猫も悪くない
前回のあらすじぃぃぃい!
『休憩!』
『各自作業!』
『中古の指輪!』
『猫に変身……?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
猫に……なってしまった。
シキはその事実に茫然としながら[水鏡]を見ていた。目を擦っても見間違いでもなく、そのまんまの猫に変わりない。
「にゃにゃ……にゃにゃぁ……(まじかよ……どうしよ……)」
喋っているつもりではあるがやはり猫の声しか出せない。猫だし当たり前なのだが。
「にゃにゃぁにゃにゃぁ……(つけなきゃよかったな……)」
「シキ、さっき何か光ったけど大丈夫……は?」
指輪を付けた事に後悔をしているとリゼットがやってきた瞬間、猫になったシキを見て一瞬時が止まったかの様に静止してしまう。
光はリゼットしか気付いてなくアルトレアとスミリアは作業をしたままだ。しかも馬車の帆で丁度見えなくなっているから余計に見ることができなかったのだろう。
「(気付いてくれるかな?……試してみよう!)にゃ~ん」
猫の鳴き声しかできない事に後から気付いてどうしようかと悩んでいると前に固まっているリゼットに反応があった。
「……か、」
「……にゃ?(……か?)」
リゼットはゆっくりと猫に近づくとそのまま手を伸ばしていく。
そしてその伸びた手は恐る恐る頭に触れるとそのまま優しく撫でていく。それは少しでも衝撃を与えれば壊れてしまいそうな物を慎重に撫でている手だった。
「……にゃにゃぁ~(これ、気持ちいいな)」
「気持ちいいか?」
「にゃ!(おう!)」
「そうか!」
ふとリゼットはいつも野性的に感じる顔ではなく嬉しそうに頬を緩ませる一人の少女がいた。
そんな表情はいつも添い寝をしている時に見せている表情をしていたのでよく見てはいるが、やはり今の表情は愛らしく感じてしまう。
「にゃにゃぁ(嬉しそうでなによりだ)」
「可愛いな……よっと」
「にゃ!?(なに!?)」
リゼットは撫でる手を止めると猫を両手で持ち上げた。
そして持ち上げた猫を胸に持っていくとそのまま包み込む様に抱き寄せる。
「にゃ……(胸、柔らかっ……)」
「……もふもふしてて気持ちいいな」
「にゃにゃ~(あ~、猫のままでもいいかもだけど……元の人の姿でやってもらいたいな……)」
そんな願望を思っていると再び猫の身体が光出す。
「にゃ!?(え!?な、まさか!)」
「なっ!?どうしたんだ、お前!」
シキはこの後どうなるか予知して焦り、リゼットはいきなり光だした猫に何か異常が起こったと思ってしまいどうしようか狼狽えていた。
カッ!っと一瞬強く眩く光とリゼットが抱き締めていた猫は元のシキへと戻っている。
しかも今の状況は馬車の操縦席に座ったリゼットが横にいるシキの顔を胸に押し付ける様に抱き締めている所だった。
「な、なんっ……!?!?」
「むぐっ……も、元に戻った、のか?」
「……あ、あの猫は……シキだったのかよ!」
「お、ちょ、待て!強く抱き締めるな!」
「うるせぇ!」
リゼットは顔を真っ赤にさせながらシキの顔を自分の胸に埋める様に強く抱き締める。今の表情を見られたくなかったのもあったが、まさかシキを抱き締める事ができて嬉しいと感じていたリゼットだった。
「……シキさん、リゼットさん。何いちゃいちゃしてるんですか?」
「リゼット殿、抜け駆けはいただけないぞ」
その操縦席の後ろには二人の般若がいた事に後から気付く二人であったのだった。
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