☆封印から解き放たれしモノ
どうもです!
執筆が中々進まない…………
でも!
めげない!
悄気ない!
頑張るしかない!
イケイケ………になりたいなぁ(混乱)
「カッカッカッ!!!善きかな世界っ!そして………むむぅ?ワシが封印されてどれ程経ったのじゃ?」
暴風を纏い、天狗の仮面を素顔を隠さぬ程度に被った黒髪の女は緊急事態の最中、降臨したのだ。
彼女は仮面の通り、まさしく【天狗】。長い下駄を履き、裾が短くあるものの武士の姿をした夜叉である。その剣気はどれ程の力を有していようと、特別な能力をしようしていたとしてもその身動きを止めてしまう痛々しい気配を放つ。
「4年程かと」
「ほほぅ!そうかそうか………くたばったか。あのバカ弟子が」
その天女の如く凛々しくも勇ましい女性の目には一瞬の悲しみを灯しつつ、しかしながら楽しそうに笑うのだ。
「して、このワシをすかうとするとはの。中々視る眼があるのではないか?」
「貴女は私のスカウトを受理されたんですよね?」
「ん?そうじゃが?」
「それなら私たち仲間です……よね?」
「無論じゃ!」
「なら─────胸揉むの、やめてくれませんか?」
「ふむ?目の前にたわわなソレを揉まぬのは失礼であろう?これも仲間の証じゃぁ!」
その天狗のモノ、名を【“太郎坊”】と称される存在。あくまで種族名な様な通称であり本来の名を彼女自身は答えない。
「セクハラですよ?」
「む?ワシ、そんな言葉は知らんの~。の、セシリアちゃん。今からホテルに行かんか?」
「ぶん殴りますよ!?」
「おーおー!これ程威勢の良いだけではなく、それ相応の力を兼ね揃えた女子は珍しい。善きかな。ワシが男なら無理やり妾にしておったぞ」
「頭カチ割りますよ」
「クククっ!善きかな善きかな!」
彼女は世界異能機関、WAO(World Abilities organization)の日本支部から派遣された者達に取り囲まれていた。
現在、WAOは転換期を迎えていた。
今まで【真序列】1位の【深淵】が他の組織を容易に牽制する程の一強であったのだが、現在その【深淵 】は不在となったのだ。しかも今までの【真序列】の順位も変動している。更には新たに入った者に【深淵】が育てた弟子以外にも各国にある支部の支部長が独自でスカウトした者もいる。
「─────して、何故わざわざワシの封印を解いたのじゃ?」
太郎坊は身の回りに血溜まりで倒れている幾つものWAOの戦闘員達を見下ろしていた。これはセシリアがスカウトした理由以前の問題。
「ワシは封印されていたのじゃぞ?」
「存じています」
「ワシが何故封印されていたかは兎も角、“誰によって封印されていたか”はぬしらが知らぬ筈なかろう」
セシリアに肩を回しながら、戒める様にそう言う太郎坊は先程のはしゃぎ様から一変してストンと感情を落とす。
「ワシを封印したのは、【深淵】じゃぞ?して────殺すではなく、封印したのか。その理由はわかるか?」
「…………」
「ワシを殺せなかったからじゃ。その意味、わかるか?」
セシリアはその言葉に怯むこと無く、ただ黙るだけ。だが、彼女が天狗と呼ばれる天災であるが故に本来最強の一角というべき相応しい力を有している事に納得する。
「流石は【深淵】さんのお師匠様というべきでしょうか」
「ハッ!知っておったか。一時ではあったが、確かに【深淵】の師をやっておった──────が、その結果が封印じゃがの」
「封印した理由の所在は【深淵】さんしか分かりません。ですが、これだけは言っておきます」
「なんじゃ?」
「そもそも私は封印を解くつもりはありませんでした」
「────なに?」
これはセシリアというよりWAOの総意で彼女の封印を解く理由は無かった。そもそも【深淵】が封印した存在を何故解く必要があるのか。その必要性が感じられないだろう。
WAOの【真序列】のトップであり最強でもあったあの【深淵】が殺すでもなく封印した存在を解き放てばどうなるか。それは戦う者でなくともその結末がどうなるかなど素人でもある程度想像は着くだろう。
「ここで死んでいる者達────厳密にはWAO上層部の意思に反して、独断で封印を解いた不届き者です。おおよそ、【深淵】さんでも封印せざる終えなかった存在を手中に納めたかったのでしょう──────その存在を御する手段も無いのにも関わらず…………なんとも愚かですね。誰の思惑かは分かりかねますが」
「なるほどのぅ。して、スカウトするのはどうしてじゃ?」
「私の独断です」
「………大丈夫かの、それ」
「一応それなりの地位はあります。他の【真序列】から異論があったとしても退げる自信はあります」
「ほ!であれば、ぬしも【真序列】か?」
「いえ。私はただのナースです☆」
いや、ワシの殺気をそよ風の様に受け流すナースがいるか!と思わずツッコミそうになる太郎坊だが、目の前にいる存在は本来【真序列】………或いは【深淵】に連なる実力者だと認識する。
「スカウトを受けていただきましたが………天狗様。あなた様はWAOの組織に加入するということでお間違い無いですか?」
「…………気が変わった」
「────何ですって?」
「組織に入ってやろう。じゃが、条件がある」
「条件?」
太郎坊は改めてセシリアに問う。
「確認じゃ。【深淵】は死んだか」
「………ま、そのようなものです」
「なるほど」
セシリアの返答にある程度察したのか太郎坊は意味深に────ニヤリ、と笑うとある条件を突き出したのだ。
「ワシがその【深淵】の名を貰う。それだけじゃ」
「────ッ!?」
「いや、寄越せ。さすればワシが【真序列】の新たな【深淵】として働いてやろう」
「そんな無茶な」
「ほう?既に【真序列】の中に【深淵】の名を受け継いだ者がおるのかのぅ?」
「い、いえ」
現【真序列】1位は本来前任である1位【深淵】の名を継ぐ予定であったが、当の本人が荷が重すぎるのと相応しくないとして名を継ぐのを拒否している。他の現【真序列】達も【深淵】の名を継いでもいない。
しかし、太郎坊がその【深淵】の名を継ぐのは問題があるのだ。
「であれば問題なかろう。よし!これからワシは【深淵】と名乗ろうぞ!」
「勝手に名乗るのは構いませんが、他の者からそれを認められる様に頑張って下さいね──────っと、それよりも後ろにいるお子さんは……?」
「おおぅ!?そうじゃった!」
太郎坊の後ろに隠れていたのは天狗の仮面を被った5歳ほどの子供。素顔と性別は不明だが、その髪は金髪であり母親の要素もあるのか黒のメッシュが散りばめられていた。それに加えて少し癖っ毛もある太郎坊の─────。
「!」
「ワシの息子じゃ!封印された後に産んだんじゃよ」
「封印の後に………?つかぬことをお伺いしますが─────その子の父親は」
思わず訪ねてしまったセシリアは後から後悔してしまう。
嫌な予感がしたのだ。
それはセシリアの、いや女の勘なのだろうか。あまりにもその勘というものが無意識に彼女に警告をする。その勘は、残念ながら大当たりなのだと。余計な詮索をし、知ってしまったのだ、と。
「さあ、誰じゃろうな。最も、その父親はこの子のことを知らんからのぅ。何れ、父親の様にこの名に相応しい男になるのじゃぞ」
「とーと?」
「そうじゃ!どうやら死んだらしいから、もう会うことは叶わんらしいがな?」
ほぼそれは答えだとセシリアは頭を悩ます。そして何故封印されたかの要因は察することも難しくはない。
「なんてことを」
「カッカッカッ!ワシは可愛い男の子は大好物での。歳を取ってからよりもまだ成長途中で愛らしい頃に食らう方が良い」
「クズですか、貴女は」
「ハッハッハー!ワシが丹精込めて育てたものを摘み食いすることは師の特権じゃて。ぬしもその内わかるぞぉ~?あ、もしかしてワシの息子狙っておるのか?善きかな善きかな!じゃが、それなら互いの同意の上なら是非も無し!同意が無ければ眠らせてから食らえば良い!安心しろ、ワシな許す!」
「ま、マジか………この天狗、親としても中々イ─────」
「細かいことを気にするな」
この天狗、太郎坊が如何にして色々と問題がある女であり、イカれた思考をしていることにセシリアはスカウトしてしまったことに後悔する。が、記録を見る限り彼女は【深淵】とタメを張れる程の実力者でありそんな者がWAOの敵になるのは不味い。
色々考えた結果、「まーいっか☆」と思考を放棄したセシリアであったが、ある人物が太郎坊に声をかけてきた。
セシリアと太郎坊、そして彼女の息子以外に唯一生きている人間の女である。
「あ、あの!」
「………なんじゃおぬし。のう誰じゃコヤツは?」
「彼女は最近入隊した私の部下です☆いやーっ、漸く私に念願の部下が出来たんですよね☆ほらほら、自己紹介!」
「は、はい!」
その女性───少女は、太郎坊に自らの名を明かす。
「【高嶺美花】です!」
「ほほぅ。中々愛嬌がある女子じゃな。しかし────弱いな」
「入隊したばかりですからね。前職はアイドルやモデルなんですよ」
「なんとな!これはまあ────ワシ好みの女じゃ。よし!」
太郎坊は何かを決めたかの様に高峰に宣言したのだ。
「コヤツをワシの弟子にする!」
「は?(え?)」
何とか再登場………(覚えてるかな?)(;-ω-)
さて、主人公さん一言どうぞ!
シキ「う゛わ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ん゛師゛匠゛の゛ばか゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」
一件羨ましそうではあるけど、現実的にストレスで胃に穴が空きそうな主人公(笑)さんです。
………控えめに言って、襲われ過ぎでわぁ!?(控えめどころじゃねぇ!)




