったです」
町長は中年の男性ではあったが、心優しき人の様だ。あまり権力等を暴力の様に振るうわけでもない貧欲そうな顔をしている。
「く、クルゥ!(あ、そうだ!)」
ふと、レッドは依頼に来たことを思い出した。
依頼に成功するとその依頼者本人にサインをもらわなくてはならないのだ。そのサインがあって提出すれば報酬はもらえるのだから忘れてはならない。
レッドは元の姿に戻る訳にはいかず、[空間庫]から依頼書を出すとそれをくわえて町長に持っていった。
「……神獣様?これは……ディーサルヌにある冒険者の依頼書……まさか、神獣様は……」
「クゥ、クゥ!(はよ、サイン!)」
「アッハッハッハ、わかりましたよ神獣様。まさか冒険者だったのですか……世の中広いですねぇ」
そう言いながらも町長は依頼書にサインをしてくれる。だが、もう少し神獣なのかと疑ってもいのではないかと思ってしまうが助けてくれた相手にはそういうものなのだと納得している様だ。
「(さて、帰りますか)」
レッドは軽やかに建物の屋根へと飛翔すると朝比奈が近寄ってきた。
「クゥちゃん、ありがとう!」
「クゥ!(いいってことよ!)」
軽く鳴いた後、レッドはディーサルヌへと帰還していくのであった。
そして後にナルアラマでは『金色の神獣』という伝説が生まれるのだがレッドはそんなこと知るよしもなかったのだっ。
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