イルディア・ミルドレイン
前回のあらすじぃぃぃい!
『ディーサルヌ王国到着!』
『宿屋へ!』
『店主要らんことを……』
『あーれー!』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
昼が過ぎて日当たりも丁度いい頃、シキ達は宿屋で昼食を済ました後に冒険者ギルドへと向かっていた。街では飲食店を中心に大いに賑わっており、中には冒険者であろう者達はこの時間帯からお酒を呑んでいる光景を見られる。
「おおぅ、そこの金髪騎士のねぇちゃん。これから一緒に呑まねぇか?」
「さっき依頼達成したからよぉ!奢ってやるぜ?」
「おっ、横と後ろにいるねぇちゃん達も可愛いじゃん!」
昼過ぎだというのにベロベロに酔っぱらっている冒険者野郎共はシキ達をナンパするが、この時のシキは少し機嫌が悪かった。
シキは冷酷な眼差しで酔っぱらった冒険者達だけを殺気を放ちながら睨み付ける。
「あ……な、何か、すまねぇ。」
「……おぉぅ(やべぇ、殺されるかと思ったぁ……)」
「わ、悪い……」
その殺気を肌で感じ取ったのかナンパしていた冒険者達は酔いから覚めたのか冷静さを取り戻して呑んでいた席に戻っていった。
リゼット達はシキが不機嫌な理由を知っている……いや、原因なので、前に歩いていくシキに声をかける。
「お、おい、シキ。怒ってるのか……?」
「シキさん、ごっ、ごめんなさい……」
「すまなかった……」
実はリゼット達は宿の部屋にシキを連れ込むと欲求に抗えず、そのまま身体を拘束して襲おうとしてしまった。しかし、シキは三人を無効化にしたのだが、それから不機嫌になってしまう。
だが、彼……シキは不機嫌そうに見えるが実際三人の美女、美少女に攻められて嬉しくないわけがなかった。むしろあの時、逆に襲ってしまいそうな位に欲求が爆発しそうだったのを辛うじて塞き止めただけなのだ。もし、時間帯が昼ではなく夜であるならば確実にヤってしまったであろう。不機嫌そうに見えたのも単に心を落ち着かせようと躍起になっていただけであって、三人に対して怒っている訳では無い。
「あ、いや、別に怒っていないぞ?」
「そう……なのか?」
シキは頷くと三人はホッとしたように頬を緩ませる。
「アルトレア、スミリア。あんな事は将来恋人が出来た時にやったら嫌われるぞ?」
「「……バカっ!(アホっ!)」」
「え?」
「シキ……(お前って意外と鈍感何だな……)」
この時はリゼットを除くアルトレアとスミリアには悪戯された程度しか思っていないシキであったのだった。
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冒険者ギルドに着くと、まず最初にシキは受付に行って受付嬢にエルディンテの冒険者ギルドマスター、ゼラルから渡された手紙を渡すとその受付嬢は慌てて奥の部屋へと行ってしまった。
そして直ぐに戻ってくるとここのギルドマスターに呼ばれたのでついていくのであった。因みに受付嬢は犬の獣人でシキの匂いを少し嗅いだりしていたが、リゼット達に怒られてシュン、としてしまう場面があったが無事にギルドマスター室へと到着する。
部屋に入ってみるとそこには深々と椅子に座った幼女がいた。
「ふむぅ……お主が『レッド』……で、よいのかのぅ?」
「そうだ。だが、今は『シキ』で頼む」
「ほぅほぅ……中々凛々しい女子みたいじゃな。あ、そうじゃ、自己紹介がまだじゃったな!わしはイルディア・ミルドレインじゃ。こんななりじゃが、かつては『暴炎の魔女』として活躍していた元SSSランクじゃ!どうじゃ?驚いたじゃろぅ?」
むふーっと無い胸を張っているが見た目が幼女なので説得力が無いとリゼット達は思っていた。
イルディアはプラチナグリーンの髪をツインテールとポニーテールを合体させた髪型をしていて服もカラフルなワンピースを着ていて特徴的だ。特徴的なのは髪型や服装だけでなく、彼女から微かに魔力を感じ取ったシキは中々の実力者だと理解する。
「へぇ……で、その『暴炎の魔女』様が俺達に何か様で?」
「……ぬぅぅ、驚かんのか。つまらん!実につまらんぞぉ!わしの歳は200を越えるのだぞ!どうじゃぁ!これなら驚いたじゃろぉ!」
「……いや、俺の知り合いにも400を越えた幼女を知ってますから、それほど……」
「なっ!?まっ、負けたぁ……」
何に対して負けたのかはあまりよくわからなかったが、何故シキ達を呼んだのかを聞いてみる。
「……ぬ?あぁ、『魔王』三体を葬った奴がどの様な奴が知りたくてな。お主は知らぬかもしれんが、三体の『魔王』を無傷で討ち滅ぼした『レッド』という存在はディーサルヌ王国を含めた各国に知り渡っておるのじゃぞ?加えて、バルリムとエルディンテに目撃された『大天使ホワイト』も注目されておる。……さて、『レッド』として訊ねる。『大天使ホワイト』を知ってるかの?噂の中に、『レッド』は『大天使ホワイト』に仕えている、といったのがあっての?どうじゃかの?」
どうやらシキが思っていた以上に『レッド』だけでなく、『大天使ホワイト』も大きく目立ってしまった様だ。『レッド』なら兎も角、『大天使ホワイト』が何故広まったのか?と悩んでいたが、そういえば貴族の少女とその護衛達を救出した事を思い出していた。
「(多分……彼女達、だな)」
「ふむぅ、沈黙、ということは……肯定、つまり、『大天使ホワイト』と何らかの関わりがあるのじゃな?」
「さぁ、どうかな?万が一、『レッド』が『大天使ホワイト』?と関わりがあるとすれば……どうするんだ?」
「うん?どうもせぬぞ。別に誰かにチクろうとはせぬよ。ただ、知りたくての」
「そうか」
「で、どうなのじゃ?」
「いぇ、関係ありませんよ?」
「……まあ、よい。そういう事にしておこうかの……あ、もうよい……」
「ふぁぁ……。ますたー?ここどこー?」
「なっ、なんじゃぁ!?その白いモフモフはぁぁ!!!」
「うるさいの~」
シキの胸元に隠れて眠っていたマシロがもぞもぞとしながら顔を出して起きてしまう。
そのモフモフなマシロを見たイルディアは目にも止まらぬ速さでシキの胸元にいるマシロの目の前に移動していた。
「こっ、この、白いモフモフはなんなのじゃ?喋るぞ!」
「この子はマシロだ。寝起きだから大きな声で出さないで」
「わ、わかったぞっ!さ、触ってもよいか?」
「どうぞ」
恐る恐るマシロの頭に手を乗せるとイルディアは祝福そうな表情をしてそのまま優しく撫で続けるのであった。
「……近いぞっ」
シキとイルディアの間で割って入ってきたのはリゼットだった。だが、相手がギルドマスターだとわかっているのか少し強張った表情をしている。
「ぬ?お主は……」
「俺は、シキの仲間で……こっ、恋人だっ!」
「ぼ、ボクも忘れないでください!」
「あの『暴炎の魔女』とはいえど、そこは許しません!」
シキを守る様にリゼット、アルトレア、スミリアが並ぶ。
本人は気づいていない様だったがかなり身体が密着していたのだ。まあ、手が胸元の肌に触れた位なのだが。
「おぉ、そうか!恋人じゃったか!そりゃ、すまんことしたの。安心せい。わしはただ、そのマシロちゃんをモフモフしたいだけなのじゃ」
「……なら、マシロを渡す」
「それなら、いいですね」
「異存はないです」
何故かマシロ本人に了解無しに話しているのでシキはとりあえず、確認してみる。
「マシロ、いいか?」
「んー?いいよー!」
と、いうことでマシロは暫くイルディアに約20分位モフモフされ続けていくのであった。
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